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韓国大統領府主席秘書官など6人が、一度に文大統領へ辞表を提出した。理由は、自らが住宅値上がり益に預かった責任をとる、というもの。なんとも締まらない話だ。住宅政策がことごとく失敗したのは、購入規制を掛けて住宅供給面に配慮がなかったからだ。この結果、住宅対策を発表するたびに、住宅が値上りする事態を招いた。この住宅対策は、20回に及んだという。学生運動家上がりで、専門知識もない大統領主席秘書官には荷が勝ちすぎのである。

 

『ロイター』(8月6日付)は、「ソウル住宅価格高騰、遠のく中流の夢と高まる政権批判」と題する記事を掲載した。

 

(1)「韓国では2月、新型コロナウイルスの感染拡大により失業率が跳ね上がったにもかかわらず、インテリアデザイナーのベク・ソンミンさん(35)は妻に看護職を辞めるよう頼んだ。マンション購入という長年の夢をかなえるためだ。高騰する不動産価格を冷やすため、政府は一連の措置を導入。この措置を受けベクさんは、妻が年収5800万ウォン(約500万円)の仕事を辞めればマンションを買える確率は高まると考えた」

 

住宅購入の所得制限をクリアするべく、妻に仕事を辞めさせることまで考えるとは、異常である。いかにも左派が考えやすい安易な手法だ。それよりも住宅供給を増やせば需給バランスが取れる、という基本原則を忘れていた。

 

(2)「政府は低所得の「新婚」夫婦が住宅を入手しやすくなるよう、新規開発物件の購入に割当制度を導入した。ベクさんは、妻の収入をしばらく無くすことで、この制度の応募要件を満たす水準まで2人の合計年収を下げようと考えた。だが結局、ベクさん夫妻は職場のあるソウルから西に2時間の仁川に居を構えることに決めた。住宅ローンの借り入れ規則がソウルより緩く、物件価格もはるかに安いからだ。「ソウルの住宅価格は、とても手が届かなくなった。仁川くんだりまで行かなければ住居を買えなかった」とベクさん。「政府はローン規制によって私たちの夢を粉々にし、住宅を買うなと言うようなものだ。頭にきた

 

ローン規制とは、中国からヒントを得たのであろう。発想法が、市場経済原則でなく、社会主義原則の中国を真似していたことが分った。住まいの恨みは、文政権にとっては手痛い失敗になった。

 


(3)「文在寅(ムン・ジェイン)政権が20を超える住宅価格鎮静化策を導入したにもかかわらず、調査会社ナンビオによると、ソウルの住宅価格は2017年以来、50%以上も上昇した。上昇スピードは世界一だ。これにより、多くの若い家族の夢は砕けた。韓国経済の発展を支えてきた「中産階級」入りが、手の届かない夢になった可能性もある。進歩派の文大統領は2017年の就任時、全国民に平等な環境を提供し、一生懸命に働けば家族を養い、家を買える社会を実現すると誓った」

 

過去3年で、ソウルの住宅価格は50%もの値上りである。これでは多くの若い家族が住宅を購入できずにいたはずだ。投機抑制には、住宅供給増と金利引上げを並行すべきであった。不況下で利上げできぬ状況とは言え、住宅ローン金利を操作するなど、きめ細かい手を打てたはずだ。

 

(4)「しかし、LTV(不動産価格に対する借入金比率)を大幅引き下げる住宅ローン規制の強化と、投機抑制のためのさまざまな税制措置を導入した結果、家賃も上がり、求められる頭金の額も増加。こうした政策で救おうとした人々を害する結果になっている。ソウルの規制では、借り入れ上限が住宅価格の40%と定められている。「金のスプーン」をくわえて生まれた金持ちの子供は現金で家を買えるが、「汚れたスプーン」の子供は二級市民から抜け出せず、文大統領が取り組むと約束した格差をさらにあおるだけだ、との批判も出る」

 

住宅供給が増えない状況で、住宅ローン規制を強化すれば、住宅はますます希少価値となって、思惑だけで住宅価格は高騰して当然だ。こういう微妙な消費者心理を読めなかったのだ。

 


(5)「弁護士や税理士への取材によると、持ち家の「階段」を上るためにわざと所得を削る計略のほか、書類上は離婚して不動産税を減らしたり、結婚届を出さず夫妻がそれぞれ住宅購入を申請できるようにしたりするなど、市民はあの手この手で住宅購入を試みている。新型コロナ対策が成功し、一時は支持率が急上昇した文大統領だが、6日発表の世論調査によると、経済政策への怒りから支持率は44.5%と、約9カ月ぶりの低水準に下がった。

 

下線分は、中国の市民がやっていた手段と瓜二つで驚く。仮装離婚したが、それが「本物離婚」に利用されたなど、中国の巷で話題になったものだ。韓国でも同じようなことが行なわれている。この中韓民族には、実に共通点があって興味深い。韓国市民の住宅にまつわる悲話は、文政権への不信感となる。