新型コロナウイルスワクチン開発は、国家の威信がかかる競争であった。中国は、昨年11月から秘かに人民解放軍にワクチン開発をさせていた。新型コロナウイルスが、WHOによって世界に告知される以前から、中国はワクチン開発に着手していたことになる。これは、中国が、事前に事態(新型コロナウイルス)を察知していたことを示す証拠である。
中国は、ここまで抜け駆けしワクチン開発を行い、世界一という称号を手にする予定であった。それが、まんまと米国2社にその栄冠をさらわれてしまったのだ。その悔しさ、無念さを伝える記事が現れた。
『人民網』(11月22日付)は、「『ワクチン有効性90%以上』が世界経済にとって意味するものとは?」と題する記事を掲載した。
米国のファイザー製薬が同社の新型コロナウイルスワクチンの有効率が90%以上だと発表したのに続き、米・モデルナ社もこのほど同社のワクチン研究開発が飛躍的進展を遂げたと発表した。世界経済が泥沼に陥っている今、ワクチンは世界経済回復の希望となるのだろうか?中国新聞社が伝えた」
(1)「科学界は、有効率が少なくとも75%に達する新型コロナワクチンの研究開発を目指している。また、米国国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)のファウチ所長のこれまでの発言に従えば、「情勢が厳しいことをふまえれば、50%以上のワクチン有効性でも受け入れられる」状況だ。ワクチン有効性90%というのは、実際には業界関係者のワクチン有効性に対する予想をはるかに上回っている」
ファイザーとモデルナの最終治験の結果では、有効率が95%前後という「神がかり的」な高さを示した。これは、最先端研究である遺伝子を利用した開発によるものとされている。中国が開発中のワクチンについては、最終治験も終わっておらず詳細情報は不明である。多分、米国2社の結果よりも劣るのであろう。
(2)「しかし、90%というワクチン有効性が決して盤石ではないことに注意を向けなければならない。ファイザーの説明によると、現在同ワクチンの臨床試験はまだ終了しておらず、安全性と有効性に関するデータも収集している最中だ。研究が進むにしたがって、最終的なワクチンの有効性比率は変わるかもしれない。また、ワクチンに関する一部のカギとなる情報がまだ明らかにされておらず、この点からもワクチンの最終的な有効性に疑問符が付いている」
このパラグラフは、間違ったイメージを読者に伝えるものだ。ファイザーからは、最終治験が終わり、その結果が発表になっている。詳細は後で取り上げるが、ブラジルで最終治験中の中国ワクチンと比べて、後遺症は「ゼロ」同然である。
(3)「ミネソタ大学感染症研究政策センターのマイケル・オスターホルム所長が言う通り、さらに多くの情報がない状況下では、現時点でワクチンがどれだけの影響を及ぼすかを予測するのは時期尚早だ。中国国際問題研究院米国研究所の蘇暁暉(スー・シャオフイ)副所長も、「ワクチンは感染症抑制のキーとなる要素だ。現時点でワクチン研究開発には重要な進展が見られるものの、最終的に必ず成功するかどうかは誰も保証できない」と指摘している」
ファイザーによる最終治験の結果発表は、11月19日である。この記事は11月22日である。ここへ登場した関係者は、ファイザーの結果を知らず、当てずっぽうの非難をしている。すべて、間違っている。
(4)「ワクチンはまだ最終的に研究開発されていないが、世界の株式市場は一足先に「強心剤」を打ち、相場が高騰した。中国現代国際関係研究院研究員の陳鳳英(チェン・フォンイン)氏は取材に対し、「感染症が世界経済にもたらした衝撃は巨大だ。経済の回復はそう簡単なことではなく、一定のプロセスが必要だ」と述べ、経済回復は多方面にわたるため、回復には一定の「遅延性」があると指摘した。ワクチンの大規模接種・普及には依然としてしばらく時間が必要」
米国2社によるワクチン開発は、遺伝子情報を使うもので、製造が短期間で大量に行われるメリットを持っているという。来年後半になれば、先進国のかなりの部分で大規模接種が可能になる。中国は、先行2社の偉業に「ケチ」をつけて、立遅れた中国企業を庇っている。見苦しい限りだ。
1)有効性に関する主解析において、BNT162b2は1回目接種から28日経過した時点以降のCOVID-19の予防に95%の有効性を示した。
2)有効性は年齢、性別、人種・民族で一貫しており、65歳を超える成人では94%を超える有効性が認められた。
3)米国食品医薬品局(FDA)が緊急使用許可(EUA)に求めている安全性データの収集を達成した。
4)4万3000人を超える参加者を組み入れ、すべての集団においてワクチンの忍容性は良好であることを示すデータが得られた。重大な安全性の懸念は認められず、グレード3の有害事象で頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみであった。
5)両社は数日以内にFDAにEUAの申請を行い、世界中の規制当局にもデータを共有することを計画している。
6)両社は2020年に最大5000万回分、2021年末までに最大13億回分のワクチンを世界で生産することを見込んでいる。
7)ファイザーは豊富な経験、専門知識と既存のコールドチェーンのインフラを活用し、世界中にワクチンを流通できると確信している。
関心が持たれている副作用については、頻度が2%を超えるものは、疲労3.8%と頭痛2.0%のみであった。この程度の副作用は仕方ないであろう。
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