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中国外交は、行き詰まっている。「戦狼外交」で大口を叩き相手国を威圧する外交術が、欧州で総スカンを食っているからだ。頼みの東欧16ヶ国も、「金の切れ目は縁の切れ目」となっている。湯水のように、「チャイナ・マネー」を使えず、これまでの経済支援の約束は、空手形になってきた。

 

こうして有力国の中で、中国の味方になろうという国は一つもない状況だ。そこで目をつけたのが韓国である。中国の味方にならないまでも、「敵側」に付かないで欲しいと追い詰められている。近々、中国の王毅外相が訪韓するという。

 

『中央日報』(9月29日付)は、「『四面楚歌』の中国外交…『習近平訪問』カードで韓国が突破口になるか」と題する記事を掲載した。

 

中国外交が四方をすべて敵に包囲された「四面楚歌」状態に陥っているのではないかという話が北京外交界に出回っている。米国は世界各地で「中国共産党反対」という「火」をつけて回っている。だが、中国は現在、この火を消す「消防外交」に汲々としている状態だという。中国の王毅国務委員兼外交部長の10月の訪韓推進もこの消防外交の一環とみることができる。10月初め、先に訪韓する米国のマイク・ポンペオ国務長官が「反中戦線」への参加という火をつけていくとしたら、王毅国務委員が直ちに消火器を持って現れるということだ。



(1)「『中国叩き』に集中している世界最強米国との関係は新冷戦状態で、破綻の一歩手前だ。人口大国インドとは6月から死傷者が発生するなど武力衝突状況に近い。中国が注力していた欧州および日本も背を向けている。シャルル・ミシェルEU(欧州連合)常任議長は9月25日、国連総会の一般基調演説で「欧州は中国と価値を共有していない」と話した後、香港での国家保安法通過と新疆ウイグル族に対する中国の人権侵害問題を取り上げて中国を圧迫した。一時期薫風が吹いていた日本との関係は、4月の習近平国家主席の訪日が取り止めになってから逆風が吹くようになった。日中間の領有権紛争の火種となっている尖閣(中国名・釣魚島)諸島海域での緊張が高まっている」

 

米中対立の中で、EUはこれまで中立だったが、香港問題をきっかっけにして「反中」の立場を明らかにした。習氏の短慮が、EUをあえて敵に回したのだ。日本との関係も尖閣諸島周辺海域を侵犯するケースが続出して微妙な状態だ。なんら意味のない愚かなことをやったものである。

 

(2)「習主席が最も大切にしていたロシアとの関係が微妙になっているのも注目するべき部分だ。両国は表面的には友情を誇示しているが、今年6月中印衝突以降、ロシアがインドに戦闘機の販売を拡大して中国の反発を買っている。中国インターネット空間には「敵と戦っているが友が敵に刃物を渡せばどうなるのか」というコメントが投稿された。ロシアを批判したのだ。特にロシアが最新の地対空ミサイルシステム「S-400」の販売を中国には先送りしてインドには急ごうとしているため中国の怒りを買っている」

 

中露関係も微妙になっている。ロシアが、中国を後回しにして優先的にインドへ戦闘機を売却しているためだ。インドの武器ではロシア製のシェアが高い。ロシアの「ソロバン高さ」が目立つのだ。

 

(3)「米国は反中国経済同盟である経済繁栄ネットワーク(EPN)も推進中だ。すると中国も10月中に王国務委員を韓国と日本に派遣すると発表した。米国の封鎖に立ち向かう対抗外交を行おうというものだ。このような中国の消防外交の背景には、第三国の歩みが米中対決において非常に重要だとみる中国の認識が根底に流れている。中国の高位級外交官出身で清華大学戦略安保研究センターの傅瑩主任は、「中米対決でどちらが欧州やロシア、日本、ASEANなど第三国の支持を得るかが重要だ」と話した。これらの支持の有無が米中の次の行動に影響を及ぼすという理由からだ。最近の様相は、米国が先に世界各国に「米国側に立って中国を反対せよ」と唱えて攻勢的な外交を繰り広げているとすると、中国は「中国を支持はしなくても、少なくとも米国側には立つな」という守勢的な外交に汲々としている」

外交で四面楚歌の中国は、守勢外交へ回っている。米国の「反中キャンペーン」が強烈で、効果を上げているからだ。中国の価値観が人権蹂躙では、先進国が味方になるはずがない。

 

(4)「米国が世界的な反中戦線を構築している中で、中国は韓国を米国の封鎖を突き抜ける重要な突破口とみている側面がある。8月に楊政治局委員を派遣したのに続き、2カ月おいてまた王外交部長を送り込もうとしているのはそのためだ。9月26日、中国メディア「環球時報」は、「われわれはクアッド加入の招待を受けなかった」という韓国の康京和(カン・ギョンファ)外交部長官の言葉をいち早く報じた。このような内容を伝えながら同メディアは「韓国が中国をけん制するクアッドに加入する意向がない」を記事の見出しに選んだ。韓国が米国に同調して中国をけん制しないでほしいという希望がにじんでいた」

 

中国外交は感情的である。「戦狼外交」はその典型だ。理性的でなければ、他国の支持を得られるはずがない。そういう「理性外交」は中国に不向きである。韓国を突破口にして、天安門事件後の閉塞を突破できたのは、過去との因縁浅からぬ韓国との修交が実った結果である。今回も、韓国を足場にして生き残り策を狙っている。

 

(5)「中国は1989年天安門事件以降、米国主導の国際制裁から抜け出すために近隣諸国との大々的な修交作戦に入ったことがある。92年韓中修交もそのような脈絡で実現した。中国は今回も米国の同盟である韓国をアキレス腱とみて、韓国に対する大々的な外交攻勢をしかける可能性がある。まだ実現していない習近平主席の訪韓カードがその一つだ。9月24日、香港紙『明報』は、習主席が今年訪問できる外国の一つとして韓国を有力視した。『明報』は習主席が訪問するためには、中国との関係が密接でコロナ状況が安定しており、習主席の訪問に意味を付与しなければならないが、このような3つの条件をすべて満たす国は韓国だと説明した」

中国は、習近平氏の訪韓を餌にして韓国を「敵に回らせない」戦術を練っている。だが、韓国世論では、「中国が好き」という比率は数%に過ぎない。8割は「米国が好き」である。世論対策で習氏の訪韓が実現しても、文政権の支持率を引上げる効果は小さいだろう。