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中国ファーウェイは、次世代通信網「5G」で世界制覇を狙ってきた。中国人民解放軍の隠れたパートナーであることは、米国によって究明済みである。中国スパイ網の一端を担ってきたのだ。米国ファーウェイ・オフィスの地下室には、関係者以外に立入禁止の特別通信室があると指摘されている。スパイ活動に使われていると予測されている。

 

このファーウェイが、9月15日から米国技術とソフトウエアを使用するすべての製品について輸入禁止措置を受ける。ファーウェイといえども、高級部品は米国依存である。米国から技術やソフトウエアの輸入が止められれば、お手上げである。米国のファーウェイ「枯れ死作戦」が、今日から全面展開される。

 

『中央日報』(9月15日付)は、「ファーウェイ『枯死作戦』発効、韓国企業の損益計算は」と題する記事を掲載した。

 

特段の状況変化がなければ米国の強化されたファーウェイ追加制裁は9月15日に発効される。この日からはどの企業であれ米国の技術を使って生産された製品をファーウェイに売るには米商務省の特別許可を受けなければならない。ファーウェイは存廃の岐路に立たされ、韓国もすでにその渦に巻き込まれた。「ファーウェイ枯死作戦」が及ぼす影響と行方を5大観戦ポイントから探ってみた。



(1)「短期的に(韓国への)影響は避けられない。ファーウェイは韓国にとって大口顧客だ。昨年だけで13兆ウォン相当の韓国製部品を購入した。5年間の累積購入額は40兆ウォンに迫る。中長期的には韓国企業の利益が期待される。スマートフォン市場で年間2億台を売るファーウェイが市場から締め出されればサムスンとLGエレクトロニクスがシェアの一部を得られそうだ。ファーウェイが市場1位の5G通信装備市場ではサムスン電子の恩恵が予想される」

 

目先的に言えば、これまでのファーウェイ向け輸出実績が消えるから、韓国企業にはマイナスである。だが、中長期的には、ファーウェイのスマホの売り上げ減が、サムスンのスマホ売上増に結びつく。差し引きでプラスに転じるはずだ。

 

これは、韓国の「二股外交」へ痛烈な教訓を与える。韓国が、中国との縁を切っても他国の需要増で補えるという事実だ。これまで「二股外交」を行う理由として、中国の経済的地位の高さを上げているが、中国経済が米国の制裁で没落すれば、他国市場でカバーできるのだ。その予行演習が、今始まったと考えるべきであろう。

 

(2)「故意であれ過失であれ、米国の制裁に違反すれば破産まで覚悟しなければならない。米商務省によると、ファーウェイ制裁違反時には最大20年の実刑と違反1件当たり100万ドルの罰金に相当する刑事処分を受ける。また、違反1件当たり取引金額の最大2倍を罰金(行政処分)として支払わなければならない。こうした規定よりさらに恐ろしいのは制裁違反時に米国の直接ターゲットになる恐れがあるという点だ。アーノルド&ポーターのイ・スミ弁護士は「制裁違反かどうか判断がつかないならひとまず輸出や再輸出を中断すべき」と警告した」

 

米国は、ルール違反に厳罰で臨む国である。韓国企業が「二股外交」をやれば、たちどころに米国の制裁を受ける羽目となろう。

(3)「ファーウェイは、生存できるか。事実上、それは不可能だ。ファーウェイは大量確保した部品在庫でひとまずしのぐと同時に「1人立ち」を模索するものとみられる。グーグルのアンドロイドの代わりにスマートフォン用基本ソフト(OS)「ハーモニー」を独自開発したのも同じ脈絡だ。だがファーウェイが米国の制裁の間隙を突いて通信装備とスマートフォンを製造する方法はほとんどない。英フィナンシャル・タイムズが「ファーウェイが死刑宣告を受けた」と評価した理由だ。

習近平氏の誤算はここにあった。自国の技術レベルを認識せずに、米国へ喧嘩を売ったからだ。中国による米国覇権へ挑戦するとの宣言は、米国へ喧嘩を売ったのも同然なのだ。外交上から見ても、言ってはならぬ言葉であり大失敗である。

 

ソ連のフルシチョフ書記長はかつて、国連で米国打倒演説を行い、米国の巻き返しで自滅した経緯がある。中国も同じ道を歩むだろう。



(4)「中国政府は米国がファーウェイに対する追加制裁を発表してからこれに対する公式な立場を明らかにしていない。習近平政権が貿易紛争拡大を懸念し対米報復に負担を持っているという分析が多い。代わりに国営メディアを通じて世論戦を展開している。国営環球時報英文版のグローバルタイムズは10日付のコラムで「米国のタカ派が米中間の経済・貿易関係を断とうとしても両国の深い相互依存性をなくすことはできない」と強調した。5日には「中国が保有する米国債をすべて売ることもできる」と警告した。注目すべきは中国メディアが欧州連合(EU)と中国との協力を強調する社説と記事を連日吐き出しているという点だ。米国に対抗しEUを中国側に引き込むための布石だ」

EUも中国と距離を置き始めている。香港の人権問題やパンデミックが、中国との関係を見直させている。中国は慌てているが、ことは人権弾圧でありEUとの距離は開くばかりだ。

(5)「11月の米大統領選挙を控えトランプ大統領は連日民主党のバイデン候補を「親中派」扱いしている。米国内に広がっている反中感情を利用した戦略だ。一部ではバイデン候補が当選すれば中国に融和策を展開するとみている。だが最近ウォール・ストリート・ジャーナルは「バイデン氏の対中観が変わった。だれが当選しようと米国の対中政策はさらに強硬になるだろう」と報道した」

 

米国次期大統領にバイデン氏がなっても、米中対立は緩和されるどころか一層、厳しくなるばかりであろう。中国は、米国の「尾」を踏んでしまったのだ。