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昨年は大卒者の20%近くが就職活動でうまくいかなかった。今夏の卒業予定の874万人は昨年よりも5%も多いとされている。そこへ、海外留学生80万人が加わるので、就職戦線は氷河期を迎えている。

 

結局、数十万人の新大卒生が失業者集団に加わるのは避けられなくなっている。中国当局者は、受け皿を見つけるのに躍起だ。軍の入隊枠を拡大し、卒業間近の学生には修士課程への進学を促すなどして雇用市場への参入を遅らせようと、あの手この手で失業者増加を防ぐ努力を迫られている。

 

『大紀元』(9月25日付)は、「海外留学の帰国者増加で就職難に拍車、大卒平均月給は11万円」と題する記事を掲載した。

 

中国経済は悪化の一途をたどり、失業率は上昇傾向にある。今年、80万人もの海外留学生が就職のために中国へ帰国予定で、今年の国内大学新卒者数874万人と就職先を争う。雇用情勢はさらに厳しくなるとみられる。

 

(1)「『サウスチャイナ・モーニング・ポスト』は9月21日、就職サイト『UniCareer』の情報を引用し、2020年に帰国して就職する中国人留学生の数が70%増加すると伝えた。それによると、調査対象となった帰国予定者のうち、約28.%がアメリカ、26.%がイギリス、13.%がオーストラリアに留学していた。彼らの6割以上が修士号を持ち、博士号を持つ者もいる。近年、海外で卒業した後に帰国を選択する中国人学生の数は、2011年の18万人から2015年には40万人、2018年には51万人と大幅に増加している」

 

海外もコロナウイルスで経済は大混乱している。中国留学生が、現地で就職できるチャンスは少なく、いきおい帰国せざるを得ない。海外で卒業した後に帰国を選択する中国人学生の数は、2011年の18万人から2015年には40万人、2018年には51万人とうなぎ登りである。それだけ、国内での就職難に拍車がかかる。

 

(2)「これまでの調査によると、海外留学帰国組は、わずか約5%の人が30万元(約450万円)以上の年収を得ており、40%近くは年収10万元(約150万円)未満だという。オンライン就職情報サイト『58.com』が最近発表した、2020年の大卒者の就職状況によると、中国国内の大卒者の平均月給は7839元 (約11万7000円)である。近年、中国の大学の卒業生数は増え続け、今年の大学卒業予定者数は874万人と過去最高となった。しかし、求人需要は低下し就職率も悪く、加えて帰国組とともに就職先を争うことになるため、大卒生の就職環境は非常に厳しい状況にある」

 

海外留学組でも年収450万円以上は、わずか5%程度である。大半の40%は同150万円程度という。一方、国内大学卒の平均月収は約11万7000円(年収は約140万円)である。留学組も国内大学卒も、年収では10万円程度しか違わないのだ。海外留学の就職上の価値は、ほとんど変わらない。これは、留学組を生かす職場がないことを意味している。

 


(3)「オーストラリアの中国人学者・李元華氏は、中国経済全体は急速に衰退しており、賃金の高い外国企業が相次ぎ中国から撤退していることが就職環境の悪化の一因だと指摘する。「帰国しても就職難に見舞われるなら、海外にいる中国人は帰国を見送るだろう」。米サウスカロライナ大学エイケン・ビジネス・スクール教授の謝田氏は大紀元の取材に対して、中国共産党政権は「雇用安定」に重きを置くようになったという。たとえば、大学生の就職時期を遅らせるため、修士課程の学生の採用を拡大したり、新卒者の軍入隊を奨励している。さらに、大卒生に対して農村部での就職・創業を促している。「文革時代の知識青年が農村に行かされたのを彷彿とさせる」と謝田氏は述べた」

 

海外留学組の適職が少ないのは、中国経済の減速を反映している。グローバル企業の就職先が減っていることだ。これは、中国経済が確実に減衰している証明であろう。

 

(4)「中国の金融学者である賀江兵氏は、就職環境の悪化にはさまざまな要因が重なっていると指摘する。「流行感染症の発生や、水害、米中貿易戦争などが起きた。米国の制裁で、中国のハイテク企業は大きなダメージを受けて、多くの外国企業は移転した」 と『ラジオ・フリー・アジア』の取材に述べた。7月末までに中国から移転するとして補助金を申請した日本企業は1700社に達する。加えて、国内資本の衰退もあり、中小企業の雇用はさらに減った」

 

下線部のように米国の半導体輸出規制が、中国ハイテク企業に相当のダメージを与えている。これが、留学組の職場を奪っている。以上のように、大卒就職戦線から中国経済の裏側が読めるのだ。