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韓国政府は、27日が締め切りとなるWTO(世界貿易機関)事務局長選挙で、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の当選を期して連日、2~3の外国首脳へ兪候補の売り込みを行っている。一方、これを阻止すべく日本が、「落選運動」をしていると韓国メディアが報じた。1年前、韓国政府が反日不買運動の先頭に立って、日本を刺激した以上、そのブーメランに見舞われていると記事は報じている。

 

韓国は世界に出ようとしても、日本との関係を改善させなければ無理。かねてから、韓国ではこういう指摘がされてきた。日本を「天敵」扱いして、政権浮揚のテコにしてきた韓国政府は、大きな一撃を受けたようだ。日本を批判してきた文政権にとって、WTO事務局長選で落選すれば、ひとしきり「対日外交」のあり方が問われることになろう。

 

『朝鮮日報』(10月27日付)は、「菅内閣『兪明希を阻め』WTO落選運動」と題する記事を掲載した。

 

日本政府が世界貿易機関(WTO)事務局長選挙で韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の当選を阻もうと、密かに各国に「ネガティブ・キャンペーン(落選運動)」を展開していることが26日、分かった。青瓦台と外交部が各国に「兪明希支持」を訴える総力外交に乗り出したことも、日本の妨害工作が今回の選挙終盤に変数になるかもしれないと見ているからだと思われる。昨年の与党関係者らが支持層結集のために行った「反日運動」が1年後にブーメランとなって返ってきたという指摘もある。

 

(1)「本紙の取材を総合すると、先月発足した日本の菅内閣は、兪明希氏が次期WTO事務局長になることは日本の世論と国益に良くないと判断したとみられる。兪明希氏は、徴用賠償判決に対する報復措置として日本が昨年、輸出規制を実施すると、これをWTOに提訴する責任者となった。このため、同氏がWTOのトップになることを容認してはならない、という論理だ。兪明希氏が当選すれば、輸出規制訴訟はもちろん、ほかの紛争解決手続きでも日本が不利な状況に置かれる可能性があるとの判断も作用したという。「日本政府は候補者も立てられずに何をしていたのか」という非難が相次いでいる状況も懸念しているとのことだ」

 

日本にとって韓国との貿易紛争が最多であろう。WTOで係争処理するだけに、その事務局長が韓国出身であれば、結論は火を見るより明らか。日本が係争相手国出身のWTO事務局長を回避したいのは当然だ。日本が、韓国から非難される理由はない。

 

(2)「日本外務省は、今回のWTO事務局長選挙戦で重要な変数になるヨーロッパや中南米、アジア諸国に対して、兪明希氏を支持しないでほしいと要請していたことが分かった。輸出規制問題で両国が対立する中、韓国が事務局長を輩出すればWTOは公平性が疑わしいという論理を展開していることが分かった。また、一部の発展途上国では、日本の要求を聞き入れる見返りとして経済支援に言及していることも分かった」

 

日本が、外交ルートを通じて「脱韓国候補者」運動をしていると、記事では指摘している。だが、日本の説得だけで事態が動くはずもない。欧州連合(EU)加盟国が26日(現地時間)、WTO事務局長選挙の決選でナイジェリアのオコンジョイウェアラ氏を支持することで合意した、とAFP通信が報じている。アフリカは、欧州の植民地にされてきたから、その「償い」という意味もあり、ナイジェリア候補者を推さざるを得ない事情もあろう。

 


(3)「共同通信は25日、日本政府関係者の話として、日本政府がWTO事務局長選挙で兪明希氏と競い合っているナイジェリアのオコンジョイウェアラ元財務相を支持することを決定した、と報じた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領や丁世均(チョン・セギュン)首相らが最近、他国の首脳と電話・手紙外交をして総力戦を展開しているのは、日本のネガティブ・キャンペーンの動きをキャッチしたからだ、という分析もある。韓国政府は、青瓦台の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長をチーム長とするタスクフォース(TF)を構成、康京和(カン・ギョンファ)外交部長官らが毎日2~3件関連日程をこなすほど、今回の選挙に力を入れている」

 

韓国が、WTO事務局長選に賭ける気合いは相当なものだ。文大統領自らが、各国首脳へ電話攻勢をかけ支持を要請してきた。それだけに当選できなければ、日本を恨むことになろう。

 

(4)「コンセンサス(満場一致)方式で事務局長を選出するWTO選挙の特性上、日本が最後まで韓国に反対すれば、兪明希氏の選出は非常に難しくなる。このため、韓国政府周辺では、「昨年、与党が大々的な反日・不買運動の先頭に立ったのが痛い」という声も上がっている。昨年、韓国政府が福島産水産物輸入禁止関連のWTO紛争で日本に勝利した時、青瓦台が「前例のない勝利」などの表現で日本を刺激したことも、兪明希候補の公正性を問題視する声を裏付けしている。元外交部幹部は「予想に反して(兪明希氏を)最終投票まで進出させが、日本のヴィートー(拒否)で当選できなければ、対日外交責任論が浮上するだろう」と語った」

 

韓国は、日本の壁を改めて認識することになった。日本が行った植民地政策は、「近代化」であって、日本の財政負担となった。英国は、インド植民地経営で徹底的な収奪を目的とした。こういう比較もせず一方的に日本を恨む、罵倒する、謝罪と賠償を求める。日韓関係が上手くいくはずがないのだ。