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次期WTO(世界貿易機関)事務局長ポストを巡り、世界で8人の候補者が出そろった。候補者擁立国は、支持固めに必死である。韓国の場合、隣国・日本と角突き合わせの関係だけに、日本が「韓国候補者の反対運動」をやるのでないかと気を揉み始めている。

 

日本が、反対運動をやるまでもない。韓国候補者に1票を入れなければいいだけのこと。反対運動などやることは、「国格」を汚すことになる。

 

『韓国経済新聞』(7月18日付)は、「アゲインWTO 韓国、3度目の挑戦」と題するコラムを掲載した。筆者は、ホン・ビョンギ/中央CEOアカデミー院長である。

 

(1)「この席(注:WTO事務局長)に韓国が挑戦する。韓国は過去に事務局長選挙に2回挑戦して失敗した「苦い」経験がある。2012年に当時の朴泰鎬(パク・テホ)通商交渉本部長が出馬し、9人の候補と競争して第2段階まで進んだが、最終第3段階の壁を越えることができなかった。1994年の初代事務局長選挙にはキム・チョルス商工部長官が韓国人で初めて国際機関の首長に挑戦したが、イタリア通産相に劣勢だったため途中放棄し、代わりに事務次長に任命された」

 

韓国は、過去2度もWTO事務局長候補者を出したが失敗した。今回が、3度目の勝負である。必勝の態勢を組んでいるのかと言えば、そうではないらしい。日本が、韓国候補者を応援して当り前。万一、反対したならば日本と戦うというのが、韓国大統領府の見解であった。自惚れも良いところ。ここまで言われて、日本が「ハイ、そうですか」と応援するはずがない。

 


(2)「今回出馬した兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は、米国留学時代に弁護士資格を取得した通商のスペシャリストだ。3年間ほど在中大使館で参事官として勤務し、中国に対する理解が深い「特異」な経歴の持ち主だ。2007年の韓米FTA交渉取材現場で彼女に会ったことがある。当時、外交通商部の新参課長だったが、韓国が守勢だったサービス・競争分科長を務め、根気強く交渉をしたことを覚えている」

 

韓国の候補者は、兪明希通商交渉本部長である。昨年7月、日本による対韓国半導体素材輸出手続き規制強化発動の際、日本批判の先頭に立っていた。日本としては、あのとき受けた悪印象から、とても応援できそうもない候補者である。韓国は、人選を誤った感すら受けるのだ。


(3)「WTO事務局長選挙は一般的な選挙とは違い「告白」と呼ばれる独特の過程を踏む。投票の代わりにジュネーブ駐在加盟国大使がWTO議長団と面談した席で支持候補を明らかにする。このような手続きを何度か経て候補群を選び、最後に残った候補を全員一致で推挙する。164加盟国の国際機関の首長に出馬するのは、政府レベルで国益に関する綿密な検討を経た結果であるはずだ。それなりに勝算があって出した「会心のカード」だろう

 

下線を付した部分は、微妙な点を指摘している。韓国候補者が、「会心のカード」であったかどうか、遠回りに指摘していることだ。



(4)「保護貿易主義が強まり米国・中国・日本などとの2国間交渉が重要な時期に、多者間国際貿易の場に飛び込むべきなのかという指摘も少なくない。さらに隣国の日本は、貿易紛争の当事者の韓国が、適格でないと反対する動きを見せている」

 

日本が韓国候補者に反対していると言っている。これは、韓国が敗れた場合、日本が横槍を入れたからだ、と逃げ口上に使う準備かもしれない。韓国は、やりかねない話である。

 

最近、WTO経験を含む回顧録『通商の道50年』を出したキム・チョルス元長官(79)の感想が紹介されている。


(5)「開発途上国の支持を受けるアフリカの候補など重量感がある数人の候補と厳しい競争になるだろう。支持国の数は重要ではない。米国、中国、EUなど主要国の立場が行方を決める。韓国と貿易葛藤が生じている日本の反対がポイントになる。両国間の貿易規制論争よりも多者的貿易秩序の回復が優先であることを前に出すべきだろう」

 

支持国の数は、問題でないという。米国、中国、EUなどの主要国が動向のカギを握る。中でも、日本の反対がポイントだという。早くも、日本悪者説が飛び出している。日本が、韓国の「偏屈狂」を持ち出してくれば、致命的な打撃を受けるというのである。


(6)「(兪明希候補は)通商の専門性など個人的な能力も重要だが、各国の首脳といつでも通話できる政治的な経験を持つ人物が必要な時だ。重量感のある候補に対抗し、主要貿易国との通商交渉を主導した経験を前に出してWTO改革を率いることができるという政治力を強調しなければいけない」。

WTO事務局長の要件としては、専門性よりも政治性が最も求められるという。各国首脳と電話一本で話せるぐらいの政治力が不可欠という。韓国候補者にその力量があるかどうか、問われている。

 

(7)「今年末に勝者が決まる選挙が本格的に始まった。不動産や景気低迷など国内問題を外部の成果でカバーしようという考えではないことを望む。失敗の連続の残酷史を終えるには正確な状況分析と精巧な選挙戦略が求められる。政府は必勝の青写真を描いているのだろうか」

 

韓国政府に、「必勝」の気構えがあるかどうか。近隣国日本と、しょっちゅう喧嘩をするようでは、国際機関のトップ就任は無理であろう。