テイカカズラ
   

米国大統領選は、11月3日である。あと、2週間弱である。支持率では、共和党トランプ氏が、民主党バイデン氏に大きく引離されている。気の早い向きは、「バイデン当選」という見方も出ている。そういう中で、中国系米国人が禁止アプリであるウィーチャットを使って、「トランプ支持」を訴えているという。米国でウィーチャット利用者は、約300万人でありその多くが「トランプ支持」という。伝統的生活スタイル思考が、支持理由とされている。

 

『フィナンシャル・タイムズ』(10月18日付)は、「中国系米国人、『禁止』アプリでトランプ氏支援」と題する記事を掲載した。

 

2016年の米大統領選では中国系米国人の大半がクリントン元国務長官に投票したが、4年後の今、ウィーチャットで声高なのはトランプ支持者だ。コロンビア大学ジャーナリズム大学院のチ・チャン氏の調査によると、ウィーチャット上の党派色のあるブログで最も読まれているのは共和党寄りのものだという。中国系米国人は政党支持に熱を入れない傾向があり、「全米アジア系米国人調査」では85%の人が無党派と答えている。だが、ウィーチャット上の対話は声高なトランプ支持派が結束して主導している。

 

(1)「ウィーチャットの米国内の利用者は約300万人。中国からの第1世代の移民や最近移住した人が大半を占め、それ以外にはほとんど浸透していない。その結果、ホフストラ大学(ニューヨーク州)のクリスティーナ・ウー氏によると、ツイッター、フェイスブックやワッツアップなど主流のプラットフォームと比べてほとんどの米国人と接点のないウィーチャットは、トランプ支持派にとって「隣人や同僚に見つかる心配がない」安全な場所になっている

 

今回の大統領選で、支持候補を明らかにしない「シャイな支持者」が、共和党で11%ほどいるという。中国系米国人のトランプ支持は、この11%に含まれているのだろう。この「隠れトランプ支持者」が投票すれば、世論調査と違う結果が出る。世論調査の難しさである。

 

(2)「トランプ氏を支援する理由は、中国系米国人もおおむね他の支持者たちと変わらない。「米国の保守文化は私たちの父や祖父の世代の文化とよく似ている」と話すのは、中西部ミズーリ州在住のエンジニアで米国永住権(グリーンカード)の発行を待つティエンさん(31)だ。フルネームは明かさなかった。「家族を大事にして勤勉を旨とし、同性愛や性的自由といった現代的な考え方の多くに反対する」。とはいえ、中国系米国人は教育・所得水準の高さという点で、一般的なトランプ支持者とは異なる。そうした特徴ゆえに、政府の扶助に頼らず自力で成功をつかんだ移民という自己意識が一層強まっている。その結果、エリート層の中国系移民がトランプ支持者として労働者階級の白人有権者と一体化するという意外な構図が生まれている」

 

中国系米国人の所得水準は高いが、労働者階級の白人有権者と一体化する構図が生まれているという。「古き良き米国文化を守ろう」という共通認識だろうか。

 


(3)「(社会的弱者や少数派を優遇する)「アファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)」も、大学などの教育機関で中国系学生が相対的に多い状態が崩されることを恐れる保守派の中国系有権者を動かしている。ウィーチャット上でトランプ氏の支援活動をする人たちは、故国の中国にいる友人や家族との連絡に同アプリを使っているが、中国の人々に対する親愛の情と、トランプ氏が政策上の標的とする中国政府に対する思いを分けて考えている」

 

中国系米国人は、トランプ氏の中国叩きに反対していないようだ。トランプ氏は、中国共産党と中国人を分けて考えている。となれば、中国の人々を敵視していないので、トランプ支持を言い出しやすいのであろう。

 

(4)「米国の国益に資するという理由で対中制裁措置を支持する人々がいる一方で、中国政府がたたかれるのを見たがる人たちもいる。中国への幻滅から米国に移り住んだ人たちは特にそうだ。その1人、女性のウェン・フアさんは地元の南部バージニア州でトランプ氏支援のための個別訪問に携わっている。ビデオ通話で米国国旗をバックに取材に応じたウェンさんは、1997年の中国返還前に香港から米国に渡った大勢の移民の1人だった当時のことを振り返った。「米国に帰化して社会主義や共産主義を持ち込もうとしている中国系米国人は好きになれない。中国へ戻ればいい」とウェンさんは語った」

 

中国への幻滅から米国へ移民した中国系米国人にとって、母国にそれほど後ろ髪を引かれる思いはない。逆に、米国に虐められる姿を見たいという強者もいるという。この辺の感情は、いろいろあるのであろう。