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米国大統領選挙が、あと1週間後に迫った。共和党と民主党は、前回大統領選に棄権した人たちの投票を積極的に呼びかけている。とりわけ、注目されるのは共和党のドブ板選挙である。戸別訪問して直接、投票を呼びかけているのだ。片や民主党は「声かけ」せずに静かな戸別訪問を続けるなど、選挙運動のスタイルも異なっている。この差がどう出るか。バイデン人気に上滑りはないか。検討してみた。

 

刻々と、最新の世論調査結果が発表されている。いずれも民主党バイデン候補に有利な話ばかりである。選挙資金の寄付も、民主党側が共和党側を上回っており、TV広告で圧倒している。だが、共和党の戸別訪問はTVでのバイデンPRに肉薄する効果を持っており、最終結末は依然として不明である。

 

前記のように、民主党および無党派グループはコロナ禍により、対面で有権者登録を促す活動を控えている。しかし、共和党は対面の戸別訪問を展開し、支持層のほか、あまり投票しないか投票したことのない有権者に働き掛けている。田中角栄・元首相によれば、有権者と握手するコミュニケーションが大事という。共和党は、「角栄式」を利用した戸別訪問だ。

 

『ロイター』(10月21日付)は、「米大統領選を左右するのは『前回棄権者』、両党が争奪戦」と題する記事を掲載した。

 

世論調査や期日前投票の様子を見ると、通常は選挙に参加しない米国民数百万人が、今年は傍観をやめる可能性がある。こうした有権者は大差で民主党支持に傾いている。民主党系分析会社・ターゲットスマートによると、普段あまり選挙に参加しない、もしくは今回初めて参加する有権者約730万人が、20日時点で期日前投票を終えている。4年前の同じ時点と比べ、2.5倍以上の数だ。今年は新型コロナウイルス感染症への懸念から、各州は不在者投票や期日前投票の選択肢を広げている。

 

(1)「ターゲットスマートによると、これら投票を終えた人々のうち、民主党支持者が共和党支持者を16%ポイント上回っている。同社のトム・ボニア最高経営責任者(CEO)は「より熱烈な支持を集めているのはだれか、どこで差がつくかという視点で見た場合に鍵を握るのは、選挙にあまり参加しないか初めて参加する有権者だ」と語る。共和党側は、こうした数字を深読みし過ぎるべきではないと釘を刺す。今年はトランプ氏の主要な支持層である、大学を出ていない白人有権者の投票率も高くなる可能性があるからだ」

 

トランプ支持者は、シャイな人が多く「トランプ」と口に出さない人が11%はいる。バイデン支持者では、これが5%ほど。トランプ氏の破滅的演説よりも、バイデン氏の木訥とした話し方が共感を得るだろう。こういう候補者のパーソナリティで、「シャイ率」が異なることも頭に入れて置くべきだ。

 

(2)「今年の大統領選は、前例破りの現象が目立つ。11月3日の投票日まで2週間弱の時点で、3500万人以上が投票を終えているのも異例だ。民主党の選挙対策関係者らは、あまり選挙に参加しない有権者の動員という点で、今年は自分たちが有利だと考えている。2016年の大統領選でトランプ氏が意表を突く勝利を収めた経緯が、そう考える一因だ。ウィスコンシン大の政治科学教授、バリー・バーデン氏によると、前回投票に出掛けなかった人々の一部は、トランプ氏が僅差で勝利したことで罪の意識にさいなまれた。「これらの人々は、4年前の出来事に仰天した。だから今回こそは、過去の後ろめたさを償おうとしている」と分析する」

 

期日前投票が、すでに3500万人もいる。大方は民主党票でないかと見られるという。ただの期待であるが、投票先を言いたがらない「シャイ」な人も相当数いるだろう。結果は、開票して見なければ分からない。

 

(3)「一方のトランプ氏陣営も激戦州で、あまり選挙に参加しない有権者に攻勢を掛ける。例えば、ペンシルベニア州ではボランティアが家々を回ってこうした有権者に話し掛け、有権者登録や投票の方法、場所を教えている。同州の投票記録によると、努力のかいあって、共和党の選挙登録者数は2016年に比べて差し引き20万人増加している。同州では長年、共和党が民主党に選挙登録者数で差をつけられてきたが、その差が1970年代以降で最も縮まっている。共和党はフロリダ州とノースカロライナ州でも同様の運動により、選挙登録者数の民主党優位を浸食している」

 

共和党の選挙は、ローラー方式である。一軒一軒、しらみつぶしに戸別訪問して有権者と対話して説得するスタイルだ。このパラグラフでは、その成果が出ているという。前回、大統領選では、これが成果を上げたのだ。身体の不自由な人には投票所まで送迎するというきめ細かい戦術を取っている。今回は、さらに磨きを掛けているに違いない。

 


(4)共和党の分析会社、マジョリティ・ストラテジーズが13日にまとめ、ロイターが閲覧したリポートによると、フロリダ州、ノースカロライナ州、ペンシルベニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州、ネブラスカ州下院第2選挙区の6カ所は、無党派の有権者のうち、既に投票を終えた人々よりも、まだ投票していない人々の方が、共和党に投票する確率が高い。ただ、まだ投票していない人々に対し、このまま棄権してしまわないよう説得するのは、より難しい作業だ。そうした有権者を引きつけるのが、トランプ氏による大規模な選挙集会だ。同陣営幹部によると、13日にペンシルベニア州ジョンズタウンで実施した集会では、参加者の約23%がこれまで投票したことのない人々だった。18日のネバダ州カーソンシティの集会は、この割合が30%に達した」

 

トランプ陣営はこうした出席者を集会後の数日間で改めて戸別訪問し、対面で投票を呼び掛ける戦術を取っている。同幹部は、「そうした家に有権者登録用紙や投票用紙を配る時にも、われわれは配布に確実に気が付いてもらうため、ドアもノックするようにしている。そこが違いだ。民主党はそれをやっていない」と語ったという。共和党は、大規模集会を頻繁に開いている狙いが、これで分るだろう。前回選挙時よりも、さらに戸別訪問に磨きを掛けている。