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韓国の進歩派を名乗る人々は、理由もなく「自分は道徳的に優れている」と思い込んでいる。韓国朱子学が残した最悪ケースである。自ら努力して徳を高めた人間が、他人を見下すことはあり得ない。思い込みだけで、自分は「道徳家」と信じている。これほど「質の悪い」人種はいないだろう。

 

日韓外交が溝を深めている背景には、韓国進歩派の度外れた「道徳主義」がある。慰安婦問題、徴用工賠償問題。いずれも日韓で解決したはずの問題を蒸し返す。人権=道徳主義という韓国進歩派に、これ以上の「好餌」はない。「待ってました」とばかりに、穿り返して日本への対決姿勢を強めているのだ。

 

『日本経済新聞』(8月9日付)は、「日韓外交阻む『善』と『悪』」と題する記事を掲載した。筆者は、同紙編集委員 峯岸博氏である。

 

日本と韓国の外交は底なし沼にはまってしまったかのようだ。両国の政治家のあいだでは、どう抜けだすかという解決策を飛び越して対抗策の議論がにぎやかだ。こういうときは先人に学ぼうと、英国外交官だったH・ニコルソンの名著「外交」を手に取った。

 

(1)「外交官の中で最悪の部類として「宣教師、狂信家そして法律家」を挙げている。ある一派の考え方を「善」、他派を「悪」とみなすことで独善などの恐ろしい危険に人々を巻き込みかねないと警告した。人権弁護士出身の文在寅(ムン・ジェイン)大統領を含め、ナショナリズムを外交の場に持ち込みがちないまの日韓関係を映す鏡のようだ3年前の小欄で、安倍晋三首相と文大統領の指導力に期待した。いずれも小泉純一郎、盧武鉉(ノ・ムヒョン)両政権時代に補佐役として首脳外交の失敗をつぶさに見ていた。それぞれ保守と革新を代表する力のある政治家なので手を結べば新たな時代を作れる、必ずしも悪い組み合わせではないと考えたからだ。実際はそうならなかった」

 

文在寅氏は、大統領の器でなかった。大統領になってはいけない人である。日韓対立のほか、韓国国内では、政権を守るために「検察紅衛兵」をつくる始末だ。韓国没落のトリガーを引く大統領だ。

 

(2)「ここまでこじれた理由は、日本でも大ブームとなった韓国ドラマにもヒントを見いだせる。「愛の不時着」がヒットした秘訣は、北朝鮮で出会った男女が分断国家ゆえに南北に離れてしまうと会えなくなる切なさに加え、ベールに包まれている北朝鮮の庶民の暮らしぶりが再現された点が挙げられる。やはり人気の「梨泰院クラス」は、運命を狂わされた主人公が強大な敵に復讐(ふくしゅう)を遂げるストーリーが受けている。「分断」「復讐」は文政権のキーワードと重なる」

文氏が、いくらポピュリズム大統領とはいえ、民衆の「分断」と「復讐」を政治に取り入れることが、いかなる対外的リアクションを引き起すか。それを考えるべきだ。民衆の感情に引きずられていては、韓国の明日を示すシグナルを発することが不可能。文氏は今、その危険な局面にいる。

 

(3)「民族同士が血で血を洗った朝鮮戦争と分断の固定化による痛みを日本人は実感しにくい。さらにわかりにくいのは、革新派による復讐の矛先が日本以上に国内保守派に向けられている本質だ。3年前の政権交代を機に社会のエスタブリッシュメントが革新派に代わり、保守政権下で長く隠されてきた人権侵害に光が当たるようになった。従軍慰安婦や徴用工問題も、韓国では現代に通じる人権問題としてとらえられる。最近も革新系与党所属の自治体首長にセクハラ疑惑が相次ぎ、多くの大統領府高官にも複数の不動産所有が明らかになると、若者や女性が「道徳や正義に反する」と反旗を翻し、文大統領の支持率が急落した」

 

反日=国内保守派排撃という公式である。進歩派は、反日をテコに国内保守派を一掃して、進歩派独裁政権を夢見ている。それが、韓国の将来にいかなる影響をもたらすかというマクロの視点はゼロだ。要するに、朝鮮半島を統一する上に、国内保守が邪魔である。それを排除するには、「共通の敵・日本」を標的に据えて保守派を叩く。文氏とその取り巻き連中の描く構図であろう。

 

(4)「日韓両政府間では、難交渉の末にこぎ着けた慰安婦合意や請求権協定といった取り決めがないがしろにされ、信頼関係は崩れた。日韓外交は善悪二元論で解決することはできない。では、もつれた関係をどう解きほぐすか。ニコルソンが理想とした外交の資質は、誠実、正確、平静、忍耐、よい機嫌、謙虚および忠誠だ。相手を冷静に見つめ直すところから始める必要もあるのではないか」

 

韓国は、「感情8割:理性2割」とされる国民性である。「誠実、正確、平静、忍耐、よい機嫌、謙虚および忠誠」など、最初から持ち合わせていないと見るべきだ。となれば、日韓関係改善は、不可能であろう。不幸な「隣人」を持ったと言うほかない。