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新型コロナウイルスの起源調査のため7月10日、中国・北京に向かった世界保健機関(WHO)の専門家先発隊2人の消息がようやく掴めた。当時、中国政府はWHO専門家到着したかどうかについても公開しなかった。隠密調査を余儀なくされたのだろう。

 

『中央日報』(8月5日付)は、「『コロナの真実』探しに中国に向かったWHO先発隊、1カ月ぶりに伝えられた知らせは…」と題する記事を掲載した。


(1)「WHOのクリスチャン・リンドマイアー報道官は4日、国連ジュネーブ事務所での会見で「先発隊は中国側と広範囲な討議をした。新型コロナウイルスが初めて発生した武漢のウイルス学者らとビデオ討論も進めた」と明らかにした事実をロイター通信が報道した。続けて「疫学研究、生物学と遺伝子分析、動物保健研究などに対する最新の情報を受け取った」と付け加えた」

 

(2)「WHOは、先発隊が中国保健当局などと具体的にどのような内容を討議したのか、いつ後発隊を派遣し、後発隊の構成がどうなるのかなどについては明らかにしなかった。WHOの新型コロナウイルス起源調査は最大予算支援国だった米国が中国偏向性などを理由で脱退した後に政治的に敏感な事案となった。今回の調査はWHOが主導する事実上初めての新型コロナウイルス起源調査だ」

 

後発調査隊については、テドロス事務局長が別途の記者会見で、次のように語った。

「テドロス事務局長は、WHOが行っている中国での新型ウイルス感染源調査の第1段階が終了したと発表した。現在の調査チームはこれでミッションを終えるが、今後は中国の専門家も含めた国際的な専門家グループによって、さらなる調査が行われるという」(『BBC』84日付)。この報道内容を見ると、中国が調査に積極的でないことが分かる。何かを知られたくない、という意図が鮮明である。

 

(3)「一方、米国政府はこれまで新型コロナウイルスが中国から始まったのに中国政府がこれを初期に隠蔽して世界的な大流行を引き起こしたという「中国責任論」を主張した。ウイルスが中国・武漢にある武漢ウイルス研究所から流出したという疑惑も提起し続けた。米国はまた、WHOのテドロス事務局長が2017年に選出された当時から中国と取引があり、中国に買収されたとも批判した。WHO加盟120カ国は、5月のWHO総会で新型コロナウイルスの起源調査を要求した。中国はWHOが関連調査を主導するがパンデミックが落ち着くまで待つべきと主張していた

 

中国は、パンデミックが落ち着くまでWHO関連調査を待つべきと主張しているのは、時間の経過で原因調査が曖昧になることを狙っていることが窺える。中国が、新型コロナウイルスに発症国であるという責任を、なんら痛感していないのだ。無責任の極みである。

 

なぜ、中国はここまでWHOの本格調査に非協力的であるのか。

 

米国に亡命した中国人ウイルス研究者、閆麗夢(えん れいむ)博士が次のように語っている。「中国当局が中共ウイルスの由来、発生源についての真実、中共ウイルスの情報を公表しないのは、『国際社会にこのウイルスの実態を知られたくないからだ。同時に、各国のワクチン開発、治療薬の研究を長引かせるためだ』と批判した」(『大紀元』83日付)

 

中国では、人民解放軍が昨年11月からワクチン開発に取り組んでいる。だが、治験の最終段階で3万人以上の治験者が得られず、完成ワクチンの域に達していない。そこで、必死になって、米国のワクチン研究成果のスパイ活動に力を入れている。こういう製品化の行き詰まりから、他国のワクチン開発を妨害させるべく、本格的なWHO調査隊の受入を渋っているのであろう。中国の念頭にあることは、自国のことだけである。他国の迷惑には考えが及ばないのだ。身勝手な国である。