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大統領選は僅差の勝負

バイデン対中政策不変

中国外交勘ゼロの危険

TPP復活で米国勝利

 

米国大統領選は11月3日だ。あと2週間足らずでトランプvsバイデンの決着が付く。ただ、今回はコロナ禍をさけるために郵便投票が増えており、これが投票結果に微妙な影を投げかけている。開票結果に「不正問題」があったのでないかという疑惑を残す余地があるからだ。

 

今回の米大統領選の世論調査では、民主党バイデン氏支持率が共和党トランプ氏を約10ポイントも引離している。大方は、「バイデン当選」という見方が支配的になっている。だが、肝心の民主党選挙対策本部では、「大差」の勝利でなく「僅差」で接戦という見方をしている。陣営の引締めを図るという「意図的発言」という捉え方もされようが、必ずしもそういう「戦術」によるものではなさそうだ。

 

大統領選は僅差の勝負

『Forbes Japan』(10月19日付)によれば、米民主党のバイデン陣営は、支持者たちに向けて今年の選挙キャンペーンは、メディアの報道が示すよりも 「はるかに接戦になる」と警告し、有利な世論調査結果に満足し、気を抜かないように呼びかけた。フォーブスが入手した内部文書で、バイデン陣営のジェン・オマリー・ディロン選対本部長は支持者らに向けて、「我々の立場が強いと確信している」と述べつつも、選挙戦は「複数の評論家が示唆するよりもはるかに接戦になる」と分析した。

 

2016年の大統領選でトランプ氏が勝利した背景には、ミシガン、ペンシルベニア、ウィスコンシンの伝統的に民主党が強い3州(ブルーウォールと呼ばれる)を、共和党支持に取り込んだことがあげられる。オマリー・ディロン氏は、前回の大統領選と同じ事態が再現される可能性を危惧している。

 


2016年の大統領選世論調査では、スイングステートと呼ばれる接戦州で民主党のヒラリー・クリントンの支持が、トランプを上回っていたが、結果的にトランプが勝利した。こういう苦い経験もあることから、民主党選対は陣営の引締めに入っている。

 

オマリー・ディロン氏はさらに、10月下旬に新たなサプライズがもたらされる可能性を指摘し、トランプ陣営の能力を過小評価しないように呼びかけた。前回大統領選で、民主党は「トランプ氏はロシア側支援を受けている」と爆弾情報を流した。実は、最近の秘密資料の公開で、これは全くの「偽情報」であったことが判明している。民主党にとっては手痛い情報開示である。選挙戦を巡る「謀略」は、政党を問わず行われているという動かしがたい証明となった。清廉イメージの民主党について、国民はこの偽情報をどう評価するかが注目される。

 

先のオマリー・ディロン氏は、民主党候補バイデン氏が圧倒的にリードしているとする全国世論調査の数字が誇張されていることを認めた。ディロン氏が、バイデン氏のリードについて注意を促したのは今回だけでない。過去にも指摘している。

 

『大紀元』(10月20日付)は、次のように報じている。

 

報道によれば、オマリー・ディロン氏はFOXニュースが入手した3ページのメモの中で、トランプ氏は依然、11月の選挙で勝つ可能性があり、選挙戦はアリゾナ州やノースカロライナ州などでは「拮抗」していると述べた。「実際のところ、この選挙戦は一部の専門家の意見よりもはるかに接戦となっています」とディロン氏はメモに書いたという。「最も正確な世論調査でも間違っている可能性があり、選挙当日の投票率などの変数を考えると、多くの接戦州にでは基本的に互角になっています」と指摘している。

 

オンライン市場調査とデータ収集を手がけるCloudResearchが8月に発表した調査によると、「シャイな有権者」現象のため、世論調査ではトランプ氏の支持率を十分に把握できないことが明らかになった。

 

前記調査によると、共和党支持者の11.%が「シャイな有権者」で、彼らは大統領選挙で誰に投票するかについて、本当の思いを世論調査で喋らないのだ。民主党支持者の「シャイな有権者」率は5.%で、共和党の半分以下だ。この調査結果は、世論調査がトランプ氏の支持率を完全には把握していないという見方を裏付けている。この「シャイな有権者」の差は、なんと6.3%ポイントになる。

 

公表されている世論調査における両候補の支持率の差から、この「6.3%」を差し引くと「僅差」という答えが出てくる。民主党選対本部長が、「接戦」であると漏らしているのは、こういう隠れ支持者である「シャイな有権者」の存在に注目しているのだ。(つづく)