テイカカズラ
   


韓国政治が狂っている。国民の苦しみを解決せず、政府高官は自らの利益確保を求めて狂奔しているのだ。日本から見れば、「韓国は自壊する」と思わざるを得ない。自らの利益を考えず、国民から負託された任務を全うする。そういう「武士(もののふ)」は、韓国にはいないようだ。韓国の官僚制度は、近代官僚制ではなく封建官僚制そのもの。悲劇の原点はここにある。ルール通りの行政を行なう近代官僚制に対して、韓国は恣意的行政を行なう封建官僚制なのだ。

 

『朝鮮日報』(8月8日付)は、「複数住宅の青瓦台参謀たちが辞意、マンションではなく公職を手放すのか」と題する社説を掲載した。

 

盧英敏(ノ・ヨンミン)大統領秘書室長と青瓦台(大統領府)秘書室所属の大統領首席秘書官5人が昨日、一斉に辞意を表明した。姜ギ正(カン・ギジョン)政務首席秘書官、金照源(キム・ジョウォン)民情首席秘書官、尹道漢(ユン・ドハン)国民疎通首席秘書官、金外淑(キム・ウェスク)人事首席秘書官、金巨性(キム・ゴソン)市民社会首席秘書官だ。青瓦台は「最近の状況について総合的に責任を取るという意味だ」と述べた。

 

(1)「これら大統領参謀たちが辞意表明で責任を取るという「最近の状況」とは、不動産政策の失敗に伴う民心離反と、大統領支持率・与党支持率の下落だ。不動産政策失敗の責任を取るための辞意だというなら、金尚祚(キム・サンジョ)政策室長と李昊昇(イ・ホスン)経済首席秘書官がまず辞意を表明するべきだった。直接責任がある経済副首相や国土交通部長官が退くという話もない。根本的な不動産政策の基本路線は変えずに、一時的に世論だけをなだめようとしているものだ」

 

不動産高騰の行政責任を取るならば、直接の政策担当者でなければならない。ところが、最高責任者の経済副首相や国土交通部長官は辞任しない。今回の5人の主席秘書官辞任申し出には、別の理由があった。

 


(2)「今回辞意を表明した首席秘書官5人のうち3人が複数住宅所有者だ。ソウル・江南のマンションを2物件保有している民情首席秘書官は1物件を処分すると言いながら、相場より高い価格で売りに出して世論の批判を浴び、急きょ撤回した。青瓦台は「不動産取引は男性にはよく分からない場合がある」と言った。売るそぶりは見せたが、ばれると妻を言い訳にしたのだ。今回の辞意で民情首席秘書官は江南のマンションを売らなくてもよくなった。結局、マンション売却を拒否して首席秘書官の職を放り出したということなのだろうか。辞意表明の記事の下には「権力は短く、江南のマンションは永遠だ」というコメントが書き込まれた。結局、今回の一斉辞意表明は青瓦台のポスト(職)を放り出してマンション(家)を選択した参謀たちによる国民欺まんショーに過ぎない」

 

5人のうち3人は、大統領府からの高官による複数マンション所有禁止令に反して、所有し続けるという意思表示で、主席秘書官を辞めるものらしい。「(職)を放り出してマンション(家)を選択した参謀たち」というのが真相だという。

 

(3)「今、民心が激怒しているのは不動産問題だけではない。今年4月の総選挙での勝利以降、現政権が見せている暴走ぶりに、国民は首を横に振っている。総選挙圧勝に酔いしれている与党は、ひたすら力だけで押し通している。与党の国会常任委員長独占、補正予算案単独処理、長官聴聞会無視、あらゆる法案手続き・討論省略などが相次いでいる。まるで国が自分のものであるかのように行動しているのだ。参謀をかえる前に、大統領の考えからまず変えなければならない。ごう慢と独走の国政運営をまず止めなければならない。そうしないと、いくら世論をなだめようと青瓦台改編をやっても、背を向けた民心は戻らないだろう」

 

韓国政治は、漫画そのものだ。進歩派を名乗っているが、実態は「我利我利亡者」の集団である。夜盗が天下を取って、好き勝手にやっている構図だ。その夜盗が、「民主主義」だとか「公正」などと聞いた口をきくから、腹を抱えるほど可笑しく、かつ最後に侘しい気持ちにさせられるのである。

 


法務部長官(法務大臣)は、さらに上を行くから恐ろしい。検察に「紅衛兵」をつくって、文政権腐敗隠しに懸命である。司法が、時の権力の「防衛隊」に成り下がった。検察が、「正義」を実現する場所ではなくなったのだ。

 

『朝鮮日報』(8月8日付)は、「政権紅衛兵検事の昇進祭り、秋美愛式の法治破壊人事」と題する社説を掲載した。

 

(3)「韓国大統領府(青瓦台)と韓国法務部(省に相当)が7日に断行した検察の幹部人事で、政権紅衛兵の役割を果たしてきた検事らが大挙昇進し、核心要職を次々と自分たちの手中に収めた。今年1月まで権力に対する捜査を行ってきた検事らを人事虐殺したのに続き、今回は数少ない「真の検事」たちまで一気に追い出したのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長は秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官の側近グループによって完全に包囲され、孤立無援状態に陥った。

 

尹錫悦検事総長は、文大統領が指名した人事である。権力になびくと期待していたが、政権の腐敗に切り込む「正義の士」と分るや一転、追い出しにかかるという醜い姿をさらしている。文大統領は、その悪役を秋法務部長官にさせているのだ。日本では考えられないこの「醜悪」ぶりは、韓国政治の未成熟をそのまま晒している。

 


(4)「検察4大要職」と呼ばれるソウル中央地検長、検察局長、大検反腐敗部長、大検公共捜査部長はいずれも湖南(全羅南北道)出身者が独占し、検察局長は3人連続で全羅北道出身者が占めた。それでも「出身地域などを反映したバランスの取れた人事」と自画自賛している。国民を完全にばかにしているのだ。秋長官は今回の人事においても「検察総長の意見を聞いて検事の補職を提請する」と定められた検察庁法に違反し、尹総長から形式的に受け取った「推薦」の意見はことごとく無視した。この程度の違法行為は今や平気で行うようになったのだ」

 

検察人事は、検察庁に任せるもの。韓国では法務部長官が、自らの思惑で行なっている。今回の人事は、検察総長を辞任へ追い込む嫌がらせ人事とされている。政権が、「検察紅衛兵」をつくって政権を守らせる。この状態は、まさに権力腐敗の頂点である。「革命」が起こっても不思議がないほどの乱れた政治に落込んでいる。