あじさいのたまご
   

韓国政治は、歪みに歪んでいる。月城原発は、文政権によって早期閉鎖に追い込まれた。その過程が曖昧で、文政権の決定であるから実施するという盲目的な決定プロセスであったようだ。

 

韓国監査院(日本の会計検査院)は、この早期閉鎖問題を巡って監査したが、その過程で政府関係者はまともな議論もしないで、杜撰な審査で閉鎖結論を出していたことが暴露されていた。文政権が、市民運動に太陽光発電を行わせるために、強引な原発閉鎖を迫っていたことが問題の根源になった。

 

文在寅政権発足直後に7000億ウォン(約630億円)をかけて補修した月城1号機の早期閉鎖、新規原発建設の白紙化、30~40年の稼動許可を得た原発10基の寿命延長の禁止など、脱原発措置が相次いだ。工程率30%のシンハンウル34号機の建設は中断されたのである。

 

そして、文政権の政略通りに全国で太陽光パネルが広がった。毎日、サッカー場10個分規模の森を伐採し、山を削っては、貯水池までも太陽光パネルで覆い尽そうとした。文政権就任後の3年間、無謀な脱原発の過程で、自然破壊も急ピッチで進んだのである。

 

月城1号機は1次運営許可期間が終わってから、前記のように7000億ウォンをかけて復活させた貴重なエネルギー資源だ。早期の閉鎖によって、屑鉄にする決定は慎重の上にも慎重であるべきだった。その決定過程は極めて不透明だった。これが、昨年10月に国会が要請し、監査院が監査に着手した背景だ。

 


当初、監査結果は法定期間である2月末までに発表されなくてはならなかった。しかし、執拗な抵抗に遭い8カ月も遅れたのである。遅れた理由は、ひとえに政権寄りの結論が出るように圧力を加えて調査に時間がかかった結果である。

 

文政権は、こういう無謀な脱原発政策を行ったので、監査院による結果がどのようなものになるのか、総力を挙げて監査院に圧力を掛け続けた。その監査院報告が、10月20日に発表された。

 

『聯合ニュース』(10月20日付)は、「月城原発1号機の経済性『過小評価』、早期閉鎖決定巡りー韓国監査院」と題する記事を掲載した。

 

韓国監査院は20日、2018年の月城原子力発電所1号機(慶尚北道・慶州)の早期閉鎖決定を巡る監査結果を発表し、主要争点の一つだった同機の経済性について「過小評価された」との判断を示した。

(1)「監査院は、原発運営会社・韓国水力原子力の職員が、経済性評価の研究報告書に記された販売単価が実際より低く設定されていることを知りながらも、これを正さずに評価に使用させ、その決定過程に産業通商資源部の職員らも関与したと明らかにした。ただ、監査の理由であり目的といえる早期閉鎖決定の妥当性に対しては、監査の範囲に含まれていないとして判断を示さなかった。監査院は「運転中止の決定は経済性以外に安全性、地元の理解などを総合的に考慮したもの」だとし、「安全性や地元の理解といった問題は今回の監査範囲から除外されている」と説明した」

 

監査院は、日本の会計検査院と同じで政府から独立した機関である。それでも、文政権の執拗な「クモの糸」から逃れられなかったようだ。与党が、遠慮会釈ない圧力を監査院に加えていたことも響いた。

 


監査院は、「運転中止の決定について、経済性以外に安全性、地元の理解などを総合的に考慮したもの」と逃げを打っている。経済性では過小評価されたと指摘しながら、安全性も地元の理解を考慮したとしている。つまり、安全性と地元の理解が得られなかったような理屈付で、間接的に「政府決定」を容認する方向の結論になったのだ。政権の「判定勝ち」である。

 

(2)「韓国水力原子力は18年6月の取締役会で、延長運転中の月城原発1号機を政府の政策に従って早期に閉鎖することを決定した。監査院が早期閉鎖決定は誤りだと判断すれば文在寅政権の脱原発政策に打撃となることから、監査結果に注目が集まっていた」

 

監査院は、政府の早期閉鎖決定が誤りだと判断しなかったのである。つまり、監査院は脱原発政策の推進過程に一部問題があったと判断したが、早期閉鎖の妥当性に対する判断は示さなかったため、脱原発政策の推進に及ぼす影響は限定的とみられる。文政権の粘り勝ちである。だが、この間の監査院へ掛けられた政権と与党の圧力は、民主政治を破壊する悪例を残す結果となった。