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中国は、朝鮮戦争で米軍と戦った経験しかない。中国は正規軍でなく義勇兵であった。朝鮮半島の複雑な地形を生かして、米軍と戦ったに過ぎないのだ。その意味で、米軍の「怖さ」を知らないであろう。日本は、米国と太平洋戦争で戦った経験を持つ。米軍は、前線指揮官に全幅の信頼を寄せた作戦計画で戦う。その作戦が失敗すれば、指揮官は交代の運命だ。極めて柔軟だ。日本軍の硬直した作戦体系と比べて、柔軟そのものであった。日本軍は、これに翻弄されたのである。

 

中国軍は、南シナ海で不法占拠している島嶼群に対して、米軍の奇襲攻撃を警戒せざるを得ない立場に追い込まれている。米国務長官が、中国の南シナ海占拠は不法であると声明を発した以上、米軍はその是正措置を講じる法的な権利を宣言したのに等しいのである。中国としては、常設仲裁裁判所から「敗訴」を言い渡されている以上、法的な対抗措置は取れない状況に陥っている。

 

『中央日報』(7月28日付)は、「中国の専門家の警告『米国、南シナ海の中国暗礁を爆破する可能性高い』」と題する記事を掲載した。

 

米国がヒューストンの中国総領事館を閉鎖したのに続き、南シナ海で中国が領有権を主張する暗礁などを奇襲攻撃して爆破する可能性があるという警告が、中国の専門家の間で出ていると、中華圏インターネットメディア『多維新聞』が7月26日報じた。

(1)「南シナ海は現在、米中が武力衝突する可能性が最も高いところに挙げられる。世界の海運物流量の4分の1が通過する要衝地だが、中国が20世紀初めに制作された地図1枚を根拠に水域の80%に対する領有権を主張し、ベトナムなど東南アジア諸国との間が摩擦が生じている。米国は、中国の南シナ海主権を認めず「航行の自由」作戦で中国と対立している。13日には中国たたきの先鋒に立つポンペオ米国務長官が「南シナ海の海洋権利に対する米国の立場」という声明を発表した」

 

中国の南シナ海占拠は、米国が認めないだけでない。国際司法機関が、違法と断罪している。中国がこれに従わないのは、「逆徒」の立場である。米国から実力行使を受けても、抗議できる法的な立場にないのだ。



(2)「米国務長官声明の骨子は、北京が主張する南シナ海の大部分の海上資源は「完全に不法」ということだ。ポンペオ長官は声明で「中国が恐喝と一方的な措置を通じて、東南アジア国家の南シナ海主権を破壊した」と非難した。続いて「米国は中国が統制している島嶼の12海里以外に対しては中国のいかなる海洋権利も認めないことを決めた」と述べた。米国の一部のメディアは今回の声名が南シナ海で米国が戦争できる権利を付与したものと解釈していると、多維新聞は伝えた」

 

米国務長官声明が出た後、私も米国が軍事行動に出る「儀式」を行なったと解釈し、そのようにブログで書き込んでいる。米国は、こういう法的な手続きを踏んで、軍事行動に移るのがパターンである。

(3)「北京大米国研究センターの王勇主任はポンペオ長官の声明について「米国が11月の大統領選挙の前に南シナ海で武力を使用する可能性を排除できない」と述べた。多維新聞は13日の声明が米国の南シナ海奇襲に対する法律的根拠を与えたものだと解釈した。ポンペオ長官は25日にはツイッターで「南シナ海は中国の海洋帝国でない」とコメントした。これを受け、米国が中国の総領事館を閉鎖したのに続き、次は中国のどこを狙うかを表したという評価が出ている」

 

中国にとっての痛手は、常設仲裁裁判所から「100%敗訴」の判決を受けていることだ。国連常任理事国である中国が、国際司法機関からの判決を無視して、南シナ海で占拠を続ける訳にはいかないのだ。米国の一撃は不可避であろう。



(4)「香港『サウスチャイナモーニングポスト』(SCMP)は26日、米軍が南シナ海にほぼ毎日3-5機の偵察機を送るなど、南シナ海と中国の海岸に対する偵察飛行を記録的な水準に増やしていると報じた。多維新聞は中国の専門家らを引用し、米国の最初の奇襲打撃対象は現在、中国軍が駐留していないスカボロー礁(中国名・黄岩島)になる可能性が高いと報じた。その次のターゲットは中国で南沙諸島と呼ばれるスプラトリー諸島と予想した」

 

米軍高官が2~3年前、南シナ海島嶼群の地盤が軟弱であることから、ミサイル一発撃ち込めばガタガタになると豪語していた。米軍が、南シナ海にほぼ毎日3~5機の偵察機を送っているのは、奇襲攻撃を掛ける準備を始めているとも読める

 

(5)「中国が滑走路などを建設したファイアリー・クロス礁 (中国名・永署礁)とミスチーフ礁(中国名・美済礁)、スビ礁(中国名・渚碧礁)を攻撃した後、周辺暗礁をミサイルと大砲で破壊する可能性が高いということだ。最後には中国以外の国が支配を主張する暗礁などをB-52Hなど戦略爆撃機を動員して爆破し、南シナ海関連国の領有権主張紛争を解決するという手順だ。パラセル(西沙)諸島のウッディー島(永興島)などに戦闘機などを布陣した中国がどのように出てくるかがカギとなる」

 

中国が不法行為を働いている以上、米軍が奇襲攻撃を掛けても、文句の言いようがあるまい。これが米国や、中国から被害を受けているアジア諸国の本音であろう。中国は、満州へ進出した「第二の日本」の立場へと追い込まれている。


北京の外交筋は、米国がまず中国に南シナ海人工島に設置した施設の撤去を要求するはずであり、中国がこれを受け入れない場合は戦争を覚悟して武力を行使する手続きに入る可能性が高いと述べたという。これは甘えた見方であろう。米国務長官声明で、儀式は済んでいるのだ。