a1320_000159_m
   

韓国では物事がうまく行かない場合、必ず誰かに責任を擦り付けるクセがある。今回のWTO(世界貿易機関)事務局長選の決戦投票で、韓国候補の産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長は、敗色濃厚になってきた。その原因は、日本が反対運動をしたからだと非難の矛先を向けている。

 

WTO事務局長選を大きく左右したのは、EU(欧州連合)27ヶ国が結束して、ナイジェリア元財務相のオコンジョイウェアラ氏を支持することで合意したからだ。この大票田が、アフリカ候補支持で決まった以上、大勢に影響を与えたのだ。日本を逆恨みすることはない。

 

『朝鮮日報』(10月28日付)は、「文大統領が兪明希氏にテコ入れしていたのに

U27カ国はナイジェリア人候補支持」と題する記事を掲載した。

 

文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこれまで約90カ国と電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴えるなど、総力戦を繰り広げてきた。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も外交チャンネルを通じて支持を訴えた。しかし、選挙終盤に日本が韓国に対する「ネガティブ・キャンペーン(落選運動)」に乗り出し、形勢が不利になってきている。外交関係者の間では「政府が韓日関係を管理さえしていれば、このような状況にはならなかっただろう」という声が上がっている。

 

(1)「外信や複数の消息筋によると、EU加盟27カ国の大使たちは同日、ベルギーのブリュッセルで支持候補を決定するための会議を2回開いた。1回目の会議では一部の東欧・バルト地域加盟国が兪明希氏支持の意向を明らかにした。しかし、これらの国々は2回目の会議で大勢に従ってオコンジョイウェアラ氏を支持することにしたという。EUはWTO事務局長を選出する際、団結のため伝統的に支持候補を統一している」

 

EUの結束力を高めるには、統一行動をすることが肝心である。WTO事務局長選でも同じこと。過去の欧州とアフリカの植民地関係から言えば、アフリカ人候補を支持するのは当然であろう。

 

(2)「EUではどんな事案でも、二大加盟国であるドイツとフランスの意見が一致した場合、これを覆すのは難しい。ある消息筋によると、今回のWTO事務局長選出に関して、ドイツ、フランス、イタリア、スペインなど影響力が強い国々は早くからオコンジョイウェアラ氏を支持してきたという。現在までの情勢を総合すると、WTO会員国164カ国のうち、半数の82カ国を上回る96カ国前後がオコンジョイウェアラ氏を支持するものと思われる」

 

大票田のEU27ヶ国がアフリカ候補を支持すれば、選挙の大勢に大きな影響が出るのは当然である。

 


(3)「韓国政府は、「第2の潘基文(パン・ギムン=前国連事務総長)の奇跡」を生むとして、WTO事務局長選挙に外交資源を総動員してきた。初の韓国人WTO事務局長輩出により国の格を高め、国際通商外交力を一層強化する契機にしようという構想だった。文大統領は27日、カナダのジャスティン・トルドー首相との電話会談を含めて合計14回、電話首脳会談を行い、73カ国に親書を送った。一部では「今回の選挙に動員した外交力を北朝鮮の非核化や韓米防衛費分担金交渉、韓日徴用問題解決に使っていたら、かなりの成果を挙げられていただろう」と指摘する声が上がっているほどだ」

 

韓国にとって、WTO事務局長ポストを射止めれば、世界における韓国の地位が上がるという思惑が働いていていた。それは、文大統領のレガシーにもなる。それだけに、文氏は必死の思いで首脳電話会談14回、73カ国に親書を送ったのだ。

 

(4)「選挙序盤に劣勢だった兪明希氏は、青瓦台の全面的な支援に支えられ、最終的に決選にまで進出した。ところが、WTOで影響力の強い日本が最近になって「兪明希反対運動」を展開、雰囲気が変わったと伝えられている。オコンジョイウェアラ氏は親中性向を持っており、日本も好ましくは思っていないと言われている。それでも日本が兪明希氏に背を向けたのは、韓日関係と無関係ではないとみられている。韓国人がWTO事務局長を務めれば、輸出規制など韓国との貿易紛争で不利になるとの懸念が日本政府内に広がっているということだ」

 

日本の反対で、韓国は大魚を逸したとみているが、それは間違いだろう。何と言ってもEUが、アフリカ人候補支持で結束したことが大きな力だ。韓国大統領府では当初、日本が反対したら堂々と戦うと宣言していたのである。今さら、日本の反対が原因で、WTO事務局長選で敗れたというのもおかしな話だ。

 

(5)「日本のこのような立場は、今回のEUの支持候補決定にも一部影響を及ぼしたとの分析がある。外交消息筋は「政府は、欧州の一部の国とアフリカの特殊な関係は『常数』と見て、東欧諸国を集中的に攻略してきた。しかし、中国に続き日本までオコンジョイウェアラ氏を支持しているため、東欧側も全員一致が難しい候補(兪明希氏)にこれ以上こだわれなくなってきた」と語った。このため、「兪明希氏が落選した場合、しばらく小康状態だった政府の対日強硬路線が復活するだろう」との見通しも出ている」

 

中国が、兪明希氏を支持しなかった点では日本と同じである。その中国には文句を言えず、日本だけに、再び強硬路線をとるという。どうぞ、ご自由にと言うほかない。