あじさいのたまご
   

北朝鮮と言えば、慢性的な食糧危機と核開発が最大のニュースである。その食糧危機が、新型コロナウイルス感染によって、今年は一段と悪化していると報じられた。

 

『中央日報』(7月19日付)は、「FAO、新型コロナで北朝鮮住民1000万人が食糧不足状態、全人口の40%水準」と題する記事を掲載した。

 

国連食糧農業機関(FAO)が新型コロナウイルスの余波により北朝鮮の食糧状況が深刻な水準に達していると明らかにした。1000万人以上が食糧不足で困難な状況にあるという推定だ。

(1)「FAOは7月17日に刊行した北朝鮮の新型コロナに関する報告書で、今年末まで北朝鮮の食糧不足に1345万ドルの支援が必要だと予想した。支援対象を67万6000人と予想した時に必要な費用だ。FAOが試算した費用は4月に発表した1000万ドルを大きく上回る規模だ。対象人数もやはり当時の51万3000人から大きく膨らんだ」

 

北朝鮮の2500万人の国民に飢餓の状態にならずに食料を安定して供給するには、年間550~600万トンほどの穀物生産が必要とされている。北朝鮮の生産量は2012年以降上昇してきており、2017年ごろまでには500万トン台後半まで回復した。2018年になると、異常気象などで生産が急激に落ち込み食糧不足となっている。

 

この時点で、国民1人あたりの食糧配給量は1日に300gほどとなり、これまでによりも80gも減ったと言われている。配給されるのは主に米やジャガイモが多く、タンパク質などの栄養素が足りない状況だ。これ以上配給が減少するとさらに飢餓の人数が増えると懸念されている。以上は、国連の広報ページによる。

2018年がこの状況であった。2020年の現在の食糧配給は、さらに減っているはずである。危機的な事態を迎えているのであろう。

 

(2)「FAOは報告書で、北朝鮮の人口の40%に相当する1010万人が食糧不足を体験していると推定した。2019年11月1日から2020年10月31日までに必要な「2020年糧穀年度」で見ると、精製穀物37万4000トンが不足すると予想される。FAOは新型コロナウイルスが北朝鮮の慢性的な干ばつと洪水とかみ合わさって食糧不足現象をあおっていると分析した」

 

(3)「北朝鮮は1月末に中国との国境を全面封鎖し、4月に一部緩和措置に出たが依然として厳格な防疫措置が行われており物流移動に困難がある。FAOは麦など北朝鮮の二毛作収穫作物の割合が年間8%にとどまり、コメ、トウモロコシ、大豆などの主要作物を収穫する9~10月の秋季以降の状況を見守らなければならないとも予想した」

 

新型コロナウイルスによって、中朝国境を閉鎖したことで貿易関係がストップ。これに伴い、食糧輸入が途絶えたことが、食糧難を一層深刻な事態へ追い込んでいる。



(4)「世界の救護団体が活動に制約を受けている現状も北朝鮮の食糧需給に悪影響を及ぼす要因だと分析した。FAOは今年の北朝鮮食糧支援の全目標額1345万ドルのうち8.9%の120万ドルが募金されるのにとどまり、91.1%に当たる1230万ドルが不足していると明らかにした。これに先立ちFAOは2日に刊行した作況見通しと食糧状況に関する四半期報告書で北朝鮮をはじめとする44カ国を外部食糧支援が必要な国に分類した。また、国連安全保障理事会傘下の対北朝鮮制裁委員会は14日にイタリアの非政府組織(NGO)アルゴテックSPAの対北朝鮮支援制裁免除期間を来年1月まで延長し、各種農機具を支援できるようにした」

 

FAOは、今年の北朝鮮食糧支援目標額1345万ドルのうち、8.9%の120万ドルしか募金されていないという。残り91.1%に当たる1230万ドルが不足している。このような状況でも、北朝鮮が核開発を続けているのは「クレージー」と言うほかない。国民よりも、「金ファミリー」の安全保障を重視している結果だ。

 

北朝鮮では、人口2500万人のうち約4割にあたる1100万人ほどに食糧が不足しているとされる。栄養不良の状態に置かれているのだ。脱北者の語るところでは、軍隊の食糧危機も深刻という。上官は、部下から食糧を貢がせるという最悪状態である。これでは、とても戦争できるほどの体力が兵士にあるはずがない。北朝鮮は、ことあるごとに米韓を威嚇しているが、口先だけの面もろう。