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8月末、中国と国交のあるチェコが、上院議長を団長に99名の大型使節団を台湾へ送った。「一つの中国」によれば、台湾訪問がタブーである。だが、民主化闘争の輝かしい歴史を持つチェコ上院議長は、あえて無視し台湾を訪問したもの。

 

中国王毅外相は、「代償を払わせてやる」と暴力団並の脅迫発言をして、フランスやドイツから手厳しい批判を浴びメンツ丸潰れになった。その「代償」が、中国国民のチェコ渡航警告とピアノ購入契約破棄(2500万円)という発表に過ぎなかった。チェコ側からは、「度量が狭い」と冷笑される始末。何の報復効果もないのだ。

 

『大紀元』(9月15日付)は、「中国はチェコへ『渡航警告』で報復、効果は限定的」と題する記事を掲載した。

 

中国はチェコのビストルチル上院議長率いるビジネスリーダーを含む99人の代表団が訪台したことについて、経済報復を行なうと発表した。同代表団に参加したチェコ企業の中国市場への参入が禁止され、またチェコの老舗ピアノメーカー「ペトロフ」の受注も取り消されりというもの。中国側は「チェコ渡航警告」措置で観光抑制を試みるが、中国国内では海外旅行が実質「中止」されているため、チェコ経済に対する効果はゼロ同然とみられる。

 

(1)「中国文化観光部のウェブサイトは11日に、中国国民にしばらく「疫病が再拡大した」チェコへの旅行を慎むよう求めた「旅行安全通知」を発表した。現在のコロナウィルスのパンデミック時期においては、中国国内で人の移動が抑制されており、現実的な効果はないとみられる。各国は国際線の運休や人員出入りの制限など、様々な人員管理措置を行っている。中国人による海外旅行はほぼ「中止」状態になっている」

 

武漢でコロナウイルスが発生して以来、チェコを含む27のEU加盟国が入国制限措置を採用している。ロイター通信によると、EUは6月30日、日本を含むEU以外の14カ国からの観光客の入国を承認したが、中国はEUと相互開放協定を締結していないため、このリストに含まれない。中国の チェコ「渡航警告」は無意味ということだ。

 

(2)「ビストルチル上院議長らチェコ代表団が8月30日に台湾に到着し、当時ドイツを訪問中の中国の王毅外相は、同議長の訪台に反発して「重い代価を支払わせる」と報復を示唆した。この発言はすぐに欧米各国からの非難と強い反発を呼び起こした。EU議長国を務めるドイツのマース外相は、「脅しは不適切だ」と中国を批判し、チェコを支持する立場を表明した」

 

人権意識の希薄な中国王毅外相は、ヨーロッパで大恥をかかされた。これが、田舎大名・中国の限界である。

 


(3)「中国の党機関紙『チャイナ・デイリー』は、台湾を訪問したビストルチル上院議長らチェコ代表団のすべてのメンバーおよびチェコ企業は、今後中国市場への参入を許可しないと報じた。チェコ台湾商会の会長を務めるパベル・ディビシュ氏は、中国当局の報復は予想していたが、それがあまりにも「幼稚」で「明快」だということには驚いたと嘆いた。その後、北京は約2500万円相当のチェコの老舗ピアノメーカー「ペトロフ」社への発注を取り消した。しかし、同発注はすぐにチェコの億万長者カレル・コマレック氏によって引き継がれ、同氏は「チェコは自由な国だ、私はこれを重視している」と強調した」

 

チェコ人は、人権意識で筋金入りである。人権意識ゼロの中国が脅迫しても驚くはずがない。逆に、軽蔑されているのだ。具体的な中国の報復は、2500万円相当のピアノ購入契約の破棄である。すぐに、肩代わりする億万長者が現れたという。

 

(4)「チェコ籍の欧州連合執行委員会の副議長ヴェラ・ヨウロバー 氏は、チェコの国営テレビ局チェコ・テレビのインタビューで、「ビストルチル上院議長の台湾訪問は故クベラ前任議長の願いを叶えるためであり、私は彼が脅迫に屈しないことを知っていた。彼はチェコ人を勇敢に立ち上がらせた」と述べた。スロバキア籍の欧州議会議員レクマン氏は8月31日、世界中の70人近くの政治家が最近、「台湾との関係発展はすべての国の主権的権利であり、中国の同意は必要ない」とする共同声明に署名したことを明らかにした。同氏はまた「中国の脅しは容認できない。そしてそれは逆効果だ」と強調した」

 

今回のチェコの台湾訪問団をきっかけに、「一つの中国」論が見直される方向が見えてきた。不合理な「縛り」は、自然に消えるもの。中国は苦境に立たされる。