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韓国大統領府に陣取る主席秘書官が全員、不動産高騰の責任をとって辞表を出したという。辞表の表向き理由は、「すべてにおいて」となっている。世間を騙す「偽装」の臭いがぷんぷんとするのだ。

 

世論の風向きが急速に悪くなっており、文大統領の支持率が急落し、不支持率が上回る逆点現象が起こっている。「幕臣」としての責任を明らかにしたのだろうが、結局は文氏に慰留されて終わるはず。茶番劇だ。

 

『中央日報』(8月8日付)は、「韓国大統領府の盧英敏氏・首席秘書官が全員辞意『総合的な責任を取る』」と題する記事を掲載した。

 

韓国青瓦台(チョンワデ、大統領府)の盧英敏(ノ・ヨンミン)秘書室長を含む首席秘書官全員が辞意を表明した。

(1)「7日、青瓦台の姜ミン碩(カン・ミンソク)報道官は春秋館ブリーフィングで、「盧英敏室長をはじめとする姜ギ正(カン・ギジョン)政務首席、金照源(キム・チョウォン)民情首席、尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席、金外淑(キム・ウェスク)人事首席、金巨性(キム・ゴソン)市民社会首席が一括で辞意を表示した」と明らかにした。「最近の状況に関連し、総合的な責任を取る」というのが理由だ」

大統領府の5人の主席秘書官が全員、辞表出すのもおかしな話だ。一人の主席秘書官が辞表を出せば済むが、それをしない理由は「形式的辞表」という意味であろう。本当は辞任したくないから「連帯責任」で責任回避を狙っている。姑息なやり方だ。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という精神であろう。

 


(2)「資産対策などに対する批判世論を意識したのかという質問に対して、青瓦台関係者は「盧室長が総合的な判断をした」と答えた。辞意を受け入れるかどうかは文在寅(ムン・ジェイン)大統領が判断する事案であるとも付け加えた」。

 

下線をつけた部分が、5人の主席秘書官の本音が見て取れる。大統領が辞表を受け取らなければ、現職に止まるというのだ。語るに落ちた言葉である。本当に責任を感じているならば、さっさと辞めればいいのだ。

 

これら主席秘書官は、多分「86世代」であろう。1960年代に生まれ、80年代に学生生活を送り、民主化闘争に加わった「元学生運動家」である。硬直的な「親中朝:反日米」派だ。1980年代の国際情勢から一歩も抜け出せないで、文政権の外交・安保の政策で失敗を重ねている「幕臣」である。文氏にとっては、同じ学生運動仲間である。彼ら「86世代」がいなければ韓国政治は動かないのであろう。文大統領が、これらの辞表を受け取るはずがない。かくて、「みそぎ」は終わったと言うことになるのだろう。

 


「86世代」の大統領府秘書官を厳しく批判する韓国進歩派学者の意見を紹介したい。

 

『中央日報』(8月7日付)は、「韓国進歩元老学者、ロウソクデモ後の民主主義の退行『学生運動エリートが問題』」と題する記事を掲載した。インタビューに答えたのは、崔章集(チェ・ジャンジブ)高麗大名誉教授である。

 

崔教授が今度は専門学術誌の論文という形でテーマを投げかけた。『韓国政治研究』最近号に掲載された「もう一度韓国民主主義を考える:危機と代案」だ。崔教授は文在寅(ムン・ジェイン)政権について「進歩と保守の間の極端な二極化と同時に民主主義の危機を招いた」とし「進歩の危機がその中心にあり、これはそれを先導した学生運動世代のエリートグループとこれと結びついた支持勢力の政治的失敗を表現する」と書いた。4日、崔教授にソウル光化門(クァンファムン)の研究室でインタビューした。

 


(1)「(朴前大統領を弾劾に追い込んだ)ロウソクデモは一つの特定勢力、特定イシューだけを持って起きたものではない。しかし
運動圏勢力(注:86世代)が中心となった文在寅政権の政治勢力は排除的・独占的方式で政治を運営し、政策を推進した。以前よりもはるかに深刻な政治の亀裂と葛藤、こうした敵対的関係を生み出すのは、よく知られているように積弊清算をモットーにした結果と見ることができる」

ロウソクデモは、韓国国民が幅広く参加した結果である。その民衆の怒りを「86世代」が乗っ取ってしまい、学生運動の手法で「敵・味方」に分類して争わせている。極めて悪質なやりかたである。文大統領は、86世代を盲目的に受入れている点で、共同責任を負うべきだ。

 

(2)「(80年代から)韓国社会は革命的といえるほどすべての次元で変わったが、彼らは当時の闘争のように敵と味方に単純に、ほとんど暴力的に区分し、(敵を)悪いものとして道徳的に糾弾し、これを清算の対象と考える。親日清算など潜在化していたり乗り越えることができる葛藤や亀裂も蒸し返して増幅させるというか。国際関係を理解する方式もあまりにも80年、90年代を再現させる。脱冷戦を越えて米中間の新しい冷戦が表れる大転換期にもかかわらずだ」

日韓問題は、朴政権によって乗り越えられる糸口が生まれたにも関わらず、「86世代」が蒸返したと指摘する。「86世代」は、1980年代の国際感覚ですべてをひっくり返していると批判。この崔章集教授は、かつて「86世代」にとって崇め奉った進歩派の大御所である。その旧師から、最も痛い所を突かれた思いかもしれない。大統領府主席秘書官が全員、辞表を書かざるを得なかった本当の理由は、ここにあるのかも知れない。