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韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長が、WTO(世界貿易機関)の次期事務局長選挙に立候補している。8人が立候補している。事務局長選は、加盟国が支持する候補者を明らかにし、これに基づいて候補の一部が脱落する方式で進められる。

 

各国の評判では、アフリカ出身の2人の女性候補が有力とされている。韓国の兪氏も女性であるが、世界機関でのリーダー経験がないこことから、当選は難しいと見られている。ただ、1回目投票で8人中3人が脱落するシステムになっているので、韓国候補がここで姿を消すことになれば、面目丸潰れである。「1回戦生き残り」をかけて必死である。

 

1回目投票の後、2回目には5人中3人が脱落する。3回目で候補2人のうち1人を全会一致で選出する。1回目の協議は9月7日から始まり、同15日~20日に結果が出るものとみられている。

 

韓国の兪氏は8月6日、記者団に対し、「日本はとても重要なWTO加盟国の一つであり、WTOを率いて改革する適任者は私であることを強調する」としながら、「両国のこれまでの協力を基に支持を求めていく」と述べた。『聯合ニュース』(8月7日付)が報じた。

 

兪氏は、上記のように「両国のこれまでの協力を基に支持を求めていく」と述べている。日韓が協力したのは、世界サッカーワールド大会で共催した程度であろう。それ以外は、ことごとく紛争の歴史である。今さら「これまでの協力を基に」と言われても、日本は違和感を持つほかない。

 


韓国の文大統領は、ニュージーランド首相にWTO事務局長当選について協力を求めた。

 

文在寅大統領が7月28日午後、ニュージーランドのジャシンダ・アーダーン首相と電話会談した。アーダーン首相に世界貿易機関(WTO)事務局長選に出馬した産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の支持を呼びかけた。文大統領は「兪本部長がアジア太平洋地域の唯一の候補として出馬したが、女性であり通商専門家としてWTOの改革と多国間貿易体制の強化を導く適任者」として「ニュージーランドの支持を期待する」と明らかにした。これを受け、アーダーン首相は「ニュージーランドは貿易を重視する国であるため、WTO事務局長の選出に大きな関心がある」として「兪本部長が非常に立派な資質を備えたと聞いて注目している」と答えた。『中央日報』(7月29日付)が伝えたもの。

 

文氏は、この電話会談で兪氏について、「女性であり通商専門家として」と強調している。WTO事務局長に必要な資質は、加盟国トップと電話一本でやり取りできる政治性とされている。必ずしも通商専門家でなくてもよいのだ。文氏は、兪氏の弱点をアピールした形になった。

 

韓国大統領府は、日本が韓国の兪氏を支持するのでなくアフリカ出身の女性2氏のいずれかを支持すると伝えられていることに激怒している。「隣国としてあるまじき態度だ」というのである。連日、韓国からの報道で「反日記事」がない日はないほど。そこまで、反日を煽っておきながら、「韓国支持は当り前」という感覚が狂っているのだ。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(8月4日付)は、「WTO次期トップ有力2候補、米主張の改革支持」と題する記事を掲載した。

 

8月末に退任するアゼベド事務局長の後任には、ケニアのアミナ・モハメド氏とナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ氏が有力視されている。両氏は英フィナンシャル・タイムズ紙(FT)とのインタビューで、上級委が紛争処理手続きで本来の役割を大きく逸脱しているとの米国の批判について正当との認識を示した。WTOの紛争処理制度の最終審に当たる上級委は、米国が欠員の補充を拒否しているため機能停止に陥っている。低価格品の輸入に対抗して打ち出した規制をWTO協定違反だと繰り返し判断した上級委に対して、米国は強い不満を表明している」

 

モハメド氏は、ケニアの外相や貿易相を歴任した。オコンジョイウェアラ氏は、ナイジェリアの元財務相で、現在はワクチンの開発と接種を支援する国際官民連携団体「ガビ・ワクチンアライアンス」の理事長を務めている。このように、モハメド氏とオコンジョイウェアラ氏は、閣僚経験を持っている。韓国の兪氏が、キャリア不足であることは否めないのだ。

 

兪氏が落選しても、韓国は日本を恨んではならない。候補者のキャリアを比較して見ることが大事だろう。