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米国が、本腰を入れて韓国の「中国寄り姿勢」へ反対圧力を掛けている。米国は、韓国の最も嫌う「在韓米軍削減」という動きをみせながら翻意を迫っているのだ。これまでの米国による対韓交渉姿勢と異なり、ズバリと問題の本質を突くなど、韓国に世界情勢の厳しさを諭すような怒りを感じさせる交渉スタイルに変わった。韓国は、目を覚ますべき段階だ。

 

『朝鮮日報』(10月16日付)は、「米国、12年ぶりに『在韓米軍維持』の文言なし」と題する記事を掲載した。

 

韓米両国は14日(現地時間)、米国防総省で開かれた第52回韓米安保協議会(SCM)において防衛費分担金問題などを巡って衝突した。共同声明からは、昨年とは異なり「在韓米軍の現水準を維持」という表現が取り除かれ、予定されていた両国国防トップの記者会見も取り消された。インド・太平洋安全保障協議体「クアッド(Quad)」など、このところ各種懸案を巡って両国の立場の差が大きくなる中、米国の不満が水面上に現れたのだ。

 

(1)「米国のマーク・エスパー国防長官は14日、冒頭発言で「米軍の安定的な韓半島駐屯を保障するため、できるだけ早く(防衛費分担金)特別協定の合意に到達する必要性に全て同意することを希望する」と語った。昨年9月に始まって1年以上も膠着状態にある第11次防衛費分担金特別協定(SMA)が妥結しなければ、在韓米軍の駐屯そのものに変動が生じかねない、という意味だと解釈されている」

 

韓国は、在韓米軍の駐留費分担問題で1年以上も米国と揉めている。これは、米国に感情的な反発をさせる要因になっている。

 


(2)「実際、今年の共同声明では、2008年からずっと明示されていた「在韓米軍を現水準で維持するという公約を再確認した」という文言が米国の要求により12年ぶりに取り除かれた。またエスパー長官は、韓国政府が文在寅(ムン・ジェイン)大統領の任期中の完了を推進している戦時作戦統制権(統制権)移管についても「統制権を韓国軍に移管するための全ての条件を備えるのは時間がかかるだろう」と語った」

 

韓国軍の統帥権(指揮権)は現在、在韓米軍の手にある。米韓が共同軍事作戦を行う以上、強力な武器弾薬を保持する米軍が統帥権を持つのは致し方ないことだ。韓国は、この実態を無視して、文政権の任期中に韓国へ移管せよと迫っている。

 

(3)「エスパー長官がこの日、「米軍の安定的駐屯」を挙げたのは、今後韓米関係において在韓米軍が定数ではなく変数として扱われることもあり得る、という点を示唆したものとみられる。2008年の韓米首脳会談後からSCMの共同声明に毎年明示されてきた「在韓米軍を現水準で維持し、戦闘準備態勢を向上させるという公約を再確認した」という表現も、今年は削除された。このため、防衛費分担金交渉が速やかに妥結しない場合、トランプ政権が在韓米軍削減をリンクさせる戦略を駆使しかねないという懸念が持ち上がっている」

 

米国は、韓国が防衛分担金を支払わなければ米軍の現水準を維持しない、と間接的に言い始めている。これで一番困るのは韓国だ。こういう状況下でも、韓国は統帥権を渡せと迫っている。「弱い軍隊に指揮権を寄こせ」と言っているに等しい矛楯した言動である。

 

(4)「米国がSCMでこのように不満を示すのは、最近各分野できしんでいる韓米関係の気流が反映されたものとみられる。韓国政府は、米国が中国けん制のため推進している多国間安全保障協議体「クアッド」に否定的な立場を示してきた。また、ファーウェイ(華為技術)など中国IT企業を排除する「クリーンネットワーク」についても「良いアイデアではない」「検討を加えてみなければならない」とした。エバンス・リビア元国務次官補代理は、米国のラジオ放送『ボイス・オブ・アメリカ』の番組で「ワシントンには、ソウルが徐々に中国側へ傾きつつあるという疑念が存在する」と語った」。

 

このパラグラフは、極めて重要な点を指摘している。韓国が、米国の要請をことごとく撥ね付けていることだ。これでは、米韓同盟が空洞化しかねない危機を迎える。米国では、韓国が徐々に中国へ傾きかけている、と疑念を深めている背景になっている。

 

(5)「ワシントンの外交消息筋は、「反中キャンペーンの場合、共和党・民主党を問わず超党派的な流れが形成されているので、トランプ再選の結果とは関係なく圧迫が強まるだろう」と語った」

 

韓国は、米国大統領選の結果を待っているように見られている。だが、米国は超党派で、「反中国」である。大統領が替わっても、この点について変化はないはず。韓国は甘い期待を持っているが間違いであろう。

 


(6)「反中経済ブロック、「経済繁栄ネットワーク(EPN)」の実務を総括するキース・クラック国務次官は14日、メディアのインタビューで「中国共産党はいつも群れの中で弱ったガゼル(草原に住む草食動物)を狙うが、世界が団結すれば(中国は)報復できない」「中国の『一帯一路』に参加した(開発途上)諸国を荒廃させるパンデミックが迫っている」と語った。さらに「米国は条約によって結ばれた、韓国の唯一の同盟国」だとしつつ「韓国は自国の国家安全保障のため、クリーンネットワークに必ず賛同すべき」と主張した」

 

このパラグラフでも、米国の本音が現れている。中国は、一番弱い国を狙ってくるとまで発言している。文政権の「中国寄り」に業を煮やしているのだ。