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韓国大統領スタッフの多くは、学生時代に「反日米」への思い込みの激しかった人たちである。火炎瓶を投げて軍事政権と対決したことで、独特の「ヒロイズム」に陥っている。現在は日米への対抗が、韓国の国益増進に繋がると誤解・錯覚しており、韓国外交を大きな混乱に陥れているのだ。

 

日本と対決した結果、日韓関係はこれ以上の悪化はないほどに悪化している。次は、米国との悪化を「目指して」戦っているようだ。在韓米軍の費用分担を巡って争っているのだ。また、韓国軍へ統帥権を移管させろと迫っている。米中対立の長期化という見通しの強まる中、米国が韓国へ圧力を掛けているが、韓国は動じる気配はなさそうだ。親中朝路線を守ろうとしているようである。

 

『ハンギョレ新聞』(10月16日付)は、「『戦時作戦統制権返還』遅らせ『防衛費増額』迫る米国」とだいする社説を掲載した。文政権支持メディアである。「御用メディア」だ。

 

10月14日(現地時間)に米国で開かれた第52回韓米安保協議会(SCM)で、戦時作戦統制権(戦作権:統帥権)の返還時期をめぐり、韓米の国防相の意見の相違が明らかとなった。ソ・ウク韓国国防部長官は冒頭発言で、戦作権返還の早期実現に重点を置いた。一方、マーク・エスパー米国防長官は「戦作権移管に向けたすべての条件を完全に満たすには時間がかかる」とし、条件を満たすことを強調した。

 


(1)「米国の主張は、2014年に両国が合意した「条件にもとづく返還」を土台としている。当時、韓米は、韓国軍の連合防衛主導の中核となる軍事能力の確保、北朝鮮の核とミサイルの脅威に備えた初期必須対応能力の保有、安定的な戦作権返還に見合う朝鮮半島および地域の安保環境の管理、という3つの戦作権返還条件に合意し、3段階の検証・評価手続きを推進している。このようななか、韓国と米国は今年、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響を受け、全3段階の2段階目に当たる未来連合軍司令部の完全運用能力(FOC)に対する検証・評価を終えることができなかった」

 

韓国には、北朝鮮がICBM(大陸間弾道ミサイル)を開発中という新たな脅威の出現について全く無視している。米軍でさえ「多弾頭ミサイル」という高度の新兵器に直面している段階で、これまでの「決まり」だから予定通り統帥権を韓国軍へ移管せよという主張も紋ギリ型に映る。少なくも同盟国間のやり取りとは思えない冷たさが感じられる。

 

この背景には、文大統領の任期が2022年5月までという切迫性がある。文氏の公約では、統帥権を文氏の任期中に移管させることになっているからだ。だが、米中対立の長期化と北朝鮮のICBM開発という従来になかった「外交変数」の出現で、在韓米軍の統帥権を韓国軍に移管するという状況ではなくなっている。

 

それにも関わらず、強引に米国へ迫る裏に文政権の思惑に関心を向けざるを得ない。それは、中朝に向けて在韓米軍の存在を無力化させる象徴にしようという狙いに見えるのだ。在韓米軍の統帥権が韓国軍に移れば、韓国大統領が在韓米軍をコントロールできるからだ。

 

極端なことを言えば、北朝鮮軍が38度線を越えて攻撃してきても、在韓米軍は統帥権を持たぬから独自で出動態勢を取れないのだ。ここに、韓国進歩派の狙う軍事力による「南北統一戦術」が浮かび上がるのである。文政権は、必ず何かを狙っている。一発逆転の「南北統一」である。彼の反日騒動の腹黒さからみると、この程度のことを企んでいるに違いない。

 


(2)「エスパー米国防長官は、戦作権返還には消極的な態度を示す一方、今回の会議の議題ではなかった防衛費分担金の大幅増額を強調した。彼は「我々の共同防衛費用の分担に関して、より公平な方法を探るべき」とし「でなければ米国納税者たちにとって不公平」と述べた。まるで韓国が安保を在韓米軍に頼ってただ乗りしてきたというような発言だが、事実とは異なる。エスパー長官は、膠着状態にある防衛費分担金交渉と在韓米軍の駐留規模を結びつけるような発言も行った。米国が要求する増額規模そのものが非常識であるうえ、米大統領選挙まで残り少ない状況にある。韓国政府は、米国の圧力に動揺してはならないだろう」

 

米韓同盟がスムーズに動いていれば、米国が巨額の防衛費分担を要求しなかったであろう。昨年秋、韓国はGSOMIA(日韓軍事情報包括保護協定)破棄を言い出して、米国の強い反発を受けた。その懲罰という意味もあって米国は防衛費分担を引上げて来たと言う事情がある。米国の怒りを買った代償である。

 

韓国は、日米を手玉に取る政策を行っている。韓国のGDP規模は世界12位である。この中堅国が、GDP世界1位と3位の日米を好き勝手に操ろうとしている。日米が、口には出さぬが怒って当然である。韓国は、中朝に媚びを売っているが、それは亡国の原因になることを自覚していないのだ。