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文大統領は、学生時代に軍事政権打倒で火焔瓶闘争した猛者である。その文氏が、軍事政権並みの発言をして韓国世論を驚かせている。新型コロナウイルス第二波を抑え込むために、韓国憲法が保障する「基本権」を制限すると発言したのだ。「K防疫モデル」と自画自賛したコロナ対策は、今や完全に破綻した。中国並みの強硬策を発動すると言い出したのである。

 

確かに、韓国はちょっと油断している間にコロナが蔓延している。81日から17日の間、新型コロナウイルス実効再生産数は2.83。1人の感染者が最大3人にウイルスをうつしたことを意味するもの。日本は、7月から8月における実効再生産数は1を割っていた。日本中が政府を責め立てていたにもかかわらず、実態はこの程度であった。それに比べて韓国は、まさに「猖獗(しょうけつ)を極める」状況だ。

 

『中央日報』(8月25日付)は、「文大統領『防疫にオールイン』基本権制限持ち出した」と題する記事を掲載した。

 

(1)「文在寅(ムン・ジェイン)大統領は24日、「いかなる宗教的自由も、集会の自由も、表現の自由も、国民にそのような途轍もない被害をもたらしてまで主張することはできないだろう」と話した。文大統領はこの日の青瓦台(チョンワデ、韓国大統領府)首席秘書官・補佐官会議で、「政府は国民の安全と公共の安寧を守るための手段として公権力の厳正さを明確に立てたい」としてこのように話した。新型コロナウイルス防疫のためには憲法上の基本権が制限される可能性があることに言及したものだ」

下線部のように、新型コロナウイルス防疫のため、憲法で保障されている基本権(基本的人権)を制限する可能性に言及した。そこまで、韓国がコロナ感染症に追い込まれている証拠だ。感染症第一波の際に自画自賛した「K防疫モデル」が、国民を油断させたのである。国民を責める前に、政府の自惚れをまず国民に謝罪すべきであろう。

 

日本政府が、こんな発言をしたら大変な騒ぎになったであろう。改めて、日本国民の協力が非常事態宣言まがいの発言をさせずに済んだ、というべきだろう。

 


(2)「文大統領は、「国民の生命と安全を害する違法行為を座視しない」「悪意的で組織的な防疫妨害とフェイクニュース流布は共同体を害する反社会的犯罪」「行政命令を拒否して防疫に協力しなかったり、無断で離脱したりするなど個人の逸脱行為もまた容認できない」とし、こうした行動が国民に負わせた「途轍もない被害」の事例を列挙した。「多くの国民の生命と健康を害し、日常を止まらせ、経済と雇用にも大きな打撃を与えた」「一息つくかと思われた旅行と公演などのサービス業に致命打となり、さらに集中豪雨被害の復旧すら厳しくさせた」ということだ」

 

韓国の民主主義は、この程度という見本みたいな話が羅列されている。問題は、韓国の防疫体制が、科学的データに基づかずに政府の介入によって左右されていた結果、引き起された感染者急増と言える。

 

先の総選挙の与党大勝は、「K防疫モデル」成功で国民を酔わせてしまったのである。これが、国民にコロナ感染の恐ろしさを芯から自覚させず、浮ついた行動を誘発させたと見られる。今回の感染者急増は、煎じ詰めれば文政権が引き起したものと言える。


(3)「文大統領が宗教や集会の自由だけでなく表現の自由にまで言及し、特定のニュースを取り上げずに「フェイクニュース流布は共同体を害する犯罪」と断定したことは議論を呼びそうだ。未来統合党の重鎮議員は中央日報に「あたかも新型コロナ再拡散の責任を宗教・集会・表現の自由へ押しつけている」と批判した」

 

韓国政府特有の責任回避発言である。悪いのは、宗教やメディアのフェイクニュースと責任を押し付けているのだ。



(4)「この日文大統領は現在の状況を「コロナ流行初期の新天地教会の状況よりはるかに厳しい非常状況」と規定し、「ソウルと首都圏が感染拡大の中心地となり、全国どこも安全地帯になれずにいる」とした。続けて「現段階で防ぐことができなければ社会的距離確保(ソーシャルディスタンス)は3段階に格上げされるほかない。3段階格上げは決して簡単に話せる選択ではない。日常が停止し、雇用が崩れ、実に莫大な経済打撃に耐えなければならない。医療体系まで崩壊しかねない」と話した」

下線の段階になれば、ロックダウン(都市封鎖)になろう。韓国経済はキリモミ状態で落込む。韓国銀行(中央銀行)は、今年の実質GDP成長率を下方修正する見込みだ。従来のマイナス0.2%を、マイナス1%前後に下方修正すると伝えられている。新型コロナウイルス感染症が、全国的に再拡大し民間消費の冷え込むと予想されるからだ。

(5)「公共医大定員拡大などの問題で政府と対立している医療界に向けても文大統領は「新型コロナ感染拡大阻止に国家的能力を集めなければならない状況で国民の生命を担保にする集団行動は決して支持を受けることはできない。国民の生命権を保護するためにも、休診や休業などの違法な集団的実力行使に対し断固として対応するほかない」と話した」

 

医師のストライキも見過ごさないと警告している。軍事政権並みの強硬姿勢だ。これが、「人権派弁護士・文在寅」の本当の姿であろう。



(6)「新型コロナ防疫に向けた基本権制限の可能性にまで言及し、「防疫挑戦勢力」と指摘した文在寅大統領の24日の発言をめぐり学者の間では懸念が提起された。高麗(コリョ)大学法学専門大学院のチャン・ヨンス教授は「基本権とこれを制限する公共福利の価値の間には常に議論の余地があった。そのために憲法で基本権を制限できる条件を恣意的な判断ではなく法律で制限したもの」と話した。チャン教授は続けて「今後関連した違憲訴訟が提起される懸念も排除することはできない」と付け加えた」

訴訟社会の韓国である。基本権制限まで言い出した文大統領に対して、違憲訴訟が起こる可能性を指摘している。それほど重大な大統領発言である。