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文政権は就任以来、恥も外聞もなく「身内」を顕職に付かせるべく、現職を「積弊一掃」の名の下で追放している。まさに革命政権張りの振る舞いである。

 

韓国科学技術情報通信部(省に相当)が、「国の研究費を横領した」との理由で韓国科学技術院(KAIST)の総長を告発したもの。検察は、このほど「嫌疑なし」として不起訴とした。科学技術情報通信部がシン・ソンチョル総長を告発してから18カ月後のことだ。科学界からは「文在寅(ムン・ジェイン)政権は、前政権が任命したシン総長を無理やり積弊にしようとしたが、結果的に失敗した」との批判が出ている。

 

文政権は、進歩派を名乗る。実態は「飢えた狼」である。高官ポストを手当たり次第、支持者に割り振るという醜い姿をさらしている。文氏が、高邁な発言をすればするほど、そのギャップが広がるのだ。

 

『中央日報』(8月6日付)は、「科学まで積弊清算の対象? 学問領域への侵犯はやめよう」と題する社説を掲載した。

 

過去の政権が任命したKAISTのシン・ソンチョル学長が政府の無理な告発で検察捜査を受けたが、無嫌疑処分された。科学技術情報通信部が彼を検察に告発して20カ月ぶりだ。

(1)「科学技術部の主張は、シン学長が2012年DIGIST学長時代、米国ローレンス・バークレー国立研究所(LBNL)に装備使用料を二重支給して教授採用の過程に不当介入したということだ。2018年告発とともにKAISTに職務停止を求めたが、理事会が拒否した。総同窓会と科学界まで出てシン学長を擁護し、政府の無理な態度を批判した」

 

作り話で、大学学長を追放しようという策略ほど酷いものはない。学問の世界へ土足で乗り込んできたのだ。韓国進歩派の欺瞞性を余すところなく示している。

 


(2)「当時、KAIST教授会は、「一生研究に問題がなかったシン学長とノーベル賞受賞者を13人も輩出したLBNLを関連付けて背任・横領があると有罪推定するのは間違っている」といった。LBNLもメディアインタビューで「契約および共同研究の過程には問題がない」として韓国を「ワンダーランド(不思議な国)」と表現したという。最初から科学界は「文在寅(ムン・ジェイン)政府が学者まで無理に積弊に追い込んでいる」として反発した。シン学長が朴槿恵(パク・クネ)前大統領と小学校同窓で、嶺南(ヨンナム)大学理事を務めた経歴のせいで科学界の積弊に追い込まれたということだ。当時、ネイチャー誌も「韓国科学者が不当な処置に抵抗している」として大きく扱った」

 

坊主憎けりゃ袈裟まで憎い、という類いの話だ。朴大統領と同じ小学校を卒業したことも、「追放理由」とか。凄い理屈付けである。逆に言えば、政権はこの程度の理由でも狙った獲物を追放できるということかも知れない。文氏が、大統領辞任後はぜひ法廷に立たせて、こういう欺瞞をなぜ行なったのか究明したいものだ。

 

(3)「実際に、文在寅政府発足以降任期を終えずに退いた機関長だけでパク・テヒョン(韓国科学創意財団)氏、チョ・ムジェ(韓国研究財団)氏など12人だ。2018年4月任期2年を残して辞退したイム・ギチョル前韓国科学技術企画評価院長は、「科学技術部次官に『ろうそく政権になったから退くべきではないか』とも言われた」とした。政権が交代されたといって任期が残った機関長を理由もなく追い出すのは、前政権の「ブラックリスト」と何が違うのだろうか。科学者に積弊というレッテルをつけて追い出すのは「ろうそく政権」であることを自認する現政権ではさらにあり得ないことだ」

 

文政権は、前政権の任命で就任したポストのうち12を「回収」、自派の「子分」に配分したという。やっていることは、政治屋そのものだ。

 


(4)「それだけでない。現政権でも大学構成員が選んだ候補が気に入らないからといって拒否する事態が繰り返されている。2月公州教大(コンジュキョデ)は開校以来、初めて直選制を導入して66.4%の圧倒的な支持を得たイ・ミョンジュ教授を推薦したが、教育部が断った。具体的な理由は明らかにしなかった。再選挙して候補を再び推薦してほしいという意味だ。イ教授が行政裁判所に訴訟を起こし、構成員が糾弾集会まで行ったが、学長席は7カ月間空席だ」

 

文政権は、選挙で選ばれた大学学長を任命しないという。これでは、「学長公選制」は名ばかりである。文政権のやっていることは、進歩派でなく「退歩派」というべきだろう。

 

(5)「科学と教育は百年大計という言葉のように何より長期的リーダーシップが必要な分野だ。新しい政権になったからといって機関長から交代させ、政府のコードに合う人だけを学長席に座らせようとすれば未来は暗鬱極まりない。民主主義は政治だけでなく、学問の領域にも必要だ。権力の外圧と影響に干渉されない学問の自由と多様性が保障されてこそ創意性と革新が生まれる」

 

文政権は、韓国史を振り返るとき確実に、「衰退にきっかけを作った政権」と位置づけられよう。大衆迎合主義の恐ろしさを目の当たりにしている感じだ。韓国衰亡は、不可避と思う。