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1年前、あれほど日本を罵倒した韓国が、文大統領から菅首相へ送られた就任祝賀文書に対して、菅返書があったと大喜びしている。外交慣例として、祝賀文書に返書を出すのは当然のこと。韓国は、この単純な事実に喜ぶほど、日韓関係の改善を切望しているのだ。

 

韓国はなぜ、ここまで日本との関係改善に期待を寄せているのか。本欄は、この問題を複数回報じる過程で、その都度取り上げてきた。結論は一つ、米中対立の長期化という国際情勢急変の中で、韓国がつんぼ桟敷に置かれている不安であろう。せめて日本との関係が正常化していれば、日本の把握している国際情報を聞いて、多角的に判断できるという面もあろう。

 

韓国は、米韓同盟という強いつながりを薄めようとしている。こういう韓国に対して、米国が腹蔵ない話しをするはずがない。中国へ筒抜けになることを警戒するからだ。その意味で米韓同盟は、信頼感の薄い「名ばかり」のものになっている。韓国は、米韓同盟の持つ重要性を認識すれば、日韓関係もスムーズに動くはずだ。要するに、韓国は謙虚な態度を取ることだ。

 


『聯合ニュース』(9月21日付)は、「文大統領と菅首相、初のメッセージ交換は『肯定的』」と題する記事を掲載した。

 

韓国青瓦台(大統領府)は21日、菅義偉首相が19日に文在寅(ムン・ジェイン)大統領からの首相就任を祝う書簡に返信を送ってきたと発表した。菅政権発足後、両国がやり取りした初めてのメッセージが肯定的な内容と評価されたことで、両首脳が行う電話会談の時期に関心が集まっている。

 

(1)「韓国青瓦台の姜珉碩(カン・ミンソク)報道官によると、菅氏は文大統領の書簡に謝意を表し、両国が重要な隣国であることを強調した。また、菅氏は韓日が困難な問題を克服し、未来志向の両国関係を構築していくことに期待を示したという。「困難な問題」は韓国大法院(最高裁)が日本企業に賠償を命じた強制徴用判決を示すとみられる」

 

菅返書が、「困難な問題を克服し」と先ず前提が置かれている。旧徴用工判決が、まさにこれを指している。菅首相は、官房長官時代から「国際法違反」と発言してきた。それが、首相になったからと言って、コロリと変わって韓国と妥協するはずがないのだ。韓国は、糠喜びしてはなるまい。

 

(2)「文大統領は菅氏に送った書簡で、「菅首相の在任期間中に韓日関係がさらに発展するよう努力しよう」と呼び掛け、菅内閣の発足を機に関係改善に向けた意思を示した。文大統領の書簡の具体的な内容は公開されなかったが、青瓦台によると、文大統領は基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも向かい合って対話し、意思疎通する準備ができており、日本側の積極的な呼応を期待していると伝えた」

 

個人間であれば、儀礼的な挨拶で会うことはある。一国を代表する首相や大統領が、懸案を抱える関係で「儀礼的会見」などあるだろうか。問題解決が前提であって、事前交渉が不可欠である。韓国はその努力をしないで、「日韓首脳会見」という上っ面だけの成果を求め、韓国世論をなだめようとしている。小手先の戦術であろう。

 

(3)「外交関係者らは、両国の首脳が初めて交換した書簡でそれぞれを重要な隣国とし関係改善の必要性に言及したのは、良いメッセージと評価している。ある外交消息筋は「就任祝いに返信するのは相手国に対して礼を尽くす国際的慣例」としながらも、「懸案が前向きに解決するように願う雰囲気が盛り込まれた可能性もある」と話した。別の外交消息筋も両国関係が置かれた厳しい状況を考えれば、「良いメッセージ」と評価した」

 

儀礼的な就任祝いが来れば、それに返書を出す。外交慣例である。特別の意味はないのだ。韓国は、この普通のことに対して「歓喜」するとは異常と言うほかない。

 

(4)「文大統領と菅首相による電話会談が近い将来に行われるとの見方も出ている。菅氏は就任後、トランプ米大統領、オーストラリアのモリソン首相と電話会談した。ただ、強制徴用賠償判決とこれに対する事実上の報復である日本の対韓輸出規制など両国の懸案が山積した状況では、両国首脳の電話会談が早期に実現するのは容易ではないという慎重な見方も出ている。また菅内閣は韓国に対して強硬な姿勢を示した安倍晋三内閣の外交政策を継承するとの立場だ」

 

中曽根首相と安倍首相(一次内閣)は、就任最初の訪問国が韓国(安倍首相は中国も同時訪問)であった。日本が、最大級の敬意を払ったのだ。日韓併合への「謝罪」という意味も含めた近隣国への配慮である。だが、韓国はその意味を正しく理解せず、自分たちが「偉い国」と錯覚したのである。日本が、韓国を見限るのには過去の長い葛藤の積み重ねがある。

 


(5)「発足したばかりの菅内閣が、すぐに成果を見込めない韓日関係に力を注ぐよりも、新型コロナウイルス対策をはじめ、看板政策に掲げた行政のデジタル化や携帯電話料金の引き下げなどに注力するとの見方も出ている」

 

菅首相は、国内問題の解決に最大限の努力を払っている。衆院解散という目前の問題を抱えており、内政面での実績づくりが至上課題だ。