テイカカズラ
   

中国は韓国を米から引き離し作戦

文氏が菅首相へ送ったラブレター

ハンギョレ紙社説で3回プッシュ

韓国は菅首相に脱帽して妥協案へ

 

中国外交担当トップ、楊潔篪(ヤン・ジエチー)共産党政治局員が、8月22日に韓国を訪問した。ソウルでなく釜山で韓国の徐薫(ソ・フン)国家安保室長と会談したのである。通常の外交儀礼であれば、ソウルを訪問して文大統領を表敬訪問するものだ。そういう儀礼抜きで、単刀直入の会談目的は何であったのか。表向きは、習近平国家主席の早期訪韓で合意したというが、それで話しが済んだ訳ではあるまい。

 

中国は韓国を米から引き離し作戦

米中対立の長期化見通しが強まる中で、楊氏は、訪韓前にシンガポールも訪問している。中国側へ引き寄せが目的であり、韓国でも同様の「工作」が行われたと見るべきだ。その際、中国は露骨な言葉で韓国を米国から引き離す下工作をしていると思われる。最近の中国は、「戦狼外交」と言われるごとく相手を威圧する「言葉の暴力」を用いている。韓国にも「戦狼」ぶりを発揮して恫喝したに違いない。

 

私が、そのように判断するのには一つの根拠がある。

 

それまで、中国びいきを鮮明にしていた文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保担当特別補佐官が、私人(延世大学名誉特任教授)の肩書きで『ハンギョレ新聞』(9月7日付)に寄稿した論文(「中国が新冷戦を避ける道」)が登場したのである。その内容は、中国が「覇道」(武力を用いた覇権)でなく、「王道」(道徳を用いた覇権)を突き進むことによって、米中の新冷戦が避けられるというのだ。明らかな「反中国」論文である。

 


文正仁氏の役割は、文大統領に南北統一・外交・安保の諸問題を幅広く献策する立場だ。その特別補佐官が、これまで米国よりも中国を慕ってきたパターンを捨てて、「中国批判」に転じたのだ。この豹変の裏には、8月22日に訪韓した
楊潔篪氏の言動があったと見るほかない。中国が、韓国を脅したのであろう。そうでなければ、文正仁氏が見せた従来の主張と180度異なる寄稿をするとは思えない。中国・楊氏の発言が、韓国大統領府に大きな衝撃を与えたと読めるのである。

 

楊氏の訪韓によって、韓国は初めて外交的に孤立していることを実感したに違いない。米韓関係は隙間風が吹いている。日韓関係は凍結状態である。こうした中で、せめて日本との関係を緩和させなければ、韓国は外交的に漂流する危険性を察知したのであろう。韓国の危機感は、菅首相就任祝いに寄せられた文大統領の文書に現れている。

 

文氏が菅首相へ送ったラブレター

韓国大統領府報道官の説明によれば、文大統領の書簡内容(9月16日)は次のようなものだ。

 

「『文大統領は、基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府といつでも向かい合って対話し、コミュニケーションをとる準備ができており、日本側の前向きな対応を期待している』と説明した。日本に強い親密感と友好の意を示し、対話を通じて両国間の懸案を解決するという考えを強調したのだ」

 

上記の書簡要約が、これまでにない「友好的」内容であることは間違いない。日本の首相就任祝賀文書であることから当然としても、これまでの反日糾弾の文書から想像もできない「親近感」を強調している。「基本的価値と戦略的利益を共有するだけでなく、地理的・文化的に最も近い友人である日本政府」とまで言っているのだ。

 


この文書を読んだ多くの日本人が、正直に言って「エッ」と叫ばざるを得ないであろう。現実に昨年までは、「積弊一掃」によって親日を犯罪行為とまで貶めたのである。それが今、一転して「地理的・文化的に最も近い友人」とまで持ち上げてきた。韓国大統領府では、こういう「ラブレター」まがいの文書を日本へ送ることに違和感はなかったのだろうか。抵抗感がなかったとすれば、相当の「演出」か「事態の深刻さ」のいずれかと見るほかない。

 

韓国の演出とすれば、おだてることで意気に感じた日本が、妥協策をつくって動き出すという期待があったかもしれない。だが、菅首相はリアリストである。お世辞に乗って動き出す政治家ではないのだ。これだけ冷却化した日韓関係が、お世辞たらたらの外交文書で氷解に向かうはずがない。韓国外交部もそうした認識であろう。「演出」による文書ではなかった見る方が妥当だ。(つづく)