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中国は、国連で「一国主義反対」と遠回しに米国を批判するが、何よりも恐れているのはトランプの怒り爆発である。米国が、ファーウェイやティックトック(TikTok)に遠慮なく制裁を科しても、中国は口先だけで「報復」を叫ぶだけだ。いざ、米企業制裁を発表する段に躊躇するのは、さらなる制裁の嵐が降りかねないからである。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(9月22日付)は、「中国指導部にすれ違い、米企業ブラックリスト巡り」と題する記事を掲載した。

 

中国政府は米国のテクノロジー企業締め付けに利用可能なブラックリストの作成を急いでいる。だが当局者によると、指導部は公表をためらっており、リストの決定は米大統領選後まで待つべきだと主張する向きもある。こうした議論からは、中国政府がトランプ政権との関係を崩壊させることなく渡り合う方法を探り続けていることがうかがえる。

 

(1)「これまでのところ、中国指導部は米政府の措置に同様の対抗措置を取ってきたが、米国以上に強い措置を講じることは避けてきた。時宜を得た反撃は時として、中国政府や同国企業に有利に働く。ドナルド・トランプ大統領が中国の動画共有アプリ「TikTok(ティックトック)」を支配下に置く動きに出て以降、中国の規制当局は新たな輸出規制を打ち出した。これによりTikTok親会社の北京字節跳動科技(バイトダンス)は、米事業の支配権や基幹技術を失う事態を回避する条件を設けることが可能になった」

 

TikTok問題では、中国当局が「ソフト輸出規制」を打ち出したことで、完敗を免れた。中国は、米国と表だって対抗する術を捨てたようだ。これ以上の米報復に耐えられないからだ。

 


(2)「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)による米国製部品や技術へのアクセスを米国が禁止した直後の2019年5月、中国は初めて米企業のブラックリスト作成計画を発表した。だが20年1月の「第1段階」貿易合意の署名につながった協議に臨む中、中国政府はリストに掲載する企業や個人を指定することは控えていた。トランプ政権はメッセージ・決済アプリ「微信(ウィーチャット)」を運営するテンセントホールディングスを含め、名の知れた中国企業に対する攻撃を強めており、リスト作成が急務となっている」

 

これまでの習近平氏は、得意になって「米国と最後まで戦う」と粋がってきた。だが、その啖呵の結果、中国経済はさらに追い込まれている。「口は災いの元」で習氏は沈黙の道を選んでいる。

 

(3)「事情に詳しい関係者によると、胡春華副首相(外国投資・貿易担当)率いる省庁間グループはここ数週間、米国が制裁の標的とする中国企業のリストに対抗する「信頼できない事業体」リストの完成に力を入れ始めた。中国商務部は19日、さらなる詳細を示し、リストの完成が近いと示唆。ブラックリスト入りした企業や個人は中国との売買や中国への投資を禁止されると述べた。ただ、具体名を公表することは再び控えた。商務省は発表文で、リストが「非常に少数の違法な外国事業体に限られる」としている」

 

中国は、米企業への報復準備でリストを上げているが、いざ発表の段になると米国のリアクションを恐れている。この辺りに、米中関係は圧倒的に米国有利で進んでいることが分る。

 

(4)「中国当局者は現在、いつどのようにリストを公表するか話し合っているが、米大統領選の前に公表すべきではないとの意見も出ている。習近平国家主席の下、米中関係や中国国内の経済・産業いずれにも修繕不可能なダメージを引き起こすことなく米政府に反撃する方法を練る上で、これは極めて難しいかじ取りを要する措置となる。「米企業に対する行き過ぎた措置に釣り込まれないよう、(中国は)非常に自制している」。ユーラシア・グループ(本部ニューヨーク)のグローバル技術担当責任者ポール・トリオロ氏はそう語る」

 

中国は、米大統領選の結果を待っている。トランプ氏再選になると、この戦略は効果を上げないが、ともかく中国はこれ以上、米国を刺激することを避けている。ユーラシア・グループのトップは、中国が譲渡しない限り米中対立は解決しないと見ている。

 

(5)「胡氏率いるチームはここ数週間、経済計画の上級機関や商務省、中国サイバー管理局(CAC)、反トラスト法(独占禁止法)規制当局など一握りの省庁に対し、リストに含める企業名を提出するよう求めている。事情を知る関係者が明らかにした。各省庁が挙げた企業が最終リストに載ることになる。これまでに省庁別リストの全てに挙がったのは米ネットワーク機器大手シスコシステムズ1社だという。ファーウェイの競合であるシスコは既に、中国国営の大手通信社など、長年の顧客数社との契約を失った」

 

中国の上げるリストには、米ネットワーク機器大手のシスコシステムズ1社だけだという。中国が、これまで米企業の中国国内での活動を制限してきた結果だ。中国は、米国へ撃ち込む「弾」がなくなっている。