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韓国が日本叩きのためにWTOへ提訴した。半導体輸出手続き規制強化が、WTO(世界貿易機関)ルールに違反するというもの。これについて、米国が日本へ援軍を送っていることが分かった。日本の輸出手続き規制は、安全保障上の問題であり、WTOルールに違反していないという立場を明らかにしたのだ。

 

『中央日報』(8月3日付)は、「米国、日本の韓国輸出規制は安保措置、WTO審理対象でない?」と題する記事を掲載した。

 

(1)「世界貿易機関(WTO)のホームページに3日に掲載された会議録の要約によると、7月29日(現地時間)にスイス・ジュネーブWTO本部で開かれたWTO紛争解決機関(DSB)定例会議で、米国側は「日本だけが自国の本質的な安全保障に必要な措置を判断することができる」と明らかにした。この発言は、韓国政府が日本の輸出制限措置を世界貿易機関(WTO)に提訴したことについて「日本の安保措置はWTOの審理対象にならない」という趣旨と解釈される」

 

韓国は、日本の行なった輸出手続き規制がWTO違反とした。米国が、これを否定するという対象的な動きである。もともと、安全保障に基づく輸出規制は、WTOは特例として認めている。よって、韓国提訴は敗訴するというのだ。韓国としては、ショックであろう。



(2)「韓国の今回の提訴について、(米国は)「70年間避けてきた安保関連事案不介入(の立場)を困難に導き、WTOに深刻な危険を招く」とし「WTOの誤ったロシア-ウクライナ紛争判決のため一部のWTO加盟国が国家安保措置に異議を提起している」と主張した。これに先立ちWTOはロシアが国家安全保障を名分にウクライナの貨物の経由を防いだ措置に対する紛争解決手続きで、安全保障を理由に貿易規制をする場合は合理的な理由が必要だとし、すべての貿易規制を安保措置と見なせないと判決した。一方、韓国政府は米国の今回の発言が日本という特定国を支持するためでなく、国家安保措置をWTOが審理できないという米国の従来の立場を明らかにしたにすぎないという立場だという」

 

WTOは、「安全保障を理由に貿易規制をする場合は、合理的な理由が必要である」とした。米国は、これについても異議を申し立てている。要するに、安全保障上の理由をいちいち指摘することが正しい判断でないというもの。日本は、韓国への輸出手続き規制を強化したが、輸出自体を減らしていないのだ。日本の立場が有利であることは疑いないだろう。

 

次の記事は昨年、韓国が日本をWTOに提訴した際に行なわれた日韓の応酬に関するもの。今年も、同じ主旨が繰返されるだろう。ただ、米国が反対の意向を示していることや、韓国に実損がなかった点が、韓国を不利な状態に追い込むであろう。

 


『ロイター』(2019年7月25日付)は、「対韓輸出規制は安保上の措置、WTOでの議論不適切=日本政府」と題する記事を掲載した。

 

日本政府の代表は24日に開かれた世界貿易機関(WTO)の一般理事会で、対韓輸出規制は安全保障に基づいており、WTOで取り上げられるのは適切ではないと述べた。これに先立ち韓国側は、輸出手続きの優遇措置を適用する「ホワイト国」から韓国を除外する日本政府の方針に反論。日韓の数十年におよぶ経済・安全保障関係を損なうほか、自由貿易に反すると主張した。

 

(3)「日本政府は、対韓輸出管理の見直しで、武器に転用可能な特定品目を韓国に輸出する場合、国内業者は許可を得ることが義務付けられるとした。伊原純一・駐ジュネーブ国際機関政府代表部大使は、「措置は安全保障のための輸出管理制度に基づくもので、WTOで取り上げられるのは適切でない」と述べた」

 

今回も日本は、韓国の提訴が不当であることを主張する。安全保障問題が、一段と厳しくなっている折から、日本の主張が認められるであろう。

 


(4)「韓国は国際社会を動員して日本の動きをけん制しようとしたが、WTO関係筋によると、いずれの国も介入する姿勢を示さなかった。伊原氏は、日本は多くの国同様、定期的に輸出管理を見直していると主張。韓国が制度改善に取り組むという信頼に基づき2004年にホワイト国に指定したが、過去3年間は日本側が要求したにもかかわらず制度改善について全く協議が設けられなかったと説明。「さらに、韓国向け輸出で不適切な事案があった。こうした要因で、韓国に適用されていた簡素化措置を通常の手続きに戻した」とした。

 

下線のように、韓国の提訴が身勝手であることを世界が認識していることを示唆している。この国から、WTO事務局長候補が立候補していることは不利に働くであろう。韓国は、こういう冷静な判断もできないほど、感情的になっている。

 

(5)「WTOが定める最恵国待遇の下、広範な通商協定がない限り加盟国はどの国も同等に扱う必要がある。伊原氏は、ホワイト国指定の有無は各国の裁量に委ねられていると主張。「韓国は日本の措置が自由貿易制度に反すると言うが、自由貿易とは武器に転用可能なモノや技術を管理・条件なしに取り引きするものではない」と反論した。日本が世界的なサプライチェーンを混乱させるとの韓国の主張については、日本の輸出管理見直しは安全保障に基づいているため、WTO規制は適用外であり、混乱を招く主張だと韓国をけん制した」

 

韓国は、日本が世界的なサプライチェーンを混乱させると主張したが、なんら混乱が起こっていないのだ。韓国の提訴は、実態が伴わないものだけに不利であろう。