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習近平氏は、焦りに焦っている。民族主義者の側近に踊らされ、「米国弱し」と見くびって始まった南シナ海進出が、中国と習氏の運命を左右する局面に向かっているからだ。米国は、中国共産党と中国国民を区別して扱い、中国共産党の撲滅を訴えている。これに危機感を募らせる習近平氏は、毛沢東時代に戻って国民へ革命精神をたたき込むという。迷惑なのは、共産主義と無縁の一般国民である。

 

『大紀元』(9月28日付)は、「『金儲けと洗脳』中国各地政府が『革命景勝地』建設に巨額投資」と題する記事を掲載した。

 

中国共産党のイデオロギーが破綻しつつある今、各地政府は「貧困緩和」や「産業発展」などの理由を挙げて、次々と巨額を投じ「革命景勝地」を建設し、国民に「洗脳教育」を受けさせている。これに対して、地元住民の不満が噴出している。

 

(1)「中国共産党による人権弾圧を伝えるオンライン雑誌『ビター・ウィンター』は9月27日、中国政府が開発した「革命景勝地」の一つである山西省運城市の袁家村では毎日、「紅歌」という共産党を称賛する中国の革命歌が繰り返し放送されていると報じた。同景勝地のスタッフは、「政府は主に幼稚園や小学生たちのために研修旅行を企画し、この革命景勝地でその『愛国心と党への愛』を育んでいる」と述べた」

 

習氏は、大慌てである。中国国民が、米国の宣伝に乗せられて共産主義に背を向けることを恐れているのだ。幼い子どもたちに革命ムード教えるべく、研修旅行を始めているという。

 


(2)「地元商店の店員は、「当店は毛沢東時代のスタイルで装飾することを求められた」「地元の管理部門は毛沢東の肖像を提供し、毎週月曜日の朝、全従業員が肖像の前で『党に従う』と誓わなければならない」と明かした。湖南省、山東省、浙江省などの各地政府は、「革命観光」に対して多額の投資を行っている」

 

商店街は、毛沢東時代のスタイルで装飾し、当時の雰囲気を醸し出しているという。タイムマシーンに乗せて、革命精神をたたき込むというアイデアを考え付いたのだ。地方政府は、「革命観光」に多額の資金を投入し、新たなビジネスを始めるという。インフラ投資もあらかた終わったので、新規分野で「革命観光」に着目したのだ。抜け目ない商売根性だ。

 

(3)「習近平氏が、9月中旬に湖南省の「革命観光」スポットを視察した際、「赤い遺伝子」を強調した。それを受け、同省株洲市は9月27日、「産業+革命観光」をテーマにした活動を行う「株洲観光特急」を開通した。また、開通してから6年経った吉衡鉄道も、同日に「革命旅行特急」を初運行した。浙江省温州市第八中学校の生徒クラスは9月下旬、「革命研修旅行」のために同省鹿城を訪れ、「党の歴史を学び、革命書籍を読み、旧跡を訪れ、革命曲を歌う」などの活動を行った」

 

習近平氏が、先頭に立っているのが興味深い。習氏が一番、「共産党崩壊」を恐れているはずだ。終身「国家主席」を夢見るだけに、国民から共産主義にソッポを向けかれると立つ瀬がないのだ。

 


(4)「『ビター・ウィンター』によると、
広東省梅州市平遠縣仁居村はもともと、客家人を中心とした村で、地元の住宅のほとんどが客家の伝統的な様式だったが、2018年から地方政府は、数千万元を投じてこの村を「赤い村」に変身させたと報じた。村人がお金を出し合って作ったセメント道路は砂利道に改修され、「打倒帝国主義」「打倒地主」「赤い遺伝子の伝承」などの共産党の看板やスローガンが道や路地のいたるところで見られるようになったという。梅州の地元メディアは、「地方政府は住民の意見に十分に耳を傾け、支持を得た」と主張している。しかし、村人は「政府からは何の相談もなく私たちの道路を再舗装した」と言い、共産党を称賛するためにお金を全て使った地元政府を非難した」

 

下線部のように、「打倒帝国主義」、「打倒地主」、「赤い遺伝子の伝承」などを看板にしているが、国民はとうの昔に共産主義を見限っている。続発する汚職と格差拡大。生真面目に生きる人間が、もっとも恵まれない社会が中国になった。この中国が、自由と民主主義の米国や同盟国に勝てるはずがない。

 


(5)「福建省福州市の政府も、2019年に地元の於山景勝地を革命景勝地に作り替え、同区内の先祖代々を祭る「宗祠」(しゅうし)を革命教育基地に改造し、革命教育のための講堂や党へ忠誠を誓う記念碑を設置した。山東省淄博市の政府は、毛沢東像など革命景勝地の建設に約140万米ドル以上を費やしたうえ、現地の「党の建設テーマパーク主題」の開園日には、市民に毛沢東像の前で線香や冥銭を燃やさせた。台湾の中央通訊社は、「トランプ政権が米中対立を強めたため、米政界が「中国共産党」と「中国人民」を区別したことは、非常に問題の核心を突いているため、北京側は警戒している」と報じた」

 

国民に選挙権も与えない中国共産党が、国民から支持されるはずがない。食うや食わずの極貧時代は、「計画経済」の意義もあった。だが、生活が生存水準を上回るようになった現在、共産主義の成立基盤は消えたのだ。そういう歴史的な共産主義の位置づけを忘れて、米国と覇権競争することなど論外である。