テイカカズラ
   

韓国民間人が、漂流中に北朝鮮軍によって射殺された。文大統領は、この件について金正恩国務委員長が「謝罪」したことで、「不問」に付す姿勢である。過去にも、北朝鮮で韓国人観光客が海岸で射殺される事件が起きている。当時の保守派政権は強い抗議をした。今回は、正恩氏が即刻罪したことで、文氏は「格別の意味を持つ」と、意図不明の発言だ。事を荒立てることなく、南北交流の話合いをしたいという政治意図が見え見えである。人命よりも、自己の支持率上昇優先という姿勢だ。

 

国連のグテレス事務総長は、今回の事件について透明な調査を促したと、『ボイス・オブ・アメリカ』(VOA)放送が9月26日報じた。国連としては、当然のことだ。韓国政府は、この事件を深追いしたくない姿勢がありあり見える。正恩氏の謝罪で「すべてOK」という「お咎めなし」の態度である。

 

『東亜日報』(9月29日付)は、「文大統領『金正恩氏の謝罪は格別の意味』」と題する記事を掲載した。


文在寅(ムン・ジェイン)大統領が28日、海洋水産部所属の漁業指導員イさん(47)が殺害された事件について、「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が韓国国民に非常に申し訳ないと謝罪の意を伝えてきたことを格別の意味として受け止めている」とし、「南北関係を進展させる契機に反転することを期待する」と述べた。また、「理由の如何を問わず国民の身体と安全を守らなければならない政府として非常に申し訳ない思いだ」とし、今回の事件で初めて謝罪した」

 


(1)「大統領は同日、大統領府首席・補佐官会議で金正恩氏の謝罪について、「北朝鮮の最高指導者として直ちに謝罪したのは史上初めてで、極めて異例だ」とし、このように話した。文大統領が今回の事件について発言したのは、22日の殺害事件発生後初めて。文大統領は、「金正恩氏も今回の事件を深刻かつ重く考えており、南北関係が破綻に行かないことを望んでいることを確認することができた」とし、「今回の事件を解決していくことから対話の灯を消さず、協力の突破口を開いていくことを願う」と述べた。

 

文大統領は、正恩氏の通知文で大喜びしている。だが、南北の事務当局が一堂に会して、手続きなどを了解しない限り、喜ぶのは早い。そういう手続きを無視した、一方的な謝罪は再発防止にならないだろう。

 

(2)「また、「北朝鮮当局は韓国政府が責任ある回答と措置を求めた翌日(25日)に通知文を送り、迅速に謝罪し、再発防止を約束した」とし、「南北関係を修復できない状況に進むことを望まないという北朝鮮の明確な意思表明と評価する」とも述べた。また、「少なくとも軍事ホットラインだけは優先的に復旧して再稼働することを北朝鮮側に要請する」と述べた」


謝罪だけで済む問題ではない。人間の生命が消えたのである。「人権大統領」としては、徹底的に調査し予防措置で南北が合意すべきはずだ。それを、すべて省略してしまった。



(3)「しかし、北朝鮮が前日、韓国軍の正常な捜索作戦をめぐって、「思わしくない事件を予告させる」と警告した状況で、北朝鮮の蛮行に対する糾弾よりも金正恩氏の謝罪を「格別の意味」、「非常に異例」、「考えを確認することができる」などの表現を使って評価することは適切なのかという指摘が出ている。また、文大統領が「悲劇が繰り返される対立の歴史はもう終わらせなければならない」と述べたことをめぐって、23日、国連総会テレビ演説で提案した終戦宣言推進の意思を再確認したのではないかという観測も流れている」

 

文大統領は下線のように、今回の悲劇を「朝鮮戦争終結宣言」に利用しようという魂胆を疑われている。終結宣言は、北朝鮮が核を放棄しない段階で行えば、どういう結果になるか。韓国と在韓米軍が極めて不利な事態に置かれることだ。そういう戦略的な配慮はゼロで、思いつきを実行しようとしている。米国の文大統領への評価は、このように極めて厳しいものがある。