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米中対立は、もはや元の鞘に収まることはなくなった。雌雄を決するまで、この対立は続くのであろう。米国が目下、人気を集めているアプリである中国製TikTokの使用禁止を発表した。理由は、TikTokを利用して中国へ情報が筒抜けになることを防ぐためだ。

 

『日本経済新聞 電子版』(8月1日付)は、「米中経済分断、新局面に 米、TikTok『利用禁止』」と題する記事を掲載した。

 

トランプ米大統領は731日、中国発の動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の米国内での「利用禁止」を打ち出し、米中の経済分断は新しい局面に入った。トランプ政権内では、中国の騰訊控股(テンセント)が提供する対話アプリへの規制議論も浮上する。国境を越えてサービスを展開できるはずのIT分野でも米中の分断が進む。

 

(1)「米トランプ政権は81日にも「ティックトック禁止令」の具体策を公表する見通し。ムニューシン財務長官は、外国勢による米国投資の可否を判断する対米外国投資委員会(CFIUS)が、ティックトックを運営する北京字節跳動科技(バイトダンス)の米国事業を審査していると明らかにしている。バイトダンスは2017年に米動画アプリ運営「ミュージカリー」を買収しただけでなく、米バージニア州でデータセンターを運営する。いずれもCFIUSの審査対象で、個人情報の収集などを「安全保障上の問題がある」と判断すれば、米国事業を切り離すよう大統領に勧告できるとみられる。18年には、米半導体大手クアルコムの買収に名乗りを上げたブロードコムに対し、トランプ氏が禁止令を出して封じ込めたことがある」

 

安全保障という国家存立に関わる問題に抵触すれば、いかなる分野もグローバル化の継続は不可能である。米国で、中国のスパイ摘発が連日のように報じられている以上、「中国と聞けば、スパイ」と身構えるのは致し方ない。原因をつくったのは中国である。

 


(2)「米商務省が、バイトダンスに「禁輸」措置を発動する可能性もある。禁輸措置が発動されると、バイトダンスは米企業と取引ができなくなる。米国内のスマートフォンでティックトックのアプリが使えなくなり、利用禁止措置と同じ効果がある。米政権・議会には中国発のアプリに対する不安が強い。ティックトックは19年11月に、新疆ウイグル自治区の人権弾圧を批判した米国民のアカウントを凍結した例がある。中国当局の影響力の大きさを不安視し、米軍は早々にティックトックの利用をほぼ全面的に禁じている

 

米軍は、情報漏洩に神経を使っている。その米軍が、ティックトックの利用をほぼ全面禁止した事実は重い。ファーウェイの「5G」が、典型的な謀略装置である。それを輸出している中国だ。あらゆるタイミングを利用して、他国の国力に棄捐を与える。これが、中国の国是と見るべきだ。中国が、世界で頭角を現したことに随伴する、必然的なリスクと捉えるべきだろう。

 

(3)「ITサービスの利点は国境に関係なく利用できることだが、米国と中国という巨大市場で二分化が進む。米国発のフェイスブックやユーチューブ、グーグルの検索サービスは、中国当局が国内利用を厳しく制限している。米国では、対中強硬派のナバロ大統領補佐官が「(中国発の対話アプリである)微信(ウィーチャット)にも断固たる措置を検討している」と明言する」

 

中国が、先に米国発のアプリの使用を制限している。米国が、中国アプリを制限してはならないという理屈はない。

 

(4)「米国では、対中強硬派のナバロ大統領補佐官が「(中国発の対話アプリである)微信(ウィーチャット)にも断固たる措置を検討している」と明言する。米国務省のキース・クラック次官(経済成長・エネルギー・環境担当)も日本経済新聞などのインタビューで「子どもたちがスパイ活動をされる可能性があり非常に危険だ」と述べた。ウィーチャットは世界で12億人の利用者を抱える。決済や電子商取引(EC)など様々な機能を持つ「スーパーアプリ」だ。利用者は中国人が中心とはいえ、ティックトックと同じように米国内での利用が禁止されれば、影響は大きい」

 

現在の米中関係が、どういう状況にあるか。それを先ず認識することである。中国が、米国に対して飽くなきスパイ行為を続けている意図が何か。そのことを冷静に考えるべきだ。「ウィーチャットは世界で12億人の利用者を抱える。決済や電子商取引(EC)など様々な機能を持つ」ということで、対中戦略を誤ってはならない。安全保障という国家存立の基盤を守ることと、ウィーチャットの利便性のどちらが重要か。考えて見れば、自ずと結論は出るだろう。インドは、中印国境紛争で20名もの兵士の生命を失い、敢然と中国製アプリを禁止したのだ。これが、国家としてとるべき態度であろう。

 

(5)「米政権がティックトックやウィーチャットを排除すれば、同盟関係にある日本や欧州勢も追随を求められる可能性がある。中国側が報復措置に動く可能性も高く、対立がエスカレートする恐れがある」

 

日本はもはや、中国の報復が怖いという段階を超えた。尖閣諸島への中国公船による接近は、明らかに脅迫である。脅迫には立ち向かうべきである。インドのように、日本のアイデンティティを示す時期であろう。