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韓国が、米国から無視されていると韓国メディアが気を揉んでいる。ポンペオ米国務長官は、先の訪日の際、韓国を訪問予定であったが中止。さらに、25~30日にインド、スリランカ、モルディブ、インドネシアなどアジアを訪れることにしながらも韓国は含めなかった。文大統領が国連で演説した「北朝鮮との終戦宣言案」についても、ポンペオ氏は否定したのである。これでは、「コリアパッシング」と言われても仕方ない状況だ。

 

『中央日報』(10月23日付)は、「韓国パッシング? 米国務長官、来週のアジア歴訪から韓国外す」と題する記事を掲載した。


米国のマイク・ポンペオ国務長官の招待を受けて康京和(カン・ギョンファ)外交部長官が訪米する予定だと韓国外交部が22日、明らかにした。外交部は康長官が21日と22日の2日間、ポンペオ長官と2回電話会談を行い、「康長官が近く米国を訪問してポンペオ長官と会談し、韓半島(朝鮮半島)や地域、グローバル問題に対する戦略的疎通を続けていくことにした」と明らかにした。



(1)「ポンペオ長官は当初、今月初めに日本に続いて7~8日に韓国を訪問する予定だったが白紙化した。これについて外交部は「米国が内部の避けられない事情でポンペオ長官が韓国に来ることができないと説明した」とし、ドナルド・トランプ大統領の新型コロナウイルス(新型肺炎)感染が背景であることを示唆した。当時、外交部は「延期」と表現していた。「早い期間内に再びポンペオ長官の訪韓が推進されることを期待する」としながらだ。米国務省も「数週後の10月中にアジア歴訪日程を再び組むために努力する」とし、年内訪韓について可能性を残していた」

 

米国務省が、韓国に対して冷淡な姿勢を見せているのは、韓国側に責任がある。駐米韓国大使が、二度までも「韓国は米中のいずれかを選択できる立場になった」と発言したからだ。同盟国である米国に対して、これだけ非礼な発言はない。米国を軽んじる発言をしながら、米国から無視されるとこの騒ぎである。

 

日韓関係も同じだ。駐日韓国大使が「徴用工問題で日本が軟化気配」と発言したとたん、韓国与党代表は、「日韓両国の外交当局に委ねたい」と姿勢を変えてきた。腹の据わった外交が困難な国である。風見鶏の韓国なのだ。

 

(2)「だが、この日の発表のように、康長官が訪米するというのは、ポンペオ長官の訪韓は「延期」ではなく事実上の「取り止め」になったという意味でみなくてはならない。また、今回もポンペオ長官が25~30日にインド、スリランカ、モルディブ、インドネシアなどアジアを訪れることにしながらも韓国を含めなかった。ポンペオ長官のアジア歴訪日程を勘案する場合、康長官がワシントンを訪問するなら米国大統領選(11月3日)以降になる可能性が非常に高い。それなら大統領選の勝者を占うのが事実上不可能な今の時点に大統領選以降の訪米を約束することに何か意味があるかという反問が出ざるを得ない」

 

ポンペオ国務長官のアジア歴訪は、10月25~30日である。康長官がワシントンを訪問するなら米国大統領選(11月3日)以降になる。トランプ氏が再選されなければ、康長官訪米は事実上、意味がなくなる。

 

(3)「民主党ジョー・バイデン候補が当選する場合、ポンペオ長官に会うことは実益がなく、訪米そのものが水泡に帰する可能性もある。同じ指摘は18日、青瓦台(チョンワデ、大統領府)が徐薫(ソ・フン)国家安保室長の訪米成果を発表して「ロバート・オブライエン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)が11月に訪韓することにした」と明らかにした時にもあった。これについて国内的に「コリアパッシング」の懸念が大きくなると、政府がこれを縫合するために緊密な韓米関係を強調しようとする狙いではないのかという解釈もある」

 

国内的に「コリアパッシング」の懸念が大きくなると、韓国政府がこれをカムフラージュすべく、米韓密着説を演出して国内での批判を回避する。どう見ても、その場限りの外交姿勢である。

 

(4)「偶然にも外交部の発表は、ポンペオ長官が(文大統領提案の)終戦宣言に対して韓国とやや異なる意見を明らかにした直後に出てきた。ポンペオ長官は21日(現地時間)、国務省の記者会見で「文在寅(ムン・ジェイン)大統領が国連総会で言及した終戦宣言が北朝鮮の核放棄なしで可能なのか」という質問に「従来の米国の立場に変化はない」と明らかにした。「われわれは(北朝鮮との交渉)テーブルに戻って究極的に韓国大統領が話したこと(終戦宣言)に導くことができる問題について真剣なやり方で始めることを希望する」としながらだ」

文大統領は「終戦宣言こそ韓半島で非核化と恒久的平和体制の道を開く扉になる」と述べた。これは終戦宣言を非核化プロセスの「入口」として別途取り出し、膠着局面にある交渉に動力を得ようとする趣旨と解釈されている。だが、ポンペオ長官の発言は終戦宣言がむしろ「出口」側に近いという意味としてみることができる。文大統領の「終戦宣言案」は、米国から全く問題にもされていない実態が浮き上がった。米国が、こういう韓国との議論を回避したいのは当然であろう。