テイカカズラ
   

韓国の秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官が、尹錫ヨル(ユン・ソクヨル)検察総長を辞任に追込もうとしている一件は、文政権にとって不利な状況に傾いている。現実に、政権の思い通りユン総長を辞任させた場合、その一大ブーメランによって、次期大統領選で国民から「ノー」を突きつけられかねない。解任理由は、政権側の犯罪捜査を中止させるためであることが、国民の前にはっきりしているのだ。

 

ユン検察総長は、最近の世論調査での次期大統領候補人気で一番手に踊り出ている。ユン氏は、この問題に付いて沈黙しているが、政府からの圧力が強まれば強まるほど、国民的な人気を高める構造ができあがりつつある。この事実によって、ユン総長解任で突っ走ってきた与党・大統領府が突然、動きを止めつつある。

 

『ハンギョレ新聞』(11月21日付)は、「悩み深き韓国与党・大統領府、検察総長を『中途辞任』させる場合の逆風を懸念」と題する記事を掲載した。

 

チュ・ミエ法務部長官がユン・ソクヨル検察総長に対する監察を指示するなど、両者の対立が続いているが、大統領府と与党の共に民主党は、対立の構図を整理する“人為的介入”を控え、ひとまず事態の推移を見守るという立場だ。両者の衝突を放置しているという批判のためにチュ長官を退かせれば、検察改革の後退と映る可能性があり、任期が保障されたユン総長の中途辞任を強制する場合、逆風も懸念されるからだ。

 


(1)「与党には、政治的発言をするなどのユン総長の言動に不満が多いが、法的に2年の任期が保障されたユン総長を解任するのは難しいとみている。与党の別の関係者は、「大統領には検察総長の任命権だけがあり、任免権があるわけではないので、解任は難しいとみている」と述べた。与党が検察総長を弾劾することも負担が大きいという雰囲気だ。検察総長の任期制が導入された1988年以後、6回の検察総長弾劾訴追案が発議されたが、すべて野党が発議したうえに通過した事例もない。残る最後の方法は懲戒解任だ。チュ長官がユン総長に対する監察を指示したので、その結果により懲戒委員会を開き、総長を解任する手続きを進めることができる」

 

与党は、ユン総長の政治的発言に不満を持っている。だが、ユン氏の発言はすべて検察総長としての正論を述べている。検察の権力は不偏不党と当り前の発言だが、与党には耳が痛く聞えるのだろう。それほど、進歩派の与党が歴史の歯車を逆回転させることに力を注いでいる証拠である。

 

(2)「ただし、大統領府と与党は、辞任が避けられない法的・道徳的問題が明らかになったり、自主的に辞任をしない以上、ユン総長が任期を全うするしかないという雰囲気が強い。党関係者は、「無理に辞任を強制することが難しいのは事実」だと述べた。共に民主党のイ・ナギョン代表が17日、ジャーナリスト団体の寛勲討論会で「(ユン総長が政治的中立などの議論を)払拭する必要がある。もしそのような考えがないのなら、本人が選択しなければならない問題」だと述べたことも、ユン総長が自主的な辞任を決心しない以上、見守るという意味だと分析される」

 

ユン総長が、政治的中立と発言することは当然である。与党は、それを問題視して辞任させようとしている。「共に民主党」のイ・ナギョン代表は、前首相である。次期大統領候補として、常に人気レースのトップであった。それが、ユン総長に1位を奪われて、危機感を強めているのであろう。本心では、このユン総長解任問題を鎮火させたいはずだ。

 

(3)「大統領府が、「チュ長官とユン総長の対立」の長期化を責任を持って整理せずに放置しているのではないかという批判も出ている。これについて大統領府のある関係者は「大統領は刷新人事などあまり行わない。ユン総長の任期(保障)もそうした点からみなければならないようだ」と述べた。ユン総長をあえて任期途中で退かせる場合、むしろユン総長は政治的に株が上がるだけで、場合によっては逆風を受けることになりうるという判断も大統領府内部に広がっている」

 

下線部は、ユン総長の国民的な人気の高まりが、次期大統領候補で不動の地位へ押し上げれば、政権側にとってこれほどマイナス材料はない。まさに、「鳶に油揚げをさらわれる」ことになる。こういう損得計算がはっきり出てくると、政権側もユン総長解任問題から手を引かざるを得なくさせるのであろう。