テイカカズラ
   

ドイツが中国へ反旗を翻す

悩んだ末の結論が人権重視

同盟の価値を知らない韓国

米の反論受けるお粗末大使

 

中国が、対EU(欧州連合)関係でも苦境に立っている。9月14日に開かれたオンラインでの中国とEUの首脳会議で、両者は市場開放や人権問題をめぐり衝突した。双方が今年末までで終了することにした中国・EU間の包括的投資協定を議題にしたが、欧州側首脳3人は人権と貿易の問題を前面に押し出し、習近平氏に圧力を加え、習氏も反発したという。この日、双方の共同声明は出なかったほど、対立の溝は深くなっている。

 

ここで注目すべきは2点ある。

 

一つは中国・EU首脳会談の議題が包括的投資協定であるにも関わらず、EU側から人権問題を持ち出されていることだ。経済活動は人間の行為である以上、人権問題が不可避という認識である。中国側には、全く存在しない人権意識だけにEUから急所を突かれたた思いだろう。習氏は、国内問題であり内政干渉であると突っぱねた。EU側がそれで引き下がるはずがない。

 

具体的には、中国による香港への「国土安全維持法」導入である。「一国二制度」を破棄しただけに、人権・言論の弾圧が懸念されている。また、新疆ウイグル自治区での100万人以上の強制隔離と強制労働問題は、EUが看過できない問題である。中国のいう内政干渉の域をはるかに超えた人類の問題である。

 

ドイツが中国へ反旗を翻す

もう一点は、この中国・EU首脳会談にドイツのメルケル首相が出席していたことだ。全体の出席メンバーは、習主席、シャルル・ミシェル欧州理事会議長、ウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長。それに、EU巡回議長国であるドイツのメルケル首相である。メルケル氏は、これまで「親中国」の立場で中国批判を封印してきた。これが、ドイツ政界では不評を買い、与野党含めて「もっと中国批判をやれ」と批判を浴びてきたのである。

 


ロイター通信によれば、この会談でメルケル氏は「中国は、市場開放を意味する投資協定を本当に望んでいるのか明言せよ、と習主席に圧力を加えた」と報じられた。これは、従来のメルケル氏から想像できない「反中国」的な発言である。メルケル氏といえども、中国に対決せざるを得ないドイツ国内とEUの雰囲気を無視できない立場になっている。

 

ドイツ政府は92日、インド太平洋地域は「外交政策の優先事項」と位置づけ、地域との関係強化を正式に表明した。地政学的な権力構造の変化が、ドイツに直接影響を及ぼすことなどを理由にあげている。「ドイツ・ヨーロッパ・アジア:21世紀を共に形作る」と題された政策ガイドラインが、2日に閣議決定されたのである。ドイツが、「インド太平洋地域の国際秩序の形成に積極的に貢献する」ことを目的とする政策ガイドラインを発表したのである。

 

ドイツのへイコ・マース外相は記者発表で、「インド太平洋地域がドイツの外交政策の優先事項である。インド太平洋という重要な地域との関係を強化し、多国間主義、気候変動の緩和、人権、ルールに基づく自由貿易、コネクティビティ、デジタル交易、特に安全保障政策の分野で協力を拡大する」と明確にした。また、インド太平洋が「国際秩序の形が決まる場所であり、強者(注:中国)の法に基づくのではなく、ルールと国際協力に基づくものだ」とした。

 

ドイツは、これまでの「親中国」の立場を離れて、自由民主主義の立場を堅持することを明確にした。中国の恣意的な南シナ海戦略に反対する旨を強調したのだ。ドイツは、こういう明快な対中国戦略を発表した。ただ、ここまで来る過程で随分、悩んできたのも事実である。

 

悩んだ末の結論が人権重視

ドイツが、アジアを除く先進国の中で、米中両国と最も深い経済関係を築いており、米中「冷戦」時代を迎えれば、最大の犠牲者となるからだ。過去20年にわたり米中双方と貿易関係を深めたことで、ドイツは大きな恩恵を受けてきた。新型コロナウイルス流行を受けた経済対策として1兆ユーロ(約120兆円)をつぎ込めるだけの財政力――これらは、すべて米中両国との貿易がもたらした賜物だ。ドイツの経常黒字は2912億ドル(2018年)で世界1位。日本は1747億ドル(同)で世界2位である。(つづく)