ムシトリナデシコ
   

中国を取り巻く国際環境は、確実に変わってきた。これまで台湾を巡る問題では、中国の発言権が大きく事態を左右してきた。台湾は、WHO(世界保健機関)へのオブザーバー出席も認められず、蚊帳の外に置かれている。だが、ここへ来て空気が変わってきた。台湾の地位を正当に認めようという動きが強まっているのだ。その動きを後押ししているのがEU(欧州連合)である。

 

中国の睨みが効かなくなってきたのは、中国による香港への「国家安全維持法」適用である。中国は、「一国二制度」を破棄して香港の人権蹂躙が明らかになるとともに、EUは中国を批判して台湾への肩入れを公然とするようになった。この動きは、もはや止まらない明確なものになっている。中国は、香港問題で大きなミソをつけたのだ。

 

『大紀元』(9月29日付)は、「国際大会で台湾当局が国名を『中国』から『中華台北』に修正、EUが支援」と題する記事を掲載した。

 

台湾当局は9月28日、欧州連合(EU)の協力を受け、地球温暖化対策を進める世界の自治体が参加する「世界気候エネルギー首長誓約」の公式サイトで台湾の6都市の国名が「中国」と表記されていたのを、「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」に修正されたと表明した。

 


(1)「今回、表記修正された台湾の6都市(高雄市、台北市、新台北市、高源市、台南市、台中市)の市長らおよび台湾外交部は同連盟に対し、修正を求めて抗議し、「返答がない場合、連盟からの脱退を排除できない」とする中英文の共同抗議声明を発表していた。これに対し、中国外務省の報道官は28日、記者団に対し「台湾は中国の不可分な領土である」とし、「台湾の都市は当然、中国の都市として記載すべきだ」と回答していた。中国からの圧力が高まっている国際的な環境の中で、台湾はEUの助けを借りて、勝利を収めた。台湾の呉釗燮外相は同日、この問題でEUから支援があったと述べ、各方面の努力によって、9月27日夜に表記が訂正されたと説明した」

 

従来であれば、EUと言えど中国の鼻息を覗う立場にあった。中国との貿易関係を考慮して、EU独自の主張をすることはなかった。現在は一変している。中国経済の将来を「大したことはない」と見くびり始めたのだ。その先頭に立つのは米国だ。徹底的な「中国潰」に取りかかっており、中国の技術的脆弱性を叩いている。これまでEUは、中国の虚像に騙されて恐れていたのだ。中国は、自らの弱点を握られ四苦八苦する「発展途上国」並みの地位に追い込まれている。

 

(2)「台湾政府は、EUをはじめとする関連機関へ、感謝の意を表し、「今後も各国政府とともに気候変動と戦い、世界の持続可能な開発を推進するために協力していく」ことを表明した。現在、EUの加盟国は台湾と正式な外交関係を確立している国はない。これまで、EUは中国を怒らせないために、台湾の問題については常に控えめな姿勢を続けてきた。米台の関係が接近するにつれ、EUをはじめとする他の欧米諸国もそれに追随しているようだ。 アレックス・アザー米厚生長官とキース・クラック国務次官が8月と9月に相次ぎ台湾を訪問し、台湾を孤立させようとする中国の企みに対抗するトランプ政権の意思を反映している」

 

米国は、「台湾旅行法」によって米台高官の相互訪問が自由になっている。米国政府高官が、相次いで台湾を訪問して「一つの中国」に風穴を開けた。中国が、何らの報復措置もしないことから、EUはこの壁が「鉄」から「カーテン」程度の実態を伴わない形式的なものと認識し始めている。中国の「一国二制度」破棄は、とんだ副作用を生んだのだ。

 

(3)「ドイツ政府で欧米関係のコーディネーターを務めるピーター・バイエル氏は、11月の米国大統領選挙の結果にかかわらず、EUと米国は「中国との新冷戦」に立ち向かい、一致団結しなければならないとする決意を表明したことを、AFP通信が報じた。バイエル氏は、中国共産党政権は「独裁、報道の自由と人権の欠如、デジタル監視、ウイグル人や香港人への弾圧、環境への攻撃」と批判し、米中間の「新冷戦」はすでに始まっており、今世紀の初めには形になるだろうとの考えを示した」

 

ドイツ政府の関係者は、EUと米国が「中国との新冷戦」に立ち向かい、一致団結しなければならないとする決意を表明した。これは、新事態である。中国共産党の「悪事」に共同で立ち向かうという宣言でもある。中国は、外交的に大きな間違いを引き起した。弱り目に祟り目で、これから中国の苦悩は本格化する。