あじさいのたまご
   

中国の習近平国家主席による強硬策が、次々と綻びを生んでいる。香港国家安全維持法では、米国が香港特別待遇廃止法にトランプ大統領の署名し成立した。これで、香港金融センターは事実上、その機能維持が難しくなってきた。

 

中印国境紛争で、中国がインドから手痛い報復を受けた。インドで、中国ソフトが利用禁止となった。この後釜として、米国のグーグルが100億ドル投資を行なう。中国が普通の国家であれば、習氏は辞任すべき立場に追い込まれている。

 

『中央日報』(7月15日付)は、「トランプ大統領、香港の特別待遇廃止『貿易・金融センターに直撃弾』」と題する記事を掲載した。

 

トランプ米大統領が14日、「香港は今後中国本土と同じ待遇を受けるだろう」とし、香港の特別待遇を廃止する大統領令に署名した。フォックスニュースは「今回の大統領令により香港の輸出品に中国本土と同じ関税が課されるだろう」と報道した。香港の工業製品の半分は関税を免除するなどこれまでの平均2%の関税の代わりに中国本土製品と同じく平均19.3%の大規模関税を課すということだ。




(1)「トランプ大統領はこの日ホワイトハウスでの記者会見で「香港住民を弾圧する措置に責任を問うため香港自治法と大統領令に署名した。この政権より中国に強硬な政権はなかった。香港は今後中国本土と同じ待遇を受けるだろう。いかなる特恵も、経済特別待遇も、敏感な技術の輸出もない」とした。「さらにわれわれは中国に大規模関税を課している」と付け加えた」

 

1997年の中英協定による「一国二制度」に伴い、米国は香港に対して特別待遇を与えてきた。だが、今回の「一国二制度」廃止によって、これまで香港へ与えた待遇を廃止することになった。

(2)「トランプ氏は、「ウイルスを隠蔽して世界にまき散らしたことに対して中国に全面的に責任を問う上でいかなる失敗もしないだろう」としながら新型コロナウイルス被害に対する報復であるという考えも明らかにした。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)は香港の関税・貿易特別待遇廃止により「国際金融センターとしての香港の地位は直撃弾を受け、中国本土と同じ境遇に置かれた」と分析した」

WSJは、下線のように香港の持つ国際金融センターとしての機能に大きな制約がかかったと論評している。その通りであろう。香港が、経済的な特恵を剥奪された以上、貿易取引額も減少する。これに伴い金融機能も減退するはずだ。それだけでない。香港で言論の自由がなくなれば、金融機能は後退せざるを得ない。中国批判が御法度である以上、金融取引は不可能になる。株式も外国為替も信用取引が不可欠である。「売り」は、中国批判と受け取られかねず逮捕・拘束のリスクと隣合せだ。

 


(3)「この日の特別待遇廃止の大統領令の詳細な内容は公開されておらず施行時期はまだ不透明だ。トランプ大統領はこの日夜、ペロシ下院議長に送った通知書簡で「中国の香港自治に対する根本的毀損と関連し国家非常事態を宣言する大統領令を発令した。政府省庁トップに米国の国家安全保障・外交・経済的利益と関連した香港の差別的優遇を中断・廃止するあらゆる適切な措置を始めるよう指示した」とだけ明らかにした」

 

香港特別待遇廃止に関する大統領令の詳細内容は、まだ公開されていない。


(4)「大統領令はまた、香港国家安全法の立案・制定と施行に直接・間接的に責任がある中国官僚を含む個人・機関、直系家族らの入国を制限し資産を凍結する内容も盛り込まれた」

 

中国指導部の子弟は、米国へ留学させると同時に、資産も米国へ移している。これら資産の凍結もありうるという事態に、中国は神経過敏になっている。


(5)「世界銀行によると、香港は2018年基準で輸出が5691億ドル、輸入が6273億ドルで、輸入基準で世界7位の貿易特別地域だ。世界貿易機関(WTO)に別途加盟している。香港の輸出の55.2%(3143億ドル)、輸入の44.8%(2810億ドル)が中国との貿易で、米国には459億ドル(8.06%)を輸出した。韓国は同年香港に355億ドルを輸出した。中国本土を含む中継貿易の中心役割をしたためだ。だが米国が香港製輸入品の関税率を本土製品と同じように上げれば少なくとも対米中継貿易は打撃が避けられない」

 

香港への特別関税待遇がなくなるので、香港は中継貿易としての機能が消滅する。ピーターソン国際経済研究所によると、この2年間に米中関税戦争により中国本土製輸入品の平均関税率はWTO最恵国待遇の3.1%から現在19.3%に上昇した状態だ。全5500億ドルの中国製輸入品目のうち2500億ドル分に25%、1200億ドル分に7.5%の追加関税をかけているためだ。

(6)「トランプ大統領はこの日、香港国家安全法と関連した中国共産党の官僚・機関と取引する第三者金融制裁ができるようにした香港自治法にも署名した。この法に基づき中国本土と香港に進出した銀行は制裁対象の個人・機関との金融取引を中断する1年間の猶予期間を持つがその後も取引を継続すれば役員の入国禁止からドル国際取引制限など多様な制裁を受ける恐れがある。制裁対象の国際金融取引を遮断するという布石だ」

 

下線部分は、金融機関に厳しい制裁を加えている。香港国家安全維持法に関与した個人・機関との金融取引が、1年間の猶予後も継続していれば、その銀行役員の米国入国禁止とドル国際取引を制限するとしている。金融機関で、ドル国際取引が制限されれば、存立基盤を失うのだ。基軸通貨米ドルの強味を100%発揮させている。