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中国の7~9月期の実質経済成長率は、前年同期比で4.9%増であった。世界では、飛び抜けた高い成長率である。中国政府が米国との対抗上、メンツを掛けた「見栄」の「4.9%成長」である。だが、このしわ寄せは金融面に及んでいる。債務不履行(デフォルト)が、銀行経営を直撃しており、世界一の成長率=世界一の不良債権という、笑うに笑えない矛楯を抱えた経済運営である。

 

これで、年初来のGDP累積成長率は前年比0.%増である。9月の工業生産は前年比6.%増と生産部門の伸びが好調であることを覗わせている。だが、9月の小売販売は前年比3.%増と振わなかったのだ。この対照的なデータに中に、中国経済の現状が浮かび上がっている。経済成長は、政府のインフラ投資の支えがあったからこそ実現できたもの。個人部門の消長を表わす小売販売の伸び率は、9月でも前年比3.%増に過ぎないのだ。これは、末端経済の冷え込みを表わすもので、就職状況の厳しさに反映されている。

 


『日本経済新聞 電子版』(10月19日付)は、「中国4.9%成長でも就活厳しく、『月給、想定の3分の1』」と題する記事を掲載した。

 

(1)「新型コロナを早期に封じ込めたとして、中国は他国に先駆けて経済の正常化を進めてきた。それでも雇用の回復は遅れている。9月の都市部の調査失業率は5.%。コロナ前の19年(5.%)と比べて高止まりする。なかでも取り残されているのが大学卒業生だ。中国国際経済交流センターの張燕生首席研究員は「874万人に上る国内新卒生の2割は今なお就職活動を続けている」と語る。おまけに海外のコロナ禍を逃れて帰国した約80万人の海外留学生も就職戦線に加わる」

 

中国は、未曾有の就職難である。国内新卒の2割(175万人)が、今も就職活動を続けるほど厳しい就職戦線だ。中国は、最初に完全なロックダウン(都市閉鎖)を行っただけに、経済的な打撃を最も強く受けているはずだ。それが、持ち前の「見栄」が手伝い、7~9月期に前年比4.9%成長になった裏には「死屍累々」の犠牲があるはず。それは、金融の超緩和に伴う不良債権の山の上に咲いた「あだ花」だ。大学生の就職難は当然の帰結である。

 

(2)「人材会社の智聯招聘によると、60%の卒業生が職選びに際して「給料や福利厚生」を最重視しているが、実際に就職活動にはげむ学生の63%は「就職先の確保が最優先で、給料が希望した水準に届かなくても仕方がない」と答えた。学生にとって今の就職氷河期はかつてないほど深刻だ。10月初旬の国慶節(建国記念日)の連休明け。天安門から北へ約40キロメートルの北京市昌平区で、求人情報の屋外展示会が開かれた。「駐車場の料金徴収係、月給3000元、住み込みで食事付き」などと書かれた用紙が道路に敷き詰められ、職を求める人が一つ一つの情報に目をこらしていた」

 

中国の個人監視は、高度の技術を発揮している。だが、就職情報展示会(野外展示会)は、路上に求人情報を広げているという「格差」の酷さだ。路上の求人情報展示だから、まともな就職先があるわけでない。中国における末端の就職情報展示は、このようなものだ。政府が、力を入れて就職斡旋をしているのではない。

 

(3)「求職者の多くが北京市以外から来た出稼ぎ労働者だ。河北省出身の50歳代男性は「月給が高めの求人も見つけたが、年齢制限があってダメだった」と肩を落とした。新型コロナがまん延した今年初め、仕事をなくした多くの農民工が地元への帰省を余儀なくされた。2月末の出稼ぎ農民工は19年3月比で3割も減少。20年9月末も前年同月比2.%減とマイナスが続いており、職探しは一筋縄ではいかない」

 

農民工の職探しは、ロックダウンの影響を受けて最も厳しい状況であろう。小売販売の伸び率が高まる状況でなければ、仕事にありつく機会はないであろう。