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韓国は不思議な国である。国民は、安全保障の相手国として圧倒的に米国へ依存している。だが、文政権はその米国と隙間風をつくり、中朝へ親愛感を示すという「ねじれ現象」である。国民と文政権の間で、米国への親近感が異なるのは、文政権に根本的な問題がある。

 

「インド太平洋構想」でも、文政権は距離を置いている。思想的に「親中朝派」の文政権では、インド太平洋構想に加わることが、中朝に対する大変な「裏切り」という自責の念を持っているのであろう。米韓同盟がありながら、米国と敵対する中国へ秋波を送る。戦国時代であれば、韓国は裏切り国として「成敗」を受ける立場だ。

 

『朝鮮日報』(10月24日付)は、「バイデンが当選しても韓国の安全保障は危うい」と題する寄稿を掲載した。筆者は、チェ・ガン・アサン政策研究院副院長である。

 

米大統領選挙は、韓国の生存に大きな影響を与える。米国は、中国や日本と比較して、道徳的価値と韓半島(朝鮮半島)に対する領土的野心という面で「韓国が頼れる同盟国」といった意識が韓国には存在する。米世論調査機関のピュー・リサーチ・センターによると、トランプ大統領に対する韓国人の好感度は17%にとどまっているが、米国への好感度は59%に上るなど、調査対象となった13カ国のうち最も高かった。

 


(1)「韓国の安保を巡る状況は、構造的に改善が困難な局面へと突入した。5000万人の国民の生存が韓国の意志とは関係なく、米国や中国、そして北朝鮮の決定によって決着が着くのではないかといった不安は拭えない。次の大統領がトランプ大統領であれバイデン候補であれ、「米国優先主義」がさらに強化された米国外交政策と向き合うようになる恐れがある。トランプ大統領の中国政策が手荒いと非難されてはいるが、中国の浮上が米国にとって最大の脅威だという見方は、共和党と民主党の間で了解済みの案件だ。米国社会内で悪化した中国に対する世論を考慮すると、「経済は中国、安保は米国」といった立場を維持するのは容易でない」

 

日本では、日米安全保障条約を完全に信頼しているので、安全保障問題で孤立感を持つことはない。韓国ではそれが逆である。米国依存でなく、中国依存という政治グループ(文政権支持派)がいるから驚かされる。国論が統一されていない、バラバラの国である。韓国では、「経済は中国、安保は米国」という。だが、「安保も中国」という特殊グループが文政権には入り込んで、「獅子身中の虫」の悪さをしているのだ。

 


(2)「トランプ大統領のアプローチが、南北の和解と協力に重点を置いている韓国政府と互いに通じてはいる。しかし、この裏にはトランプ大統領が韓米同盟を取引対象としかねないという変数が存在する。トランプ大統領にとって重要なのは米朝間の対話が与える宣伝効果であるため、北朝鮮から一部の非核化措置を引き出すために軍事演習の縮小、あるいは中断、さらには在韓米軍の削減を選択する可能性もある」

 

韓国が、米国から見放されるという危機感を持っているのは、芯から米国と一体化するという意識が欠如しているからだ。「親中朝」という思いが、いつも頭の隅にあるから、米国も韓国を「外様」扱いしている。

 

(3)「バイデン候補はトランプ大統領が掲げた「米国優先主義」から脱し、同盟関係を復元、米国の国際的リーダーシップを回復すると約束した。対話による北核問題の解決を強調している点は、「戦略的忍耐」と表現しつつも、北朝鮮の非核化に手をこまねいていた「オバマ2.0」の前轍(ぜんてつ)を踏む恐れもあり、懸念される。民主党政権の内部分裂で政策に混乱が生じる恐れがあり、バイデン陣営内の軍縮専門家らは北朝鮮を核国家として受け入れる軍縮会談の開催を主張しているが、これこそまさに北朝鮮がこれまで要求してきたことであり、韓国の安全保障をさらに危うくするだろう」

 

米軍が、日本から撤退するとか兵員削減という話は聞かない。だが、韓国の場合、しょっちゅうそういう議論が出るのは、米韓同盟の親密さが掛けているからであろう。中国への秋波は、韓国の安全保障を危険に追い込むことを知るべきだろう。米台関係と米韓関係を比べて、米韓同盟の関係性が希薄化しているのは、韓国文政権の「中国秋波」が原因であろう。

 


(4)「韓国は、北朝鮮の非核化が放棄できない目標であるという点を明確にしなければならない。北朝鮮を核国家として受け入れる「スモール・ディール」が持つ危険性を指摘するとともに、北朝鮮が非核化の意志を明確に示す場合は制裁を緩和し、関係改善も進めていくという原則を固守していかなければならない。日本との関係改善を模索し、中国に対しては自由民主主義と市場経済の価値と規範に忠実な姿勢で対応していかなければならない」

 

日韓関係が、喧嘩別れ状態である。米韓同盟も隙間風。こういう状況で、韓国の安全保障が完璧を期せるはずがない。中国からすれば、この迷える韓国を「射止める」べく動くのは当然である。「僚友」のない国が、安全であるはずがないのだ。