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事前合意はアフリカ出身者

WTOに全力投球した裏

韓国の深慮遠謀を見抜く

日本を黒幕視する敗北感

反日・甘えの構造とは?

 

 

韓国が、総力を挙げて当選を目指してきたWTO(世界貿易機関)事務局長選の最終選考において、韓国産業通商資源部の兪明希(ユ・ミョンヒ)通商交渉本部長の敗北が決まった。EU(欧州連合)27ヶ国が、韓国のライバル候補であるナイジェリア元財務相のオコンジョイウェアラ氏を支持することで合意した結果だ。

『共同通信』(10月29日付)は、次のように伝えた。

 

WTOは28日、事務局長選で最終選考に残った2人の女性候補のうち、ナイジェリアの元財務相のオコンジョイウェアラ氏が、韓国の兪明希・産業通商資源省通商交渉本部長を上回る支持を得ており、次期トップに推薦されたと明らかにした。オコンジョイウェアラ氏が事務局長となるには、一般理事会で承認される必要がある。ただ、韓国側が反対姿勢にこだわればトップ選びが長期化する可能性もある。この日の加盟国代表会合では、日本、中国、欧州連合(EU)などはオコンジョイウェアラ氏の選出に賛成を表明し、米国のみが兪氏支持を明言した。

 

以上の記事で、WTO事務局長選は決着がついた。

 

 

WTO加盟国は164ヶ国である。地域別の内訳は次のようなものだ。

アフリカ   44カ国

欧州     37カ国

アジア太平洋 49カ国

中南米    31カ国

北米      3カ国

 

事前合意はアフリカ出身者に

WTO事務局長選は、単純に票数では決められず、米国、EU、中国、日本などの最終意見を聞いて決まるという。ただ、票数が基盤になることは当然であろう。これを頭に入れて兪明希氏とオコンジョイウェアラ氏の票数を占うと、だいたいの見当がつくのだ。

 

オコンジョイウェアラ氏は、アフリカ44ヶ国とEU27ヶ国が基礎票である。これだけで71票になる。WTO加盟国は164ヶ国であるから半数は82ヶ国だ。オコンジョイウェアラ氏は、基礎票71票にあと12ヶ国の支持を積み増せば過半数の83票になる。オコンジョイウェアラ氏は、数日前に79票を確保したと話したが、決して過大に言っていなかった訳だ。

 

今回のWTO事務局長選の前に、「次の事務局長はアフリカ出身で女性」がコンセンサスになっていた。最終選考に残った二人の候補者は、いずれも女性である。そういう意味では、事前のコンセンサス通りに選考が進んでいる。

 

韓国大統領府が、事前コンセンサスの「アフリカ出身で女性」を理解していなかったとは思えない。韓国出身者が、過去2回のWTO事務局長選に立候補して、あえなく第一次選考で敗退している。今回は、二次選考をパスし最終選考二人の候補の中に残っただけに、「あるいは勝てるか」という希望を膨らませたのであろう。

 

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、これまで約90カ国と電話首脳会談をしたり親書を送ったりして「兪明希支持」を訴え、総力戦を繰り広げてきた。康京和(カン・ギョンファ)外交部長官も外交チャンネルを通じて支持を訴えてきた。康長官は、「毎日、電話での依頼が仕事である」とぼやくほど、韓国の外交網を総動員した。

 

WTOに全力投球した裏に

韓国政府が、これだけ熱意を込めてWTO事務局長選を支援した理由は何か。

 

第一は、文政権が就任以来、何らの業績も上げていないという実態がある。

経済面では、最低賃金の大幅引き上げが雇用を破壊した。生産性を上回る大幅な賃金引き上げが、解雇者を増やして、最賃引上と真逆の結果をもたらした。

 

外交面では、日韓外交が最悪事態に落込んでいる。文氏が大統領就任によって「反日政策」を矢継ぎ早に行った結果である。米韓同盟も軋んでおり、米国の主導する「インド太平洋構想」にも中国の鼻息を気にして、曖昧姿勢をとっている。このまま進めば、文在寅氏は何一つ業績のない大統領という刻印を押される。それを覆すには、WTO事務局長選で勝ち抜いたという「宝物」が不可欠である。韓国の国格を引上げると考えているからだ。

 

韓国政府のWTO事務局長選支援チーム・トップは、大統領府の金尚祖(キム・サンジョ)政策室長が当った。金氏は、外交部によるサポートを康京和(カン・ギョンファ)長官に要請。康長官は「(当然のことであり)要請までする必要はない」とやり返すほどだった。このやり取りの中に、文大統領がWTO事務局長選に最大の関心を寄せていたことを物語っている。政権浮沈の鍵が、WTO事務局長選にあったことを示している。

 


第二は、韓国がWTO事務局長ポストを手に入れれば、日本との紛争において極めて有利な立場になることだ。韓国が提訴している「半導体3素材の輸出手続き規制強化」撤廃は、安全保障上の問題であり、日本の手続き規制は正しいというのが米国の立場だ。だが、韓国がWTO事務局長に当選すれば、韓国に有利な判断を出せる立場になるのだ。

 

韓国は、福島県産ほかの海産物について、WTOで「風評被害」という雲を掴むようなことを根拠に、日本に不利な輸出禁止条件を科すことに成功した。科学データで無害が立証されながら、WTO上級審を煙に巻いて輸入禁止措置を合法化させたのだ。こういう「奇襲作戦」が、韓国の特技である。WTO事務局長が韓国出身者になれば、いかなる奇策が罷り通るか分らないリスクを発生させる。日本として、韓国出身WTO事務局長を避けたいのが本心であろう。(つづく)