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韓国は、あらゆることで日本と張り合うことを生きがいとしている。その一つが、軽空母の建艦である。軽空母とは、通常の空母と比べて小型である。

 

日本では、海上自衛隊が運用するヘリコプター搭載護衛艦(DDH)の艦級を指している。「いずも型」は、先行して建造・配備された「ひゅうが型」をもとに大型化し、兵装を簡素化しつつ航空運用機能や多用途性を強化したものとなっている。

 

1番艦「いずも」が平成22年度予算で、2番艦「かが」が平成24年度予算で建造された護衛艦であるため、ヘリコプター護衛艦を意味する記号の「DDH」を付けて、それぞれ22DDH、24DDHとも呼ばれる。目下、これを改造して戦闘機を登載できるように計画が進んでいる。

 

韓国は、この日本の計画に刺激されて日本よりも「大型」を狙い、韓国の優越性を世界にアピールする狙いと伝えられている。韓国の軽空母計画は、このように「反日道具」に使おうというもので、早くも韓国国内で異論が出ている。

 


『朝鮮日報』(8月8日付)は、「韓国型軽空母」と題するコラムを掲載した。筆者は、同紙のユ・ヨンウォン論説委員・軍事専門記者である。

 

(1)「日本は、太平洋戦争初期の時点では世界最大の空母大国だった。降伏後は空母を持てずにいたが、中国の台頭、トランプ大統領の登場に乗じて軽空母を保有しようとしている。「いずも」型ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)2隻を2025年ごろまでに軽空母へ改造し、F35Bステルス垂直離着陸戦闘機を積む計画だ。すると韓国政府と韓国軍も、2030年代前半の実戦配備を目標に、3万トンクラスの軽空母とF35B配備を推進するという。軽空母配備で、安全保障に役立つ側面もあるだろう」

 

専守防衛の日本が、空母と同じ機能を持つ戦闘艦保有を認められるか否か議論を呼んだ。だが、弓なり状の日本は、尖閣諸島のように遠く離れており、最近の国際情勢変化を織りこめば、空母型戦艦も必要になる、として「ヘリ型空母」が承認された。その後の情勢変化に応じ、2025年頃までに戦闘機登載型の軽空母へと改造することになった。

 

 

韓国政府と韓国軍も、2030年代前半の実戦配備を目標に、3万トンクラスの軽空母の建艦目標を立てることになった。いずも型は、満載排水量2万6000トンである。韓国の3万トンクラスは、確かに日本を上回る。

 


(2)「軽空母は、5兆ウォン(約4500億円)以上もの大変な予算がかかる事業だ。運用費もばかにならない。その効用性をきちんと問うてみるべきだ。空母保有国は、ほとんどが広い海や海外活動領域を持っている。日本の排他的経済水域は韓国の8倍を超える。専門家らは「韓国の近海、とりわけ西海は幅が狭く、空母が作戦する上で極めて脆弱(ぜいじゃく)」と語る。中国は、「空母キラー」の対艦弾道ミサイルを実戦配備した。また中ロは、マッハ10以上の極超音速ミサイルも配備している。日本もきちんとこれについていっている」

 

日本の排他的経済水域は、韓国の8倍を超える。こうなると、軽空母の必要性も高まるが、韓国は黄海と日本海だけ。黄海は空母が作戦する上で海域が狭くて、空母の必要性が薄いという。となると、韓国の軽空母は、「お飾り」程度の役割しかない。

 

(3)「韓国には、これを防御する手段がない。有事の際、韓国の軽空母が中・日・ロにとってお手軽な「高価値ターゲット」になる-という意味だ。韓国には、F35Bより武装の量が多いF35Aが必要だ。ところが、F35A配備の予算でF35Bを買うのではないか、という懸念が持ち上がっている。さまざまな論争にもかかわらず、むしろ軽空母配備論が加速しているのは、文在寅(ムン・ジェイン)大統領のせいだという話が絶えない。青瓦台(韓国大統領府)が、「日本の軽空母より韓国のものの方が大きいということを積極的にPRすべき」と言った、という話も聞かれる。冷徹に分析、推進すべき戦力増強すら反日の政治論理の影響を受けているのではないかと懸念される」

 

韓国で、軽空母建艦論が高まっているのは、文大統領に原因があるという。文氏が、反日を意識して、「日本に負けるな」と煽っているのだ。だから、日本よりも大きい「3万トン」を目標にしている。この大統領では、韓国の運命は危ない。経済合理性を考えていないからだ。