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環境破壊が食糧不足招く

憎い米国捨てられぬワケ

米大統領選に左右される

中国人口が世界3位転落

 

中国は、改革開放政策(1979年)以来の40年間の平均経済成長率が9.79%にも達した。この記録は、空前絶後であろう。これを実現した背景は、「一人っ子政策」による、急激な生産年齢人口比率の上昇であった。扶養人口が減って、生産年齢人口(15~59歳)比率が上昇した結果だ。世界標準では、生産年齢人口年齢が15~64歳である。中国では、健康上の理由で15~59歳と短縮されている。

 

このギャップが、世界で中国の潜在成長率を過大に見積もらせている。世界標準で計算するからだ。中国の現実の生産年齢人口は、世界標準よりも約1割少なく計算しなければならない。このことを、繰り返し指摘しなければならないほど、世間ではこの点を無視している。

 

環境破壊が食糧不足招く

改革開放政策以来の40年間の平均経済成長率が、約10%にもなった背景には、環境を破壊したままにし、回復コストをかけなかったことも上げられ。大気汚染・水質汚染・土壌汚染・地下水の過剰くみ上げなどだ。環境破壊分をコスト計算すると、毎年2~3%が「環境破壊」と試算されている。つまり、40年間も平均約10%の経済成長を実現したが、環境破壊分を織りこめば、実質「7~8%」に間引かれるのである。

 

問題は、環境破壊がもはや放置できない限界に達していることである。とりわけ重要なのは、「地下水の過剰くみ上げ」である。中国全耕地面積に占める灌漑面積が、約半分も占めているのが現実だ。この灌漑面積で、中国の75%の食糧と90%の経済作物が生産されている。極論すれば、中国農業は、灌漑に依存しているのである。

 


この灌漑が、地下水をくみ上げている場合、地下水は涸れる運命である。実は、中国の華北平原(黄河以北の中国)では、古くから粟や麦が栽培され、日本でも有名な水ギョーザ(餃子)やマントウ(饅頭)などの中華料理を生み出した土地柄である。

 

地下水が、これまでの過剰くみ上げで枯渇しかかっている。その被害が、中国東北部の遼寧省で干ばつとなって現れている。同省阜新市や錦州市などでは今年、トウモロコシなどの収穫は皆無に近い状況だという。

 

中国水利部(省)7月29日の発表によると、6月1日~7月27日まで、遼寧省の平均降水量は108.8ミリで、平年同期と比べて53.1%減少し、昨年同期比では20.6%減少した。1951年以降、降水量が最も少ない年になったという。地下水の過剰汲み上げは、干ばつの理由の一つとされている。遼寧省の干ばつが、地下水の過剰汲み上げと関係あるとすれば、事態を深刻に受け取るべきである。

 

中国紙『新京報』(7月30日付)によると、遼寧省西部はトウモロコシの主要産地で、7月末に収穫期を迎える。しかし、この2カ月間、降水量の不足で、トウモロコシは成長できず、収穫できなかった。一部の村ではトウモロコシ畑の大半が水不足で枯れた。東北三省である黒龍江省、吉林省もイナゴの大群に襲われている。遼寧省も干ばつ被害に遭ったように、異常気象に翻弄されているのだ。

 

中国国家統計局のデータによると、東北三省である黒龍江省、吉林省、遼寧省の食糧生産量は中国全体の20.8%を占める。中国の「食糧生産基地」が、以上のような「天災」に遭遇しているのは偶然の出来事ではない。

 


憎い米国捨てられぬワケ

中国のウイークポイントは、食生活の高度化に伴い食糧不足が顕著になったことである。「仮想敵」の米国からも穀物輸入しなければならないのである。これは、米中紛争が激化した場合、中国にとっては徹底的なマイナス点だ。早くもこれ反映した動きが見られる。

 

米中両政府は1月に署名した2国間貿易合意を巡り、中国側の合意履行を評価するため8月15日にハイレベル協議を実施することで合意した。『ウォール・ストリート・ジャーナル』(8月5日付)が報じた。中国は貿易合意の「第1段階」で米国からの輸入を今後2年間で計2000億ドル(約21兆円)増やすとした。協議では、その点が集中的に取り上げられる見通しという。中国政府は米国産の大豆や豚肉、トウモロコシなどの農産品の輸入をここ数カ月で増やしているものの、現時点では目標達成に必要なペースを大幅に下回っている。(つづく)