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米国は9月15日から、ファーウェイへのソフトと半導体の輸出を全面禁止した。従来の抜け穴を封じるため、「米国技術(設備)を利用して生産した世界中の半導体」と網を広く張った結果、水も漏らさぬ輸出禁止体制が出来上がっている。

 

ファーウェイが、ここまで米国を怒らせたのは、中国政府と一体になってスパイ活動を行なってきた「咎め」である。ファーウェイが、「民間会社」であるというイメージ(実際は政府株主)を使って、米国の主要大学や研究機関に補助金や研究器具を供与し、その成果をかすめ取ってきた。また、スパイ活動も積極的に行い、北欧ではファーウェイ社員が逮捕されている。ファーウェイはこういう悪事の露見で、米欧で広く営業地盤を失っているのだ。

 

『ウォール・ストリート・ジャーナル』(10月26日付)は、「ファーウェイにのしかかる米国の重圧、成長に陰り」と題する記事を掲載した。

 

(1)「中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)への圧力が高まっている。米国が半導体供給を締め付けているほか、同社の第5世代移動通信システム(5G)製品を排除する国も増える中、事業成長の鈍化が目立っている。深圳を拠点とするファーウェイが23日発表した1~9月期の売上高は伸びが鈍化した。同社はその前日、新型スマートフォンを発表。自社開発の高性能半導体を搭載したスマホはこれが最後になる可能性があると表明した。ニュー・ストリート・リサーチの通信インフラ担当主任、ピエール・フェラグ氏は「ファーウェイが何をすることができ、何をしてはいけないかを決める枠組みを米政権は設定した」と語った

 

ファーウェイは事実上、米国の管理会社になった形である。部品やソフトウエアなどの輸入は、米国が左右する実権を持っているからだ。基幹技術を持たない中国企業は、米国の意思に反した行動を取れば、こういう結末を迎えるという実例となった。

 

(2)「ファーウェイの1~9月期売上高は前年同期比9.9%増の6710億元(約10兆5300億円)と、前年同期の24%増から伸びが鈍化した。同社はそれについて「基本的に予想通り」だったと説明しているが、7~9月期(第3四半期)の売上高は前年同期比3.7%増と、前年同期の27%増からさらに大幅に後退した。喫緊の課題となっているのは、事実上全ての製品を支える半導体の調達能力だ。米商務省は今夏、915日以降いかなる企業も米国の技術を用いた半導体をファーウェイに販売することを禁じる新規制を発表した。米国製のハードもしくはソフトウエアは実質的にあらゆる最新半導体に何らかの形で使用されている

 

7~9月期(第3四半期)の売上高は、前年同期比3.7%増。前年同期の27%増から大幅に後退した。これは今後、期を追って前年同期比マイナスになることを明確に示唆している。来年に入れば、ファーウェイが完全に「死に体」となろう。米国が、ファーウェイの生命を奪う形になった。

 

(3)「ファーウェイは22日、最新スマホ「Mate40」を発表した際、自社が抱える課題に関心を引き寄せることになった。消費者部門トップのリチャード・ユー氏は最新端末のカメラ性能をアピール。スマホに搭載された社内ブランドのマイクロチップ「キリン」について、アップルの「iPhone(アイフォーン)12」のチップより多くのトランジスタを組み込んでいると誇った。ユー氏はその一方、自社の半導体を搭載するのはこれが最後になる可能性が高いと認めた。キリンを製造しているのは台湾積体電路製造(TSMC)だ。米規制によってTSMCはファーウェイへの供給を禁止されているうえ、供給体制の整っている代替業者は存在しない」

 

ファーウェイは22日、最新スマホ「Mate40」を発表した。新型発表は、今回が最後になるという。最新半導体の入手が不可能になるためだ。借り物技術の悲劇である。

 

(4)「不安材料はそれ以外にもある。ファーウェイは第2四半期にサムスン電子を抜いて世界最大のスマホメーカーとなったが、ファーウェイをトップの座に押し上げたのは中国消費者の旺盛な需要で、海外での販売は落ち込んだ。そしてカナリスのアナリストによると、3四半期には、海外ばかりか中国でもスマホの販売が減少した

 

中国でのスマホ販売(7~9月期)が減少したのは、中国の購買力の落込みを反映している。中国ではパンデミックによる所得格差が拡大しており、底辺層はもはや新型スマホを購入できる力を失っている。中国経済については厳重警戒すべき段階にある。