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中国は、完全に米国に舐められている。米国が、中国の意に反すること行えば、必ず「対抗措置を取る」と威嚇する。それは、口先だけの中国国内向け発言である。中国は、米国を刺激しないように最大の注意を払っているからだ。

 

中国をここまで弱気に追い込んでいるのは、習氏の外交政策がすべて失敗していることである。「香港国家安全維持法」は、中国が欧州まで敵に回す最悪事態を引き起した。香港との間に交わした「一国二制度」は、中国により今回の香港騒動で破棄された。これは、同時に中国自らが「一つの中国」を危機に陥れる結果を招いている。

 

「一つの中国」とは、中国と外交を結べば台湾と断交せよ、という要求だ。中国と国交を結んだ国は、台湾との交流を差し控えているが、チェコ上院議長はこれを無視して99人もの大使節団を台湾に送った。中国はチェコに報復したが、チェコから購入予定のピアノ(約2500万円)をキャンセルしただけ。世界の笑いものになったほど。

 

『人民網』(9月22日付)は、「米国務次官の台湾訪問に中国外交部『正当な対抗措置を取る』」と題する記事を掲載した。

 

クラック米国務次官が先日台湾を訪問したことについて、中国外交部の汪報道官は21日の定例記者会見で「中国側はかねてから、米国と台湾地区のいかなる形の公的交流にも断固反対しており、必ず正当な対抗措置を講じる」と述べた。

 

(1)「汪報道官は、「米側は最近、頑としてアザー厚生長官、クラック国務次官を相次いで台湾地区に派遣した。これは『一つの中国』原則と中米間の3つの共同コミュニケの規定に深刻に違反するものであり、中国側に対する政治的挑発であり、『台湾独立』分離勢力の気炎を助長し、中米関係と台湾海峡の平和・安定を破壊するものであり、中国側は断固反対し、激しく非難する。中国側は関係する個人に対するものを含め、必ず正当な対抗措置を講じる。

 

米国は、先のアザー厚生長官の訪台に続き、クラック国務次官も訪台させるなど、米台交流を積極化させている。これは、米国内法である「台湾旅行法」(2018年3月成立)にもとづく、米台高官の相互訪問の規定による交流だ。米国の国内法ゆえに、中国は抗議できないという弱点を抱えている。中国が、「一国二制度」を破っている以上、台湾旅行法を非難できる立場にないのだ。

 

(2)「米側のこうした行為は重大な国際・地域問題における中米の調整と協力をさらに損なうことにもなる。米側はこれに対して完全に責任を負わなければならない」とした。また、「中国側の国家の主権及び領土的一体性を守る決意は確固不動たるものであり、いかなる外部勢力による中国への内政干渉にも反対する決意は確固不動たるものであり、両岸の統一を実現する決意は確固不動たるものだ。われわれは米側に厳正に告げる。『台湾独立』は破滅への道であり、『台湾独立』の黙認と支持は失敗する運命にある。中国側の核心的利益を損ない、中国の内政に干渉するいかなる行為も中国側の力強い反撃に遭う。いかなる勢力も中国統一という歴史的潮流は阻止できない」とした」

 

8月初めのチェコ上院議長の訪台は、EU全体に「一つの中国」を軽視する前兆を示している。王毅外相が、チェコの訪台に対して、「相応の代償を払わせる」と凄みをきかす発言をしたが、訪欧先のドイツやフランスの外相から手厳しい非難を浴びた。「人権弾圧」に関わる重大問題という認識で反撃されたのだ。EUでは、チェコに続く台湾訪問国が現れるだろう。中国は、欧州で完全に信頼を失った。

 

中国国内からも、台湾攻撃論が批判され始めている。中国軍が、米軍の反撃で手痛い打撃を受けるという警告である。

 

『レコードチャイナ』(5月6日付)は、「中国軍事界のタカ派人物『台湾統一急げば、中国復興の大業が犠牲になる』」と題する記事を掲載した。

 

米国際放送局『VOA』5月5日付中国語版サイト)は、中国軍事界のタカ派人物が「台湾との統一を急げば、中国復興の大業を葬り去ることになる」との考えを示したと報じた。記事は、中国軍事界のタカ派を代表する人物とされている喬良(チアオ・リアン)氏が4日、香港紙『サウスチャイナ・モーニングポスト』の取材に対して「台湾問題は内政に属するとどんなに中国が強調したとしても、本質的にはやはり米中間の問題。台湾問題解決のカギは台湾独立勢力の処理ではなく、まず米中の力比べに決着をつけることだ」と述べたことを紹介した

 

(3)「中国本土は総じて「台湾は中国の領土であり、台湾問題は中国の内政問題。外国には干渉する権利はない」という論法で米国の干渉に対処しているのに対し、喬氏の「台湾問題の本質は米中問題」という見方は実情に即しているとの声がウオッチャーの間で出ているとした」

 

台湾問題は、中台問題でなく米中問題という認識は正しい。中国が台湾を攻撃すれば、米軍が台湾防衛に立ち上がるという意味だ。

 

(4)「喬氏が、「台湾問題が中国復興の大業のすべてではない。主な内容にさえ挙がらない。復興の大業は主として14億人が幸せな生活を送ることが目的であり、台湾問題の解決もそのために道を譲らなければならない」と語るとともに、台湾問題解決のタイミングについては「誤った時期に正しいことをしても、それは誤り。米中の力比べで雌雄が決するまで、力を蓄えつつ待たなければならない」と主張し、ネット上の過激な言論に対して「複雑な外的環境を考えない、単に自信だけに頼った主張は、愛国に見えて実は『害国』となる」と戒めたことを紹介した」

 

喬氏は、習氏が22年に来る国家主席3期目を目指す「目玉成果」として、台湾征服を考えるとすれば、大きな損害を被るという警告をしているのだ。それよりも14億人の国民の幸せを先行すべしと正論を述べている。習氏が、自らの出世欲に目が眩んで「台湾攻撃」に出れば、中国は大損害を被るという軍事的な警告を真面目に聞くべきだろう。