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韓国進歩派は、ことあるごとに在韓米軍縮小案を口にしてきた。その目的は、南北交流を推進できるというもの。北朝鮮は、かねてから在韓米軍撤退要求を出してきた。それだけに、米紙『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月18日付)が、報道した「在韓米軍縮小案」は、歓迎かも知れない。

 

米国防総省が、在韓米軍縮小案をホワイトハウスへ提案した背景は、南北交流を推進させるという「親心」ではない。米軍のアジア戦略が、大きく変わったことを理由にしている。つまり、インド太平洋戦略こそ、米軍の対中国戦略の骨格になったことだ。朝鮮半島の護りを固めるよりも、インド太平洋を中国の「牙」から守る戦略へと大転換したのである。

 

韓国では、米国のインド太平洋戦略についての関心が極めて低いのだ。朝鮮半島が、共産主義に染まるリスクよりも、インド洋・南シナ海・東シナ海という海上防衛が一段と重視される時代背景の変化がある。中国軍が、インド洋・南シナ海・東シナ海を制覇する野望を見せ始めているからだ。米国は、この戦略転換に対応した米軍配置を再検討している。

 


『ウォール・ストリート・ジャーナル』(7月18日付)は、「
トランプ政権、在韓米軍の削減を検討」と題する記事を掲載した。

 

米国防総省は韓国に駐留する米軍を巡り、削減を含めた選択肢をホワイトハウスに提示した。米関係者が明らかにした。ドナルド・トランプ大統領は韓国に対し米軍駐留経費の大幅な負担増を求めており、両国の間でつばぜり合いが続いている。軍関係者によると、国防総省は縮小の可能性も含めた世界における米軍再編を検討する一環として、韓国に駐留する米軍の在り方を見直している。

 

(1)「トランプ政権関係者は、在韓米軍を現在の2万8500人から縮小する案の詳細について明らかにしなかった。縮小に関しては何も決まっていないという。トランプ氏は先に、ドイツの駐留米軍を34500人から9500人削減することを決め、同盟国の間に動揺が広がった。政権アドバイザーの1人は、米軍撤収の動きが加速する可能性を示唆していた」

 

米国防総省がこの3月、在韓米軍縮小案をホワイトハウスへ提出したという報道だ。これは、米軍の世界配置の再検討という触れ込みの一環である。すでに、ドイツ駐留米軍の縮小を正式発表している。アジアが、地政学的に対中国との関係で一層、重要性が増しているからだ。かつては、米ソ冷戦で地政学的に欧州が重視された。今度は、米中冷戦である。アジアが欧州に代わって、米国の国益に重大な影響を与えることになったもの。

 

(2)「在独駐留米軍の撤収を主張してきたリチャード・グレネル元駐ドイツ大使は先月、独紙ビルトに対し「ドナルド・トランプ氏は非常に明快だった」と述べ、「われわれはシリア、アフガニスタン、イラク、韓国、日本、ドイツから軍を引き揚げたい」と語った。グレネル氏はさらに、米国は「他国の防衛のために過剰な支出をするのに多少うんざりしてきている」とも述べた。米国と韓国は朝鮮戦争以来、軍事同盟を維持してきた。米軍の駐留経費を韓国が負担する協定の第1弾を両国は1991年に締結した。ただ、トランプ氏は一貫して韓国の負担額拡大を求めてきた」

 

リチャード・グレネル元駐ドイツ大使は6月、独紙ビルトに対し、「われわれはシリア、アフガニスタン、イラク、韓国、日本、ドイツから軍を引き揚げたい」と語った。シリア、アフガニスタン、イラクと韓国、日本、ドイツを並列的に議論しているが大間違いである。日本は、インド太平洋戦略の要である。

 

在日米軍は、米軍の在外駐留で最大規模の6万余の兵士を抱えている。米軍が、日本から撤退するとなれば、米軍の世界軍事覇権放棄を意味する。あり得ないことだ。日本を失う米軍は、翼をもがれた鳥に等しくなる。こういう非現実的構想は不可能である。その時は、日本も核武装の議論が高まるだろう。米国としては、絶対に避けたい選択肢である。日本には、核を持たせたくないのだ。

 


『中央日報』(7月18日付)は、「米国防総省、3月に在韓米軍縮小案をホワイトハウスに報告ーWSJ」と題する記事を掲載した。

 

米国防総省がホワイトハウスに在韓米軍縮小案を提示したと、米ウォールストリートジャーナル(WSJ)が17日(現地時間)、米軍幹部を引用して報道した。韓米が防衛費分担金に合意できない状況で、米国の在韓米軍縮小カードに対する懸念が強まるとみられる。

(3)「WSJは、ホワイトハウスが昨年秋、中東、アフリカ、欧州、アジアなどを含め全世界に駐留する米軍の撤収のための予備的オプションを提示することを指示し、米国防総省は同年12月、中国、ロシアとの競争のための戦略と米軍の循環配置の重要性などを反映した広範囲のアイデアを出したと説明した。続いて3月には米国防総省が韓国に対する複数のオプションを整理し、これをホワイトハウスに提示したと、WSJは伝えた。現在、在韓米軍は約2万8500人水準。またWSJは、米国防総省のこうした検討は防衛費分担金をめぐる韓米間の隔たりが続いている中で出てきたと強調した。在韓米軍縮小の可能性に関する報道は、トランプ大統領がドイツの米軍縮小を公式化した中で出てきたものであり、関心が集まっている」

 

韓国が、米国の要請する駐留費を支払わなければ、在韓米軍の規模を縮小するとしている。理屈に合った話である。韓国軍は、米軍縮小分を肩代わりしなければ、北朝鮮との軍事バランスを維持できなくなる。北朝鮮は、核を保有しているから、韓国の潜在的な軍事リスクはそれだけ増している計算だ。韓国は、こういう潜在的危機を米軍駐留でカバーしていることに気が付くべきだろう。韓国に、その配慮が足りないのだ。