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パンデミックで世界中へ大変な経済的損失を与えた中国が、窮地に立たされている。中国と外交関係を結んでいるチェコが、「一つの中国論」を無視して、上院議長が89人もの大使節団を率いて台湾へ到着した。中国の反対を無視しての訪問である。中国はメンツを潰された形であり、米国は拍手を送っている。中国外交の綻びを象徴する話題である。

 

今回は、ヴァーツラフ・ハヴェル元チェコ初代大統領の遺志を継いでの訪台であるハヴェル氏は1968年、プラハの春と呼ばれる改革運動が、ワルシャワ条約機構軍によって潰された後の「正常化」時代に、反体制運動の指導者として活動した。共産党政権打倒のビロード革命後の1989年12月に連邦最後の大統領に選出され、チェコスロバキア解体後の1993年1月に新たに成立したチェコの初代大統領に就任、1998年に再選され、2003年2月の任期満了で退任した。台湾にとっては、得がたいチェコからの賓客である。

 

『日本経済新聞 電子版』(8月30日付)は、「チェコ代表団が台湾に到着『卑劣な行為』と中国反発」と題する記事を掲載した。

 

チェコのミロシュ・ビストルチル上院議長ら代表団89人が30日、台湾に到着した。台湾とは国交はないが、公式訪問を通じ、関係強化を図る。中国は、中国大陸と台湾は1つの国に属するという「一つの中国」を主張しており、今回の訪問は主張に反する「卑劣な行為」だとして激しく非難した。

 


(1)「代表団は、チェコのナンバー2であるビストルチル上院議長のほか、研究者、経済人、メディア関係者らで構成された。台湾の総統府によると、93日に蔡英文(ツァイ・インウェン)総統との会談も予定している。チェコ上院は5月、今回の台湾への訪問支持を圧倒的多数で決めた。代表団は首都プラハ出発を前に「今回の台湾訪問はチェコのヴァーツラフ・ハヴェル元大統領の精神を示すことだ」と強調した」

 

チェコが苦しい経験を経て、民主主義国になった経緯は、台湾の民主化とも深く関わっている。中国政府が反対しようが非難しようが、チェコ代表団はそんな雑音に屈せずに訪台した。この裏には、米国の支援があることは間違いあるまい。何か、すがすがしい話である。

 

(2)「2011年に死去したハヴェル元大統領は1989年当時のチェコスロバキア共産政権を非暴力で倒した「ビロード革命」の立役者で、チェコの初代大統領。中国の圧力を受ける台湾の国際社会への復帰を願い、国連加盟の働きかけを行うなど台湾との関係も深かった。ハヴェル氏の遺志を継ぎ、2月にヤロスラフ・クベラ前上院議長が中国の反発を振り切り、訪台予定だったが、直前の1月に急逝した。今回の代表団はいったん中止となった訪台を実現した形となる。台湾の外交部(外務省)は「心から歓迎する」とのコメントを発表した」

 

今回のチェコ代表団の訪台は、台湾の人々にも大きな勇気と連帯のメッセージを残すだろう。チェコのゼマン大統領やバビシュ首相は、チェコの外交方針に反するなどとして今回の訪問に反対を表明している。ただ、チェコ国内では、旧ソビエトの強い影響下にあった時代にも民主化を求めた不屈の闘志を見せてきた。こうして、チェコに圧力をかける中国への反発も強く、今回の台湾訪問を支持する声も少なくないと報じられている。チェコ訪問団に続いて、「一つの中国論」を無視した訪問団が現れるだろう。

 


(3)「チェコ代表団の訪台は米国も歓迎している。今月、東欧を歴訪したポンペオ米国務長官は12日、チェコ上院で演説して中国を非難し、チェコ代表団の訪台を強く支持した。アザー米厚生長官も、米国の閣僚として6年ぶりに台湾を訪問したばかりで、中国への反発姿勢を強めている。台湾メディアによると、チェコ代表団の滞在最終日となる94日には、米国の対台湾窓口機関である米国在台湾協会(AIT)も参加し、共同でフォーラムを開く予定もある」

 

米国も参加して、チェコ・台湾の三者でフォーラムを開催するという。共産主義反対という大きな声を発するのであろう。

 

(4)「チェコと中国を巡っては、プラハ市が台湾問題を理由に昨年10月、北京市との姉妹都市協定を解消し、台北市と姉妹都市協定を結ぶなど、関係が特に最近悪化している」

 

プラハ市は、北京市との姉妹都市協定を破棄し、台北市と姉妹都市協定を結んでいる。都市レベルでも、チェコの「脱中国」が進んでいる。中国の「戦狼外交」の弊害によるものであろう。