テイカカズラ
   


朝鮮戦争を破局から勝利に導いたペク将軍が死去した。99歳の天寿全うである。韓国大統領府は、この国民的な英雄の死去に対して何ら哀悼声明も出さず、ソウル国立墓地への埋葬も許さなかった。理由は、植民地時代に日本軍将校であったことと、北朝鮮への遠慮であろう。ペク将軍が奮戦せず、敗走していれば北朝鮮の勝利になったかも知れないからだ。

 

韓国大統領府は、国民的な英雄を送るに際し、極めて政治的な思惑に基づいて行動している。これを見かねた学生団体が、「市民焼香所」を設けた。20~30代と60代以上の高齢者が焼香所を訪れている。中には、朝鮮戦争に参加した元韓国兵が、戦闘帽姿のまま最敬礼し立ち尽くしている姿が見られたという。大統領府の冷淡な態度と対象的である。

 

『朝鮮日報』(7月14日付)は、「青瓦台が言うべきことをホワイトハウスが言った」と題する記事を掲載した。

 

(1)「米国ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)は12日(現地時間)、声明を通して「韓国は1950年代に共産主義の侵略を撃退するため全てを投げうったペク・ソンヨプと英雄たちのおかげで、こんにち繁栄する民主共和国になった」と表明した。バーウェル・ベル元在韓米軍司令官も「ペク将軍は米国独立戦争を勝利に導いたジョージ・ワシントンのような、韓国軍の父」と称賛した。

 

ホワイトハウスは、最高の礼を以てペグ将軍の死を悼んでいる。北朝鮮の突然の攻撃で、韓国は為す術もなく釜山一帯まで追い詰められた。李承晩大統領は、日本の山口県に臨時政府を移す案まで検討したという、まさに国家非常時を迎えていた。そういう絶望的状況で、奮戦したペグ将軍の死に対して、「親中朝・反日」を理由に一顧だにしない冷淡な姿勢は、韓国進歩派の限界を示している。韓国大統領府は、「ペク将軍は米国独立戦争を勝利に導いたジョージ・ワシントンのような、韓国軍の父」という米国による追悼の言葉を、どんな思いで聞いているだろうか。

 


(2)「ホワイトハウスが最高の外交・安全保障機関であるNSC名義で、現職でもない外国の退役将官の死に対し特別な声明を出すというのは極めてまれ。同日の時点で青瓦台(韓国大統領府)がペク将軍に関して何ら見解を表明していないのとは対照的だ。米国NSC12日、ツイッターの公式アカウントを通してこのように表明すると共に、「われわれはペク将軍が99歳を一期として世を去ったことを哀悼し、彼の遺産に敬意を表する」とコメントした」

 

米国は、共産主義と戦った英雄としてペグ将軍の死を悼んでいる。韓国大統領府にとっては、韓国が共産主義化されて南北が統一されていれば良かったという思いであろう。共産主義への恐怖感がゼロで、親しみを感じている文政権にとって、ペグ将軍は歓迎されざる人物に映るのであろう。

 

(3)「その上で、『釜山から板門店まで:韓国軍最初の4つ星将軍の戦時回顧録』というタイトルが付いたペク将軍の英文回顧録(1992年)の表紙写真をアップした。回顧録の序文は、韓国戦争で米第8軍司令官・国連軍司令官を務めた経験を持つマシュー・リッジウェイ元陸軍参謀総長と、後任の米第8軍司令官だったジェームズ・ヴァン・フリート元陸軍大将がそろってしたためた」

 

(4)「ベル元司令官は12日、米国のラジオ放送「ボイス・オブ・アメリカ」の番組で「私の見方では、ペク将軍は韓国軍の父」だとし、「米国独立戦争を勝利に導いた米軍の父、ジョージ・ワシントンと異なるところがない」「ペク将軍は侵略者である北朝鮮軍と中共軍に立ち向かい、混乱して極度に不確実だった戦闘作戦の中で韓国軍を率いて数多くの勝利を導き出した」と語った」

 

ペグ将軍は、「米国独立戦争を勝利に導いた米軍の父、ジョージ・ワシントンと異なるところがない」とまで、米国から賞賛されている。その韓国の英雄が、国立墓地に埋葬されないのだ。理由は、「親日=元日本軍将校」ということだけだ。ここまで、反日を強めている。これが、韓国進歩派の日本へ向けた憎悪である。

 


(5)「米国はホワイトハウスや元在韓米軍司令官まで乗り出して公式に哀悼しているが、青瓦台はペク将軍の死去に関して3日間、何ら公式見解を出していない。ただし青瓦台は、殯(ひん)所(出棺まで棺を安置しておく場所)に大統領の弔花を送り、盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長が今月12日に弔問して弔意を表したとする立場だ」

 

韓国大統領府の対応は、単なる体裁を繕う程度のものだ。心のこもった弔意ではない。韓国の英雄が、こういう淋しい形で送られることに、国家としての体面すら考えていないのだろう。文政権は、「反日」を理由にすれば何でも行なう政権である。