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米中対立が抜き差しならぬ局面に向かうとともに、中国から部分移転計画の企業が増えていることが分った。米国企業だけでなく、北アジア企業、中国企業も「中国脱走」計画という仰天すべき調査結果が出たのだ。米国市場の魅力が、中国市場よりも勝っている証拠であろう。習近平氏は、こういう現実を知らないで「強気一辺倒」では、取り返しのつかない事態に陥るであろう。中国の敗北だ。

 

『大紀元』(8月11日付)は、「中国撤退に強い意欲、76%の米企業が移転の意向ースイス銀行が調査」と題する記事を掲載した。

 

中国、北アジア、米国での起業家アンケート調査では、調査対象企業の60%、85%、76%が、生産能力の一部を中国から移転したか、または移転する予定があると回答している。

 

(1)「スイス銀行(UBS)の最近の調査によると、輸出志向型企業はその生産能力の一部を中国から移転する強い意欲を示している。多くのサプライチェーンの移転は、中国製造業への投資をさらに制限することになる。UBSのリサーチ部門、UBSエビデンス・ラボの起業家アンケート調査によると、中国では60%、北アジアでは85%、米国では76%の回答者が、生産能力の一部を中国から移転したか、または移転する予定があると回答している。現在、外資系企業は生産能力の一部を中国から移転することに意欲的になっており、この2年間でその傾向が強まっている」

 

中国企業は60%、北アジア企業は85%、米国企業は76%の回答者が、生産能力の一部を中国から移転したか、または移転する予定があるという。ここで驚くのは、中国企業も中国を脱出することだ。輸出企業にとっては、中国に止まるリスクが大きくなってきたのであろう。

 


(2)「スイスのUBSグループの汪濤アジア経済研究主幹兼チーフ中国エコノミストは、「外資系企業がサプライチェーンを中国以外に移転することや、中国本土への投資の遅れは、中国製造業への投資に2%の影響を与える可能性がある」と分析している。同氏はさらに「サプライチェーンの移転は他の関連業界にも波及するので、経済全体への影響がさらに大きくなる可能性がある」との考えを示した。それ以外にも、長期的に見た科学技術分野での米中分断が最も懸念される。中国側が先端技術を獲得できず、情報交換ができなければ、今後数年でこの分野の生産性や潜在的な経済成長が低下する可能性がある」

 

下線部分の指摘は重要である。中国側が先端技術を獲得できず、情報交換ができなければ、今後数年でこの分野の生産性や潜在的な経済成長が低下する可能性がある点だ。先進企業が、中国を去れば諸々の損害を受ける。技術情報の杜絶は、決定的な出遅れ要因になる。これが、経済成長率を低下させるのだ。

 

(3)「今年から、国際社会は科学技術の分野での「脱・中国化」が加速している。たとえば、ファーウェイは9月以降、チップを購入できなくなり、iPhoneの製造工場は中国から撤退し始め、サムスンも製造ラインを中国から移している。さらに米国はWeChatTikTokを禁じ、インドでも、WeChatTikTok、百度、ウェイボーなど100以上の中国製アプリを禁止した」

 

米国が、本格的な米中デカップリングに動き出している。米国から切り離された中国企業は弱いものだ。米国から技術をスパイしてくる中国である。「泥棒国家」が、米国の出入りを禁じられれば、自らできることは限られる。習近平氏には、こういう本質的弱点を抱えていることが理解できなかったのだ。

 


(4)「「中国人民銀行の易綱総裁は89日、中国経済は世界の景気回復を「リードしている」、第2四半期では世界で唯一プラス成長を遂げた主要経済国だと前向きな発言を連発した。しかし、米紙『ボイス・オブ・アメリカ』は4日、専門家の分析を引用し、「多くの専門家が中国の第2四半期の経済データに疑問を持っている」と指摘した。さらに「疫病流行が続く中、中国では都市や地区が封鎖され、さらに洪水災害は27の省に影響を与えている。このような大規模かつ深刻な災害環境の中で、中国経済がどのようにして持続的な回復に必要な勢いを得ることができるのか、想像しにくい」と述べた」

 

専門家は、4~6月期の中国GDPが+3.2%成長になったことに疑問の眼差しを向けているという。不動産だけが支えた経済であるからだ。相変わらずの「住宅バブル」が、押し上げた「怪しげな経済」である点に変わりない。