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混迷を続けてきた米国大統領選は、トランプ大統領が政権移行準備を命じたことで、大きな山を越えた。米国政府は23日、バイデン次期大統領に対し、政権移行の手続き開始を認める方針を伝えた。トランプ米大統領も同日、自身のツイッターに投稿し、大統領選の敗北を認めずに法廷闘争は続けるとしつつも、政権移行への協力を認める考えを示した。

 

いよいよ、バイデン政権が世界を動かす舞台が整った。注目の国務長官には、最側近のアンソニー・ブリンケン元国務副長官が内定している。このブリンケン氏は、北朝鮮へ強硬姿勢で臨んでいることでも知られている。韓国文大統領にとっては、南北融和が最大の念願テーマであるだけに、「最悪事態」の到来である。

 


『東亜日報』(11月24日付)は、「
バイデン氏が政権担当時の米国務長官指名したブリンケン氏、『北朝鮮制裁解除は核廃棄が先決』主張」と題する記事を掲載した。

 

ブリンケン氏は、同盟重視、多国間主義というバイデン氏の外交・安全保障公約の樹立を総括・指揮してきた。北朝鮮に対しては強力な制裁、中国に対しては国際協力による圧力を主張しており、今後、韓半島および北東アジア情勢に大きな影響を及ぼすものとみられる。ブリンケン氏は2016年、北朝鮮が4回目の核実験をした時、国務副長官として北朝鮮への制裁強化に深く関与したという。大統領府国家安全保障室との韓米高位級戦略会議に数回参加して韓国側と緊密に協議し、訪韓の際、韓国の文化や料理にも大きな関心を示したという。

(1)「ブリンケン氏は今年9月、米CBS放送とのインタビューで、世界での米国の役割を「リーダーシップ、協力、民主主義」と規定した。当時、強力な経済制裁を通じて核開発計画放棄の約束を取りつけたイラン核合意方式を北朝鮮にも適用すべきだとし、「韓国、日本などの同盟と緊密に協力し、北朝鮮に経済圧力を加えるために中国に迫らなければならない」と強調した。北朝鮮の最大貿易国である中国が北朝鮮の金脈にならないよう遮断し、国際査察を通じて北朝鮮の核物質の濃縮および再処理施設を凍結し、一部の核弾頭とミサイルを廃棄すれば、これに応じて制裁の一部を解除するという意味だ」

 

ブリンケン氏は、外交一家の生まれである。父親のドナルド氏(1925~97)はビル・クリントン政権で駐ハンガリー大使、伯父のアラン氏もクリントン政権で駐ベルギー大使を務めた。本人は、オバマ前政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)(2013~15年)、国務副長官(15~17年)を歴任し、当時副大統領だったバイデン氏と歩調を合わせた。妻のエバン・ライオン氏も、オバマ政権では国務省教育文化局で勤務した外交官カップルだ。このような環境から見て、米国外交の本道を歩むと見られる。



北朝鮮問題では、厳しい経済制裁を科す姿勢に変わりはない。文大統領の「南北融和策」など、入り込
む余地はない。文氏が何か提案すれば、たちどころに反論されることになりそうだ。トランプ政権よりも厳しくなろう。

 

(2)「同盟との関係改善には積極的だ。今年7月のインタビューでは、トランプ政権の在独米軍縮小決定を批判し、バイデン氏が当選すれば縮小計画を見直すと明らかにした。特に、イラク・アフガニスタン派兵など米軍の対外的役割が必要で、「米国が出なければ問題がさらに大きくなる」と考えていると、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルなどが伝えた」

 

トランプ政権では、ドイツの反米的姿勢に業を煮やして、駐独米軍を一部撤退させた。ブリンケン氏は、そういう感情論的な決断でなく、理詰めの対応をする。同盟重視となれば、日韓関係の冷却化は、最初に目にとまるケースであろう。日韓慰安婦合意の破棄や旧徴用工問題など、歴史問題でギクシャクしている現状に、鋭いメスが入るだろう。韓国は、それを最も恐れており、日本へ融和を呼びかけて糊塗しようとしている。

 

(3)「ブリンケン氏が国務長官になれば、バイデン氏が公言した世界保健機関(WHO)への復帰、温暖化防止の国際枠組み「パリ協定」への復帰、イラン核合意への復帰など外交安保懸案から主導していくものとみられる。ブリンケン氏はすでに、バイデン氏と海外首脳との電話会談の日程を組み、議論内容をまとめるなど、事実上、国務長官に準ずる業務を遂行している」

 

バイデン政権により世界中の外交が4年前に戻る。ただ、中朝問題は厳しい路線が継続する構図だ。これで、米国の威信を回復させ同盟国の結束によって、対中朝問題に取り組む姿勢を鮮明にするはずだ。