a0960_006640_m
   

中国は、半導体産業の脆弱性が鮮明になると共に、韓国を引き寄せる動きを活発化させてきた。だが、肝心の韓国経済界が、米国の反ファーウェイ戦線に参加する姿勢を明らかにしており、中国の懇願は振り切られた。

 

11月18日、米韓財界会議で共同宣言文が採択された。その中で、「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダー(特にIT関連製品の販売企業)が入る場所はないということで意見を共にする」との声明を発表した。これは言外に、疑惑を持たれている中国ファーウェイが、米韓の5Gに入り込む余地はないと宣言したものと受け取られている。

 

一方、皮肉にも同じ18日、駐韓中国大使のケイ海明氏が、「5Gネットワークにおける協力の拡大」を韓国政府に要請した。米国が主導する「クリーンネットワーク」(中国の情報技術・企業の退出政策)に韓国は参加しないよう遠回しに圧力をかけてきたものとみられる。

 


『ハンギョレ新聞』(11月19日付)は、「韓国財界『反ファーウェイ』戦線に参加を示唆?」と題する記事を掲載した。

 

米国や英国、オーストラリア、日本などの同盟国が、第5世代(5G)技術覇権争いで「華為(ファーウェイ)制裁」の流れに賛同している中、韓国財界が「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダー(特にIT関連製品の販売企業)が入る場所はないということで意見を共にする」という声明を発表した。韓米財界会議が採択した共同宣言文に盛り込まれた内容で、韓国財界が集団で「反ファーウェイ戦線」に参加する意向を初めて公式に明らかにしたものとみられる。

 

(1)「全国経済人連合会(全経連)は18日、米国商工会議所と共同でテレビ会議方式で開催した「第32回韓米財界会議総会」で、共同宣言文を採択したと発表した。6項目からなる共同宣言文によると、「5Gの責任感あるグローバル開発及び展開の促進」という項目が出てくる。両国の財界はこの項目で、「我々は、5Gネットワーク内のどこにも、信頼できず危険性の高いベンダーが入る場所はない(という点で、意見を共にする。また、韓米両国政府が同盟やパートナーと共に信頼構築やセキュリティの改善に力を入れるべきであり、そのためには民間部門と継続的に協力してリスクの把握と低減に努めて、信頼できる5G技術やサービス、製品の持続的な開発を進めなければならないと信じている」と明らかにした)

 

下線部において、同盟やパートナーと共に信頼構築やセキュリティの改善に力を入れるべきとしている。中国は、米韓の同盟国でもパートナーでもない。この共同宣言の範疇に入っていないのだ。

 


(2)「宣言文は、「信頼できず危険性の高いベンダー」を明らかにしていないが、中国IT企業のファーウェイを指すものと見られる。これまで米国や英国、オーストラリアなどは国家安全保障を理由に、自国の5G通信ネットワーク構築事業でファーウェイを排除し、ファーウェイを「信頼できず危険性の高いベンダー」と呼んできた。全経連の関係者は「宣言文のこの文言は5G技術の重要性と安全性を強調する原論的意味から含まれたもので、特定企業を指したものではない。今回の財界会議でも特定企業に対する言及は全くなかった」と述べた」

 

これまでファーウェイを排除してきた国では、ファーウェイを「信頼できず危険性の高いベンダー」と呼んできたのである。今回も同様の文言が入っていることが、決定的な証拠と言える。

 

『ハンギョレ新聞』(11月19日付)は、「駐韓中国大使、5Gネットワークにおける韓中協力の拡大を要請」と題する記事を掲載した。

 

(3)「ケイ大使は18日、中国大使館主催で開かれた「新時代における中国国政運営の評価と未来の韓中関係再跳躍の協力案」の基調演説で「5Gネットワーク、デジタル経済、人工知能などデジタル新インフラ建設分野で(韓国との)協力を拡大することを望んでいる」と述べた。ケイ大使は4月の全国経済人連合会(全経連)の懇談会と、9月の「人民網」とのインタビューでも、5Gや人工知能、ビッグデータなどをめぐる韓中協力を強化しようと提案した」

 

中国は、韓国説得で必死である。米中対立の長期化で半導体技術の習得に大きな障害が生じているからだ。中国半導体トップの紫光集団がデフォルト騒ぎを引き起しており、足元に火がついた格好である。中国は、これまで「THAAD(超高高度ミサイル網)」を巡り、韓国へ経済制裁を加えてきた。それにも関わらず、韓国IT企業を中国へつなぎ止めたいという虫のいい考えである。恫喝外交の破綻だ。