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米国政府は、新型コロナウイルスのワクチンで新興医薬品企業モデルナと供給契約を結んだ。コロナ・パンデミックは燃えさかっている一方、ワクチン価格が明らかになるなど、防疫体制も進んでいる。

 

米国のワクチン価格は、1人2回接種で30.50ドル(約3200円)と決定。大衆価格とは言えないまでも、最初に登場するワクチン価格であることを考えれば、今後の量産化によってしだいに引下げられるであろう。それを期待したいものだ。

 

『ロイター』(8月11日付)は、米、コロナワクチン供給でモデルナと合意、15億ドルで1億回分」と題する記事を掲載した。

 

米政府は、バイオ医薬大手の米モデルナが開発中の新型コロナウイルスワクチンについて、約15億ドルで1億回分の供給を受けることで同社と合意した。ホワイトハウスとモデルナが11日に発表した。

 

(1)「米政府は、国内で年末までにコロナワクチン提供を目指す「ワープ・スピード作戦」の下、過去数週間に複数企業のワクチン候補について数億回分の供給で合意している。モデルナのワクチン価格は、2回投与方式で1人当たり約30.50ドルの計算となる。モデルナのワクチン候補は後期段階の臨床試験(治験)に入っており、同社は9月にも完了するとの見通しを示している」

 

モデルナの最終臨床試験はすでに7月から入っており、9月にも完了するとの見通しという。トランプ大統領は、このワクチンで劣勢な大統領選挙を一気に挽回させる意気込みであろう。「G7」開催を11月の大統領選挙後に延ばしたのは、自らの当選に自信を持っている証拠。その切り札が、コロナワクチンである。

 


(2)「英アストラゼネカは米政府から研究・開発資金の支援を事前に受ける代わりに比較的低い価格を提示しているが、その他製薬会社と米政府の合意はいずれも、2回投与方式で1人当たり20~42ドル(約2100~4410円)の価格設定となっている」

 

米政府は、英アストラゼネカやその他の製薬会社との合意で、1人当たり約2100~4410円となる。開発メーカーによって価格が異なる。これでは、国民に不公平を生むので、政府が調整して「同一価格」にするのであろう。

 

(3)「米政府はこのほか、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、アストラゼネカのワクチン候補に加え、米ファイザーと独ビオンテック、仏サノフィと英グラクソ・スミスクラインがそれぞれ共同開発するワクチンについても、供給を受けることで合意している。規制当局の承認を得られれば、米国内向けに5億回分以上を確保することになる。一部の合意では、米国に追加購入のオプションも与えている」

 

米国政府は、米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、米ファイザーと独ビオンテック、仏サノフィと英グラクソ・スミスクラインともワクチン購入の契約を結んでいる。この「独占的な契約」が、貧困国へのワクチン配分が遅れるという懸念も指摘されている。難しい判断だ。

 

ワクチン開発でこれまで話題に上がらなかったロシアが、接種を開始したというニュースを発表した。

 

『中央日報』(8月12日付)は、「ロシア、コロナワクチン世界で初めて登録、プーチン氏『私の娘も打った』」と題する記事を掲載した。

 

ロシアで新型コロナウイルス(新型肺炎)ワクチンが公式に登録されたとウラジーミル・プーチン大統領が11日(現地時間)、発表した。コロナワクチンが正式に登録されたのは世界で初めてだ。

(4)「CNNなど外信によると、プーチン大統領はこの日遠隔内閣会議を主宰しながら「今朝、ロシアが世界で初めて新型コロナワクチンを登録した」としながら「このワクチンは効き目があり持続的に免疫を形成する」と明らかにした。プーチン氏が言及したワクチンは、ロシア保健省傘下の「国立ガマレヤ疫学・微生物学研究所」が国防省の中央科学研究所とともに開発したワクチンだ。ガマレヤ研究所はロシアのソブリン・ウェルス・ファンドである「直接投資基金(RDIF)」の投資を受けてワクチンの開発を進めてきた。ロシアはワクチンの名称を、旧ソ連時代に世界で初めて宇宙に打ち上げられた人工衛星の名前にちなんで「スプートニクV」と名付けた」

 

ロシアのワクチン開発が、接種段階とは驚きである。初の人工衛星「スプートニク」並みのニュースである。


(5)「プーチン氏はワクチンが必要な手順を踏んで承認されたと強調したが、このワクチンは治験第III相試験をまだ終えていない状態であることから懸念の声もあがっている。ワクチン開発競争で勝つために安定性と効能が十分に検証されていないワクチンを承認したのではないかという指摘だ。ロシア研究陣はワクチン第I相試験と第II相試験に対する結果データも科学紙に発表しなかった」

(6)「ワクチンは通常、3段階の臨床試験(治験)を通じて安定性と効果を検証する。特に最後の第III相試験は数千~数万人を対象に、商用化が可能かどうかを評価する最も重要な段階だ。だが、ガマレア研究所のワクチンは先月中旬にモスクワのセチェノフ医大とプルデンコ軍事病院でそれぞれ38人ずつの志願者を対象にした第I相試験を完了した。その後、研究所側は8月初めまでに第II相試験を終えると明らかにしたが、詳しい内容は公開しなかった。日程から判断すると、ロシア当局が第III相段階を経ずにすぐにワクチンを登録したとみられる」

 

中国のワクチンも、最終治験が済んでいない状態だ。人民解放軍で実施するとしている。実際の患者がいなければ、治験は不可能である。幸か不幸か、欧米では多くの新型コロナウイルス患者がいるので、最終治験が行ないやすい環境にある。

 


(7)「世界保健機関(WHO)は11日、ロシアが開発したコロナワクチンに対して事前資格審査手続きを議論中だと明らかにした。WHO審査を通過しても、ロシアによって作られたワクチンが世界各国で使われる可能性は高くない。ワクチンを使うためには該当国家の承認を得なければならないが、第III相試験を正式に終えていないワクチンが米国食品医薬局(FDA)や欧州医薬品庁(EMA)などの検査を通過するのは難しいためだ。ロシア当局は、「中南米および中東、アジア諸国がロシアのコロナワクチンに大きな関心を示している」としながら「すでに20カ国を超える国々から10億回分をはるかに超える量の供給要請があった」と明らかにした」

ロシアは、最終治験が終わらない段階であるので、広く世界が採用できる状況にない。WHOとしては、このロシア製ワクチンの扱いをどうするのか。頭の痛い問題が出てきた。